作詞・作曲から打ち込みまでをこなすシンガー・ソングライター、AYUSE KOZUEとグディングス・リナ。昨年はそれぞれがフレッシュなアルバムを発表し、クラブ・ミュージックを通過した新世代型のジャパニーズ・ポップを提示。時代をリードする大活躍を見せてくれた彼女たちこそ、いま最も注目を集める女性アーティストと言えるでしょう。bounce.comでは新春企画として、そんなおふたりのスペシャル対談を3週間に渡ってお届けします! 2週目となる今回はおふたりの音楽的ルーツやポップス観についてお話をうかがいました。

――2人の育った環境やルーツ的な話についてお伺いしますが、AYUSEさんの家はしつけが厳しくて、今でも門限があるそうですね。
AYUSE 夜の9時を過ぎると親から電話かかってくるんです(笑)。「今日何時?」って。厳しいというか心配性。
RINA すごーい(笑)。それは大変だね~。私だったら家出しちゃう。全然うちは放任だよ。好きにしていいって言われすぎると、めったなことはしなくなるのかな。完全に逆ですね。
――音楽的な環境はどうだったんですか?
RINA いろんな種類の音楽がごちゃごちゃあったので、自分が雑食なのは本当に家の影響だなと思います。
AYUSE ごくごく一般の家庭という感じですね。家にあるCDはWinkとかだし、家族でカラオケ行くと親が“カナダからの手紙”を歌ったりとか。全然音楽に触れてるわけでもなくて、生活の中でいきなり出会った好きな曲とかを虫食いみたいに聴いてきたんです。そういう意味で雑食感はありますけど、私は携帯プレイヤーにいっぱい曲が入ってれば満足じゃなくて、自分にとって大事な曲と何年でも付き合っていたい。だからDJっぽくはないですよね。
――その点、RINAさんは聴き方がDJっぽい?
RINA うーん、そういうDJ的な音楽が好きなだけで、普通に聴いてると思いますよ。曲名とかをまったく覚えない訳ではないけど、音楽の豆知識を増やすのは全然好きじゃないから。誰と誰が昔、実は同じバンドにいたとか(笑)。そういうトリビアみたいなものは本当にわからないし、執着がないですね。
AYUSE 私も執着はないですね。機材も、高校生の時に打ち込みを始めた時の鍵盤をそのまま使ってるし。アップデートし続ける必要もないと思う。本当に自分の愛すべきものが大事かなと。
――AYUSEさんは一番最初に影響を受けたのがSPEEDだったんですよね。
RINA え、そうなの?
AYUSE たまたま家族でテレビ観てて、日曜日の熱湯コマーシャルでデビューしたてのSPEEDが歌ってたんですよ。それを観て、憧れとは全く逆の、すごく勝手なライバル心が芽生えちゃったの。
RINA もしかして歳が近いの?
AYUSE 最年少のhiroさんが私と同い年で、それが衝撃的で、ダンス始める決心をしたんです。それがひねくれの始まりかもしれないけど。「メジャーが何じゃい!」みたい感情が生まれたんですよ。
RINA ここ、すごく重要なとこじゃないですか(笑)? あえてSPEEDのカバーとかやったら? 意外性があっていいかもよ。
AYUSE 面白いかも。振り付けとかもありで(笑)。
―― 一方でRINAさんは岡村靖幸や沢田研二をカヴァーしていますが、そういった日本の音楽もルーツにあるんですか?
RINA 歌謡曲が大好きなんですよ。特に昔の、作詞家や作曲家の人が作ったもの。エゴを通すんじゃなくて、与えられた設定を歌手が演じるような。そういう、ある種の演劇性があるからこそ、歌謡曲は特殊で面白いものが生まれていたと思うんです。特に言葉の選び方が面白いですね。それとは逆に、荒井由実さんみたいな私小説的なものも好きなんですけど。
――AYUSEさんの詞も、私小説的ではなくて、いったん上から見てる感じがありますよね。そういう直接的に出さない感じはRINAさんとも共通してるかなと。
AYUSE 俯瞰してる部分はありますね。日本的なのかな?
――そういった歌謡曲と、いま作られている音楽に繋がりを感じます?
RINA 自分が好きだった歌謡曲の感じがいまのJ-POPにはないと思うので、そういうものを作れたらいいなとも思うし、自分の出発点であるクラブ・ミュージックと歌謡曲とを、そんなに切り離しては考えてないですね。
――いまはおふたりとも日本のポップスのフィールドで活動されてると思いますが、お互いの曲のどういう部分にポップス感を感じますか?
AYUSE RINAさんの曲は、すごく都会的で、あったかい感じがしますよね。ビルの中にいきなり下町があるような。生活に寄り添ってくれる音楽だなって。ただカラオケで歌いたいから覚えますっていう曲じゃなくて、自然と聴いていたい音。それがポップスだと思うんです。
RINA KOZUEちゃんを見ていると、そのアイドル性をつつきたくなるんですよ。私がもし曲を書くとしたら、もっとアイドル性を引き出したい(笑)。だから、その存在自体がポップ性を持ってると思う。
AYUSE 1曲作ってもらいたいですね(笑)。どんなになるのかな~。
RINA 曲提供とか、リミックスとか、すごくしたい(笑)。「私だったらこうする!」みたいな。でもKOZUEちゃんは、それも自分でやってるからね。俯瞰するってさっき言ってたけど、自分を俯瞰して、自分のアイドル性を引き出して曲を作るって人はいないから。
AYUSE 俯瞰アイドル(笑)。
RINA でも、アイドルってそもそも俯瞰してないとできないっていうか、なりきれないでしょ。活動している内に齟齬をきたすと思うんですよ。そこをなりきれる素養のある人はアイドルでい続けられると思うけど、せっかく別のセンスで俯瞰するものを持ってるから、ぜひ挑戦してみてほしいですね。
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