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第2回 ─ 曽我部恵一×橋本徹対談〈前編〉 音楽紹介の極意とは?

第2回 ─ 曽我部恵一×橋本徹対談〈前編〉 音楽紹介の極意とは?(2)

連載
曽 我 部 恵 一、 POP職 人 へ の 道
公開
2007/11/22   21:00
テキスト
文/bounce.com編集部

曽我部 でもアルバムの曲順を決めるのってすごい難しい。友達に頼んで決めてもらったりするんですけど、そうすると自分だったらあり得ない曲順にされる(笑)。

橋本 それはミュージシャンと、リスナーやDJとの違いだと思うんだよね。

曽我部 そうですね。ぼくは曲の歌詞とか色んな意味を考えて曲順を決めるけど、DJの場合は、もっと感覚優先なんでしょうね。

橋本 ミックスCDが人気を集めてる状況を見てると、今の若い子にとっては、「流して聴いたときに気持ちいい」ってことがすごく重要になってるのかなと思う。でもそれをアーティストのアルバムでやる必要は無いんじゃないかな。ぼくも最初からDJカルチャーがあった世代じゃなくて、昔ながらのレコード・マニア的な意識も残ってるから、今のDJみたいに、音楽を完全に素材として扱うことには徹しきれない。だから自分で選曲したCDを作る時も、脈絡なく曲と曲を混ぜてしまうのは嫌なんだよね。

――DJ的な聴き方だけが必ずしも良いわけではないと。

橋本 やっぱり(DJ的な聴き方とそれ以前の聴き方の関係が)あまりにも劇的に逆転しちゃったことに対する違和感もあるのね。あんなにひっくり返したかったことなのに、ひっくり返ってみると、昔の聴き方もいいじゃん、みたいな(笑)。でも、曽我部君にも旧来のロック・リスナー的な根を感じるよね。

曽我部 そうですね。レコードの裏に書いてある、昔のライナーノーツとか好きですし。

橋本 ライナーを読んだりするところから、自分の音楽地図が広がっていった。音楽の点と点を繋げて線ができていくような。今は結構、点だけで終わってしまってる気がするな。

――曽我部さんは音楽紹介文やポップを書くうえで心がけてることはありますか?

曽我部 うーん、ぼくのはほとんど日記みたいなものですからね。「このレコードは昔の彼女の家に置きっぱなしで、今もその娘の家にある~」とかで、何の参考にもならない(笑)。

橋本 いや、でも曽我部君が書く場合は、そういうことがすごい重要だと思うんだ。個人的にも、その盤から広がる自分との関係性みたいなことを書くべきだと思ってるところはある。ただ、それが売り上げにつながるかっていうとまた別の話で、売ろうと思うものは「この曲は、あの曲が元ネタで~」とか具体的に書いてあげないといけない。でも読み物としては、曽我部君みたいな書き方が面白いよね。

曽我部 まあエッセイ的に読んでもらっても、楽しまれただけになっちゃうから(笑)。難しいなあと思いますね。

橋本 やっぱり自分や曽我部君が紹介するときには、絶対にこの文章が読みたいと思って読んでくれる人もいると確信してるから、例えすぐ売り上げにつながらなくても、できるだけそういう要素をゼロにしたくないなって気持ちはあるよね。

◆後編は11月29日に掲載します。お待ちかねの曽我部セレクション&手描きPOPもそちらで公開、ご期待あれ!

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