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第313回 ─ THE OTHER SIDE OF...

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/03/13   01:00
更新
2008/03/13   17:26
ソース
『bounce』 296号(2008/2/25)
テキスト
文/古川 英一

みんな知ってるあのバンドのあの人が、〈第2のバンド〉でもイイ仕事してますよ!

 母体となるバンドで活動しつつも、そこでは発揮できない個々の表現欲を満たすため、各々別プロジェクトを立ち上げることは珍しくない。しかし! ここに登場する男たちによる〈第2のバンド〉は、片手間感ゼロのマジな作品を仕上げたってことで鼻息も荒く紹介!!

 まずは残念ながら先日活動休止を発表したsmorgasのMC=アイニ率いるFULL LANGUAGEが放ったファースト・ミニ・アルバム『XANADU』。〈オレも歌モノやりてぇーっす!〉と結成されたバンドだけあり、パンクやメタルの要素もチラつかせるサウンドに乗せて、思いっきり歌い倒す!……とはいえラップ心が忘れられない様子もご愛敬だが、歌とラップの折衷ぶりもなかなかイケている。次は、昨年のアルバム『地球の裏から風が吹く』も素晴らしかったeastern youthの二宮友和がベースを他に預け、ウィットに富んだギター・プレイと無骨な歌を披露するひょうたん(結成16年目!)のファースト・アルバム『給水塔』。パンクやUSインディー・ロックを下地に、もともとディス・ヒートやキング・クリムゾンのカヴァーをしていたという二宮らしいプログレな一面も顔を覗かせた好盤で、表題曲でのノスタルジックな叙情ロックもまた泣かせる。そして最後は日本のオルタナティヴ・ロックの奇跡! 元ナンバーガール、現在はSLOTH LOVE CHUNKSなどで活動する中尾憲太郎(母体バンドはどこ?なんてツッコミは野暮!)が、元COWPERSのゲンドウと結成したSPIRAL CHORDのセカンド・ミニ・アルバム『サ・ヨ・ナ・ラ・セ・カ・イ』。冒頭から男臭く図太く唸った中尾のベースが響き、ジャッキジャキの轟音ギターとダイナミックなドラミングが正面からかち合った音は、初期COWPERSを彷彿とさせる激熱ハードコア・パンク! これまででいちばんハマっているんじゃ?と思わせる彼の魅力に大興奮だ!