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第122回 ─ ジャズマタズ復活で再注目のジャズ・オン・ザ(ヒップホップ)コーナー

LOOKIN' FOR ANOTHER JAZZ

連載
360°
公開
2007/06/14   19:00
ソース
『bounce』 287号(2007/5/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

LUSHLIFE & THE AGE OF IMAGINATION QUARTET 『Order Of Operation Instrumentals』 MICLIFE(2007)
コルトレーンが取り上げたことでも知られるスタンダードから名前を取った(?)才人が、自身のファースト・アルバムのインストをクァルテットで再演。元はジャズ・ドラマーだけに、スタイリッシュなリアレンジの手腕も聴きどころだ。

SOUND PROVIDERS 『An Evening With The Sound Providers』 ABB(2004)
ソウロとJ・スキルズによるユニットの名作。フォーマルな装いのインストにリトル・ブラザーやアシェルらがストリートの熱を持ち込んだクールな夜会に仕上がっている。元メンバーらが結成したアップスターズのデビューも待ち望むべき。

THE PROCUSSIONS 『Up All Night』 MICLIFE(2004)
フェンダー・ローズとドラムスのタイトな演奏にMC陣がフリースタイルを乗せ……22時から朝の6時まで、一晩で練られたセッションの記録。聴きながら煙草に火を点ければ、路地裏のジャズ・クラブにいるような気分になる。ラフさと緻密さのバランスも絶妙な傑作だ。

US3 『Say What!?』 ビクター(2007)
90年代にブルー・ノートから登場し、〈ジャズ・ラップ〉ブームの立役者として一世を風靡したヒップホップ・コンボの最新作。サンプリング主体でジャジーな雰囲気作りを持ち味としていた過去作とは様相を異にし、ミュージシャン同士の有機的な〈会話〉を美しいグルーヴとして聴かせている。

SUPERSCI 『Pinetrees On The Pavement』 Flyphonic(2006)
ジャズマンを含むスウェーデンの4人組による粒揃いの初フル・アルバム。準メンバーの女性ヴォーカルも交えて温もりに溢れた音像を聴かせる姿は、スカンジナヴィア・ジャズの伝統を現代的なフォーマットで表現した……と評しても大袈裟ではあるまい。

ROBERT GLASPER 『In My Element』 Blue Note/東芝EMI(2007)
ヒップホップに強く影響され、ビラルやティオンベ・ロックハート(→P40)の作品でも演奏しているピアニストの新作。DJミックスのように一貫した流れをインタールードで紡ぎ出し、故J・ディラのビート・パターンをトリオで再現した“J Dillalude”も披露。