自身の多面性をヴァラエティー豊かに突き詰めた新作が到着!!

前作『The New Beginning』における、例えば海外進出を視野に入れたUS勢の起用や、全体から滲み出ていた〈バック・トゥ・ザ・ベーシック感〉は、アルバムが持つ意味を十二分に伝えきっていたように思う。とんでもなくポップな楽曲といつもどおりのエロ曲、原点回帰とも取れるピュアなヒップホップが並べられた同作は、〈ZEEBRAの〉というよりは〈ZEEBRAのヒップホップの〉ヴィジョンの元で統一され、結果として新たなる名作となったわけだ。さて、そんなクラシックの後を受ける形となるニュー・アルバム『World of Music』は、前作の延長線上にある作品であり、先に書いたようなZEEBRAの持つラップスター的な要素とストリート感の両面を今回もバランス良く配している。RIZEのJesseを迎えたリード・シングル“Not Your Boyfriend”や、加藤ミリヤを迎えた“My People”、チェンジ“The Glow Of Love”使いの限りなくアッパーなオケでSPHERE of INFLUENCEとMay J.が援護するDJ HASEBE製の“Shinin' Like A Diamond”などで聴くことができるのは、その前者にあたる要素だ。
しかし、作中において存在感が強いのは、全3ヴァースが順を追うごとにハードに進行していくD.O+SIMON参加の“Reason(Let U Know)”、318制作の重苦しいトラックにBES+565+UZIを交えて4者4様のラップ・ゲームに対する思いを吐く“Back Stage Boogie”、そしてドラムとシャウトのみという偽りの通用しないトラック上でUBGの面々が繰り広げる疑似サイファーの“360°”など、ストリート感を司る後者だろう。もちろん、両面が表現されたことで双方が引き立つのは当然なのだが、今回に関しては完全にそちらが優勢だ。結果として作品の立ち位置は後追いで決まってくる部分も多かろうが、聴き手を選ぶアルバムになっているように感じるし、現時点では非ポップ層からの支持が高そうな作品だとは思う。だからこそ、このスケールでリリースされる意味がある気もするのだが。