Leyonaが〈心のグッド・ミュージック〉を紹介するこの連載も今回が最終回。でもしんみりするのは後回し。彼女がリスペクトしてやまない〈麗しのレディー・シンガー〉たちの名曲をビシッと紹介するよ!!
NIKKA COSTA/Swing It Around
根っこにブラック・ミュージックのフィーリングを感じさせる白人女性シンガーのなかで、彼女は私的にかなりヒットした人でしたね。凄くファンキーなナンバーをビシッとキメるんですよ。この曲が入っているアルバムはレニー・クラヴィッツのサポートもバッチリとハマってました。そうそう、サム&デイヴのサム・ムーアのアルバム『Overnight Sensational』(2006年)に参加したときの彼女も凄く格好良いですよ!
CIARA/1, 2 Step
久々にアイドルというか、女の子シンガーで興味が湧いた人なんですよ、シアラは。声も大好きですけど、何といってもダンスが格好良い! 観ていると思わずダンスを習いたくなっちゃう感じ。最近のプロモ・クリップを観たけど、彼女のダンスは確実にスキル・アップしてました。ミッシー・エリオットをフィーチャーしたこの曲のときはまだ10代でしたよね。でも格好良いものは年齢が上とか下とか関係なく憧れちゃうものです。
ERYKAH BADU/On & On
彼女の登場は衝撃的だったんじゃないですか? ファッションやキャラクター的な面も含めて。これは彼女のデビュー曲です。確かニュー・クラシック・ソウルって呼ばれてましたよね? 彼女にはアコースティックっぽいテイストの曲もあって、生で歌っている姿を想像させてくれたりもしました。魅力的な歌声がとにかく最高だけど、さらに黒人音楽のさまざまな歴史が感じられるサウンドも素晴らしくて、もうグイッと持っていかれましたね。
TLC/Diggin' On You
この曲はリアルタイムで聴いていなかった。その頃って生っぽいサウンドの音楽にのめり込んでいたから。彼女たちって3人とも特徴的な声の持ち主で、数あるガールズ・グループのなかでも個性がはっきりした集団として存在が際立っていましたよね。だから、いつもならメンバーの名前が覚えられなかったりするけど、TLCの場合はすんなりと(笑)。10年以上も前の曲だけど、いまでも全然イケてる曲。メロディーも凄く良いしね。
P.P. ARNOLD/The First Cut Is The Deepest
時代を一気に遡って、67年のヒット曲。ロッド・スチュワートやシェリル・クロウもカヴァーしたキャット・スティーヴンス作の名バラード曲ですけど、このヴァージョンがもう最高なんです! 歌い方も凄く独特。またミニ・スカートで歌っている感じがたまらなくキュートなところもポイントが高い。彼女はロック方面で人気のあるシンガーで、ローリング・ストーンズのレコーディングにコーラスで参加していることもよく知られていますね。
FONTELLA BASS/Rescue Me
ゴスペル畑出身のソウル・シンガー、フォンテラ・バスが65年にリリースした彼女いちばんのヒット曲。これは映画「天使にラブソングを」の挿入歌としても有名で、私もその映画で知りました。私、ゴスペルも大好きなんですよね~。この曲は高校時代にカヴァーしたことがある思い出の一曲なんです。女の子3人でワンピース着て、黒塗りでアフロのカツラを被って、ファッション・ショウをやったんですよ。歌は口パクだったけども(笑)。
DORIS TROY/Just One Look
63年にヒットしたポップスのスタンダード曲。80年代にドリスの妹が彼女をテーマにしたミュージカル「ママ、アイ・ウォント・トゥ・シング」を作ってNYで大ヒットさせたんです。それが日本に入ってくるときにTVでCMがたくさん流れていたのをよく覚えてて。だからそっちの印象が強かったんですが、のちにこの曲を聴き、凄い人なんだなぁと思った。ジョージ・ハリソンのサポートを受けて、70年にアップルからアルバムをリリースしてましたね。
ETTA JAMES/Trust In Me
私、〈R&B界の天童よしみさん〉と呼んでます。彼女を知ったのは、中学の後半ぐらいだったかな。当時はオーティス・レディングをよく聴いてたせいもあって、“Tell Mama”みたいなファンキーなナンバーが好きだったけど、だんだんこういうR&Bバラードも大好きになって。彼女の音楽をよく聴くと、どこか古い歌謡曲の匂いを感じたりするんです。ラテンっぽい昭和歌謡的なムードっていうか。そういうイメージが好きなんですよ。
NINA SIMONE/Little Girl Blue
このスタンダード・ナンバーはジャニス・ジョプリンもカヴァーしてます。ニーナ・シモンってシンガーはとにかく声の存在感が凄すぎる。歌声の説得力がとんでもないじゃないですか。聴いていると時間が一瞬止まっちゃうというか、そういうパワーがある。どこの誰にもこの感じは出せない。ピアノの弾き語りをする人のなかでも個性がダントツに際立ってると思う。こういう渋くて重みのある音楽を若い人たちにもっと聴いてもらいたいですね。
ELLA FITZGERALD/Dedicated To You
さて最後の曲になりますが、これは本当に何も言うことないですね(笑)。この曲は以前に吾妻光良さんからいただいたテープに入ってたんです。それまでエラに対しては、私のなかでジャズ・シンガーの大御所的なイメージが強かった。聴いてみてもそんなにハマリはしなかったんだけど、若かった頃のこの曲を初めて聴いたときにはもう……思わず〈ハ~〉って溜息がこぼれました。彼女の歌声がホントに可愛くて可愛くて、素敵! 凄い!