アルバム発表を控えたグディングス・リナが、旬なコラボをあしらった前菜をご用意!?
最初に言っておきますと、今回はグディングス・リナの好評連載〈Delicious Dishes〉の海賊版でございますよ! ここで紹介するのは、彼女がタワレコ限定で発表した4曲入りのミニ・アルバム『X』。11月21日にはニュー・アルバム『大都市を電車はゆく』のリリースも控えているのですが、今回の『X』はその先行カット的な役割も果たすわけですな。バツでもペケでもエックスでもなく〈バイ〉という表題が示すとおり、いずれも他アーティストの力を掛け合わせた興味深いコラボ・トラックに仕上がっています。
まず1曲目は、世界一のヒューマン・ビートボクサー=AFRAがベースのブンブン唸るエレクトロ空間を用意した“MUSIC”。バイリ・ファンキにもオールド・スクール・ヒップホップにも聴こえる主役のマイク捌きにピッタリとハマる最高の出来映えです! 続いて、アルバムの表題曲でもある2曲目の“大都市を電車はゆく”は終電でぼんやり聴きたい黄昏シティー・ポップなのですが、その背後にスピリチュアルなパーカッションの渦を用意したのは、昨年10年ぶりのアルバム『兎に角 tonikaku』をリリースした打楽器奏者のYAS-KAZ。SHING02のリリカルなラップも曲調とテーマに馴染んでいて好感触です。さらに“あんな風に鳥は”をダイナミックなコズミック・ダブに仕立てたのは、アルバム『Great Triangle』も記憶に新しいcro-magnon。重層的なリズム遊びにチルアウトへと誘われること必至ですよ。で、締め括りは岡村靖幸の名曲“聖書”のカヴァーで、ホアン・アトキンスをキツネが化かしたようなプラスティック・エレクトロ・ディスコ・ビートを手掛けたのはDJセニョリーナことリナ自身。ド変態な原曲のキャッチーな本質を強調し、展開のあるアレンジで爽快に聴かせてくれます。なお、その“聖書”はニュー・アルバムに未収録だし、他の3曲もすべて別ヴァージョンでアルバム収録されるそうで、つまりは全曲が『X』のエクスクルーシヴ。ちょっと充実しすぎた最高の前菜をいただきましょう。

岡村靖幸の89年作『靖幸』(エピック)
PROFILE
グディングス・リナ
ヴァーサタイルなシンガー・ソングライター/トラックメイカー。DJセニョリーナとしてもあれこれ活躍中。ニュー・アルバム『大都市を電車はゆく』は11月21日にリリースされます。