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第312回 ─ DEJAVU

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/03/13   01:00
更新
2008/03/13   17:24
ソース
『bounce』 296号(2008/2/25)
テキスト
文/本橋 卓

イタリアン・モダン・ジャズの栄光の歴史と輝かしい未来をデジャヴが色鮮やかに映し出す!

  昨年末の来日公演も好評を博したイタリアン・ジャズの巨人たちが結成したグループ=イデア6の仕掛け人であり、また欧州全域に名を馳せるレコード・ディーラーとしてもお馴染みの男、パオロ・スコッティ。彼が主宰するレーベル=デジャヴは、生粋のジャズ・レコード愛好家としての視点から、例えばアナログ盤のみでバディ・コレットの61年作『The Polyhedric』を復刻するなど、イタリアン・ジャズ黎明期である50~60年代の隠れた名作を広く知らしめるべく奮闘中だ。またその一方で、イデア6の新録作をリリースしたりと、ジャズ黄金期の根底に流れるアティテュードを引き継ぎつつ、新たなイタリアン・ジャズの花を開かせるために日々邁進している。

 そういった意味でも、今回パウロとタワレコが共同監修したコンピ『Cosi Jazz -Tower Records Presents -Itarian Modern Jazz -Compiled By Paolo Scotti』はまさにイタリアン・ジャズの華麗なる歴史を紐解き、その魅力を余すことなく伝えてくれる内容といえよう。バディ・コレットや70年代の名レーベルであるホロの音源から、イデア6やヨーロッパ方面で高い評価を得ている日本人グループのWhat's Upなど近年の音源まで、進化してきたイタリアン・ジャズの今昔が手に取るようにわかってしまうスグレモノ。また、同時にリイシューされる伝説的ジャズ・ユニット、バッソ・ヴァルダンブリーニ・クィンテットのレアな2作品も要チェック。50年代US西海岸系ジャズの流れを汲んだハーモニーから意表を突くブリッジ、そして流麗でマジカルなソロ・パートへ……といった巧みなアレンジに思わず息を呑むこと請け合いだ。

 いまなお華麗に発展し続けるイタリアン・ジャズと、それを支えるデジャヴの今後の展開にはかなり期待大なのである!