毒まみれのカオス世界に住む5人組が、みんなをお迎えに来たよ!

エキセントリックなサウンドと、触れるものすべてを封じ込める脅威の舌鋒でリスナーを昇天させてきた髭(HiGE)。そんな彼らを表現する際には〈毒〉という言葉がよく使われてきたが、このニュー・アルバム『Chaos in Apple』から聴こえてくる音や言葉に込められた辛辣な毒は過去作の比ではない。しかし、どんなにイヤらしい毒の塊でも、それをエンターテイメントとして楽しめるロックに仕上げる技こそが彼らの真骨頂である。
先行シングル“黒にそめろ”や“ボニー&クライド”などがアッパーに斬り込む前半部では、カラッカラのサイケデリック・ギターがダイナミックに掻き鳴らされ、ツイン・ドラムを擁するリズム隊が巻き起こすエネルギッシュなグルーヴに目が回るほど。キャッチーなリフでアグレッシヴに攻めたかと思えば、ポップにデコレーションされた悪意すら感じる言葉が次々と叩き付けられる様子は痛快そのものだ。しかし、後半の“マヌケなクインテット”“電波にのって”などでは気怠く爪弾かれるギターに乗ったメランコリックなメロディーのなかにロマンティシズムすら滲ませてみたり……そんな掴みどころのない二面性はリスナーを混沌へと陥れ、抜けられなくなってしまうような中毒性がある。
本作に詰まっているもの、それは危険なことがわかっていても飛び込まずにはいられない、暴力的なビートが渦巻くカオス。そしてロックンロールが誕生した頃に充満していた、あのワルそうな空気感だ。その魅力&威力がどれほどのものかは、先人の例を見ればあきらかだろう。
▼髭(HiGE)の作品を紹介。