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第1回 ─ 〈曲作りの秘密に迫る!〉編

連載
AYUSE KOZUE × グディングス・リナ
公開
2008/01/10   17:00
更新
2008/01/10   17:35
テキスト
文/田家 大知

作詞・作曲から打ち込みまでをこなすシンガー・ソングライター、AYUSE KOZUEとグディングス・リナ。昨年はそれぞれがフレッシュなアルバムを発表し、クラブ・ミュージックを通過した新世代型のジャパニーズ・ポップを提示。時代をリードする大活躍を見せてくれた彼女たちこそ、いま最も注目を集める女性アーティストと言えるでしょう。bounce.comでは新春企画として、そんなおふたりのスペシャル対談を3週間に渡ってお届けします! 

――お二人には打ち込みをしてるという共通点がありますが、それぞれ打ち込みを始めようと思ったきっかけは? 

RINA DJをしていた時に、ヒップホップのトラックを作ろうと思ったのがきっかけですね。当時は古いソウルとかジャズのレコードからサンプリングして作る手法がポピュラーだったので、自分も古い曲の好きな部分を使って曲を作りはじめた。ピアノは習ってましたけど、当時は特にそれを使って作曲はしてなかったです。

AYUSE 私もピアノはやってたけど、それが作曲には結びつかなくて。その頃はライヴハウスで既成の曲ばかり歌ってたので自分の曲が欲しかったんですよ。ちょうどその時に、学校でDTMの授業があるのを知ったから、タイミングもいいし、知り合いに作ってくれる人もいないし、自分で作っちゃおうと思って始めました。

――打ち込みって、自分との戦いみたいな地味な作業だと思うんですが、そういうのは二人とも向いてたんですか?

RINA 人と遊ぶのはいいんですけど、共同作業が向いてないんですね。自分の場合は、ひとりが好きだからって言うよりも、まずは自分で作り込みたい(笑)。

AYUSE 地味な作業ですけど、この音入れてみちゃおっかなーとか言って、案外マッチした時とかは楽しいですよ。外から見たら、そこの楽しさはわかりにくいと思いますが(笑)。

RINA だからバンドはきっとできないですね~(笑)。自分のライヴでバンドを指揮するのは大丈夫なんですけど、あらかじめみんなの総意で成り立ってるバンドみたいのは絶対無理。その点、部活とかも向いてない(笑)。

――最初にどういう機材で打ち込みを始めたんですか?

RINA パソコン使う前はAKAIのサンプラーを使って、ちっちゃい画面を見ながら叩いてました。当時のヒップホップDJみたいな作り方をしてましたね。

AYUSE 私はハードに疎くて、全部ソフトでやってきましたね。最初からパソコンの内蔵音源で、外付けの音源はほとんど使ってない。だから、サンプラーが置いてあっても、全然わかんない(笑)。

RINA そこが違うんだね。パソコンを使っていても、私は内蔵音源は使わずに、外で弾いたものを録音するので。仕上がりの音の質感がまったく違いますよね。

AYUSE RINAさんのアルバム全体のざらつき感とか、アンニュイな部分というのが、すごいハードらしさを感じますね。

RINA そう思う。CDとレコードみたいな違いですかね。劣化した状態で私の音は入っちゃうんだけど、それをよしとするかは好みで、KOZUEちゃんの作り方だとすごく音の粒が綺麗な状態なんですよね。

――やっぱりRINAさんの場合は、最初にサンプラーから入ったことが今に続いてるんですか?

RINA そうですね。打ち込みでも、その場でしか出せないグルーヴを出したかったり。だから、完全にクォンタイズされた音じゃなかったり、その音が鳴った時の空間の音(時にはノイズ)を入れたい場合もあります。器用になりすぎない、一発目が一番魂が入ってるってこともあるんですよ。
※ 打ち込んだ音のズレをジャストなタイミングに修正する機能。

AYUSE 私はガンガンに作り込んじゃいますね。もう、いじっていじって、微調整しまくっちゃいますから。気になっちゃうんですよ。

RINA その辺は個性ですよね。整頓された中にある美しさと、ルーズな方の美しさと。性格の違いかな(笑)。

――仕事場はどんな感じなんでしょう。やっぱり機材に埋もれてたりするんですか?

RINA 私は結構同じ楽器を使い倒すので、機材はほどほどですよ。新しいものを取り入れるのは好きですけどね。多分、男の人の方が、男性特有の収集欲みたいなものがあるから(笑)、ラックがすごかったり、それを自慢する事にも快感を覚えたりするのかもしれないけれど。私はそういうところは淡白かも。

AYUSE 私は実家の自分の部屋なんで、パソコンが普通にあって、キーボードが置いてあるだけ。さほど普通の同世代の女の子と変わりないですね。

RINA 乙女なお部屋なんだ?

AYUSE 乙女かどうかはわかんないですけど(笑)、普通ですね。いわゆるハートのクッションとかぬいぐるみはなくて、普通に最低限のものとベッドがある感じ。

――お二人はトラックを作りつつも、詞も曲も書いていますよね。お互いの詞を読んで、どんな印象を受けますか?

RINA かわいらしいなーって思います。

AYUSE あはは(笑)。

RINA 私はもう少しドロドロしてるから(笑)。その反動で軽いものを求める部分もあるけれど、KOZUEちゃんの詞はいつもさわやかだと思う。

AYUSE 私はRINAさんの詞の、ものすごい韻を踏んでるのが面白い。ラッパーの人でもこの辺で諦めるんじゃないか? っていうところでも、最後まで韻を踏みきるのが、すごく潔くて好きですね(笑)。

RINA ラップがあれだけメッセージがあるのに面白おかしく出来るのは、韻という法則のなせる技だと思うんです。遊んでるけど、縛られてるみたいな。英語の歌詞って別にヒップホップじゃなくても韻を踏んでる曲って多いですけど、日本ってそういう習慣がないから、無理くりやってるとこが滑稽でまたいいんじゃないかな。

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