ダンス・ミュージックやカフェ・ミュージックは、洋楽が中心となってしまっている昨今。そんな時代の流れに逆行し、古今東西、日本に存在する多くのダンス・ミュージックやカフェ・ミュージックとなりうる名曲を、オシャレに、かつアカデミックに紹介するSHIBUYA-FM 78.4MHzにて大好評放送中のラジオ番組、それが「ニッポンの魂!!(Japanese Soul)」。この曲はクラブでかかったら踊れるかもとか、カフェやバーでこんな曲が流れていたらオシャレかもとか、〈日本人の日本人による日本人のためのソウル・ミュージック〉を新旧問わずに紹介し、語り尽くす!! そんな縦横無尽トークを、bounce.comではダイジェストでお届けします!
「ニッポンの魂!!」のレギュラー選曲者は、この5人!
・LATIN RAS KAZ(以下、ラスカズ):ご存知! 日本が誇るEDIT MUSICの第一人者。
・服部全宏(GO PUBLIC/以下、服部):GO PUBLIC。アーヴァン感ミュージックを提唱中。
・daisk8(SWING BOYS):ラジカセで聴くジャズをテーマにしたユニット〈SWING BOYS〉のDJ。
・池谷航(以下、池谷):bounceと東京・代官山UNITがお送りする音楽イベント〈bouNIT〉などのイベント番長。
・Kaneko Hideshi(openers編集部/☆/以下Kaneko):WEBマガジン「openers」編集部、たまにDJ。まれに☆
ゲスト選曲者
・RIOW ARAI(以下R)
■選曲 kaneko(openers編集部/☆)
スネークマンショー“咲坂と桃内のごきげんいかが、ワン・ツー・スリー”(『スネークマンショー』収録)
Kaneko これは、30代の方であれば誰でも聴いたことがあると思うんですけれど(笑)。歌っているのは、小林克也さんと伊部雅刀さんです。作曲は、細野晴臣さん。YMOとスネークマンショーが合体して……恐らく日本で一番最初にヒップホップをやった方々じゃないでしょうか?
R 日本語のラップを意識したものでは初めてじゃないでしょうか? これは81年ですね。
Kaneko この後に出てくる、いとうせいこうさんが86年くらいですもんね。
■選曲 daisk8(SWING BOYS)
佐藤奈々子“おいらぎゃんぐだぞ”(『ピロー・トーク』収録)
daisk8 後世の日本の女性シンガーに多大な影響を与えた佐藤奈々子さんのアルバムから、僕らの大好きな南佳孝さんのカヴァー曲“おいらぎゃんぐだぞ”です。佳孝さんのファースト・アルバムに入っている曲ですね。ちょうど2006年の12月くらいに佐藤奈々子さんのファーストとセカンド・アルバムが紙ジャケで再発されて、今年の1月に3枚目と4枚目のアルバムも紙ジャケで再発したんです。
ラスカズ これはちょっと欲しいですね。
Kaneko それは確か、某ソーシャル・ネットワーク・サイトにも書き込まれていましたね(笑)。
daisk8 それ僕です(笑)。でも、このウィスパー・ヴォイスが良いですよね。
ラスカズ マリリン・モンローっぽいですよね。
daisk8 まさにマリリン・モンローの“I WANNA BE LOVED BY YOU”をカヴァーしているんですよ。
ラスカズ そうなんですか?
daisk8 あんまり良くなかったんですけれど(笑)。
R 直球でね(笑)。
daisk8 直球いきますけれど(笑)。
池谷 アルバムのタイトルも、ピロー・トークですもんね。
daisk8 ジャケットも妖艶な感じでね。
■選曲 池谷航
南佳孝“遥かなディスタンス ”(『ROMANTICO』収録)
池谷 この曲が入っている『ROMANTICO』は、最近のアルバムです。
ラスカズ 一番新しいアルバムだよね。
池谷 この後に名曲のカヴァー集を出していましたけど、オリジナルは最新です。昨年は、999円の『999 Best 南佳孝』を10月に出されていて。また今年、新しいのが聴きたいですよね。と言いつつ、南佳孝さんは、「ニッポンの魂!!」の常連ですけれどね(笑)。
ラスカズ 毎回かかっているよね。
Kaneko 僕たちがかけているのは80年代の佳孝さんの曲なんですけれど、全然声が変わっていないのが素晴らしいですよね。
ラスカズ 顔も全然変わっていないもん。
R リリースしている年代が全然関係ないのかもしれないですね。
daisk8 このバックのライ・クーダーみたいなゆるいハワイアンな感じも良いですよね。
■選曲 服部全宏(GO PUBLIC)
古内東子“朝”(『ストレンクス』収録)
Kaneko テーマがあるそうです。〈アーヴァン感、ミッドナイト〉って(笑)。
ラスカズ 大体ミッドナイトな感じですから、そう認識しておりましたが(笑)。
Kaneko 〈凍てつく夜はこんな感じでホットに〉だそうです(笑)。
池谷 この曲、良いですよね~。
Kaneko “朝”という曲です……。
池谷 ミッドナイトなのに、曲は“朝”なんだ(笑)。
Kaneko 明け方なんですよ……多分(笑)。
R かなり直球な間違いですよね(笑)。
ラスカズ アーリー・モーニングな感じだよね(笑)。
Kaneko 〈97年の名作〉と書いてあります。服部さんが選ぶと全部アーヴァンに聴こえてきますね。
池谷 この鼻に掛かった声が良いですよね。
ラスカズ 僕もね、ちょっとくらい癖があった方が良いんですよ。
■選曲 RIOW ARAI
坂本龍一&カクトウギ・セッション“カクトウギのテーマ ”(『サマー・ナーヴァス』収録)
R これはDJでよくかけている曲です。
ラスカズ アライくん節が出ていますね。
R これは一応、坂本龍一のソロというよりは、企画ものになっていて。ファースト・アルバムの『千のナイフ』ってやつが78年で、この『サマー・ナーヴァス』が79年なんですけど、オーディオ・チェック用というか、元々の企画が良い録音状態で……高音質録音というんですかね? そういう企画で始まったらしいんですけれど。この時期は、KYLYNとかカクトウギセッションとか色々やられてまして、『KYLYN LIVE』というアルバムを渡辺香津美さんが出されていましたけれど、それと別プロジェクトで、このカクトウギセッションとしてまた作品を作ったりしてますね。ドラムが高橋幸宏で、ベースが小原礼、ギターが鈴木茂とか……。このアルバムは、スカとかレゲエっぽいコンセプトですけれど、音とかやっていることはフュージョンですよね。で、音もすごく良いです。
ラスカズ ジャケットに坂本龍一と矢野顕子の2ショットが……。
R 青山のSARAというレストランの前で撮ったショットですよね。
ラスカズ お店の名前まで知っているところが……。
Kaneko 流石ですね!
ラスカズ そういえば、YMOの“東風”って曲もお店の名前ですよね。
R 六本木の中華料理店ですよね。
ラスカズ そこには当時、YMO周りの人たちが集まっていて……っていう話で、先日、Death Comet CrewのSHIN SHIMOKAWAさんと盛り上がりましたよ。
Kaneko SHIMOKAWAさんも「ニッポンの魂!!」に盛り上がって下さっている人の一人ですよね。
ラスカズ そうそう! ぜひ、出てもらいましょう!
■選曲 LATIN RAS KAZ
さだまさし“関白宣言”(『さだまさしベスト デビュー30周年記念特別仕様盤』収録)
Boys Town Gang“君の瞳に恋してる”(『〈COLEZO!TWIN〉君の瞳に恋してる~ボーイズ・タウン・ギャング・グレイテスト・ヒッツ』収録)
モーフィング・タイム!!(注:モーフィング=似ている曲を探すということ)
ラスカズ 今回は、単純にこの2曲が似ているな、っていう選曲です。
Kaneko これはヤバいですね(笑)。
ラスカズ 曲を紹介するまでもないですね(笑)。これ、意識してるかわからないですけれど……たまたまだよね(笑)? ハミングしたら似ちゃったって感じだよね。
R いやでも、高揚感を取り入れたのかもですよね。
Kaneko なるほど。
池谷 これはラストのところですよね。
R キックがドンドンって入ってくるんで、ディスコ・ミュージックですよ(笑)。さだまさしなりのディスコ(笑)。
Kaneko さだまさしダンス・クラシックみたいな。
R 俺も一回DJでかけたことがあるんですけれど、その部分に来るまでがすごく長いから、耐えられないんですよ(笑)。待てなくって、次のをかけちゃう(笑)。
ラスカズ 意味が分からない、とまで言われちゃう。
R 今度、ショート・ヴァージョン作ろうかな。
ラスカズ お前が死んだ後も、っていうオチがあって、さらにラララっていうのが入ってくるから長いんだよね、この曲。
※トークに登場する楽曲のオリジナル盤は、廃盤・取扱い終了などで入手不可能なものがあります。記事内の収録アルバムについては、現時点で入手可能な作品をご紹介しています。
「ニッポンの魂!!」情報
・2007年1月よりSHIBUYA-FM(78.4Mhz)での放送日・時間帯が、毎月第2、第4木曜日(19:00~20:00)に変更になりました!! 5月の放送は10日と24日。ぜひチェックしてみてください。お楽しみに!