NEWS & COLUMN ニュース/記事

第8回 ─ 初夢編!!

連載
iLL presents ムー 帝 国 か ら の プ レ イ リスト
公開
2007/01/11   14:00
更新
2007/01/11   22:56
テキスト
文/小野田 雄

ファースト・アルバム『Sound by iLL』をリリースしたiLLによる語り下ろしオリジナル新連載がコチラ!! iLLこと中村弘二が、地球や宇宙のさまざまな深い神秘について語りつつ、そのシチュエーションにピッタリの5曲をリストアップしてくれます。神秘はどこにでも転がっている?かもしれない? 第八回目のテーマは〈初夢〉編。下の〈iLLなプレイリスト〉を参照しながらどうぞ!!


  夢はよく見るんだけど、仕事の夢が多いんだよね。例えば……そうだなぁ、ライヴの夢とかレコーディングの夢、あと打ち合わせの夢に取材の夢。ほかに変な夢を見ても、起きると忘れちゃうからね。しかも、それが初夢となるとねぇ……。大体、ここ最近は大晦日から元旦にかけてはライヴとかパーティがあったりするからね。最近初めて知ったんだけど、大晦日って夜も電車が走ってるんでしょ? 俺、東京にはいるけど、年末って仕事しないで家にいるから、その辺の事情を全く知らなくて(笑)。色々イベントがあるのに、みんなどうしてるんだろう? とは思ってたのね。だから、ようやく謎が解けた(笑)。で、まぁ、話を元に戻すと、初夢カルチャーはいまいちピンと来ないというか、「なに見た~?」なんて話はしないじゃない(笑)? だから、今回の選曲は初夢っていうことより、夢ってことで選んで、まぁ〈初〉を付けておけば、なんとかなるかなって(笑)。夢っていうことで言うと、悪夢は例外として、辻褄が合っていなかったり、矛盾もあったりするし、あとコラージュみたいで、存在自体はポップで、日常生活に密着してるっていう。サイケデリックって感覚とも若干被る部分もあるよね。じゃあ、まぁ、そんな感じで、早速、選曲にいってみましょう。

  ソニック・ユースの別ユニットだけど、ソニック・ユース関連のアルバムの中ではかなり好きな作品で、本来のアルバムよりライトに聴ける。ソニック・ユースって、作品を聴くとニューヨークのロック・カルチャーが思い浮かんだりするんだけど、このアルバムはそういうイメージが浮かばなくて、もっといい加減な感じ。ロック的ではない、もっとコラージュっぽい感じがあって。音楽的に夢っぽいし、このプロジェクトも一度限りってところが夢みたいだよね。ソニック・ユース自体は全般的に好きで、特に気に入ってるのはファーストの『Sonic Youth』とこのアルバム、それから『Experimental Jet Set, Trash & No Star』と『Washing Machine』かな。カラフルな方が好きみたいね。
 

  これも夢=コラージュっていうことで選んでみた。iLLやってる時もそうなんだけど、こういうコラージュを繋いで繋いで、本質を見えないようにしつつ、トラップをいっぱい用意してる音楽が大好きで。ランド・オブ・ザ・ループスを聴いた時もいいなと思ったし、自分もこういうことがやりたいなと思った。このアルバムに関しては、ファンシーで可愛かったりして、「これは女の子も分かるのでは……」っていう世界だし、高音が削られてて、モコっとした感じが夢っぽいよね。
 

  マルマリは90年代後半からやってるよね。最初はいわゆるエレクトロニカ畑から登場して、その世界でずっとやっていくのかなと思いきや、ニューヨークに行った時、ライトニング・ボルトがやってたライヴハウス〈Fort Thunder〉の出演者リストを見せてもらったら、そこでもライヴをやってて。「この人、謎だな」って思った。だから、この人についてはそんなに詳しくないんだけど、多分、本人はエレクトロニカってことを意識せず、普通に音楽をやってて、「ジャンルを押し付けられるのは構わないけど……」って感じなのかなって。この曲は、アルバムの中で唯一、ダンス・ミュージック的な曲で、自分が見る夢のサウンドトラックとしては一番近いかな。サイケなシンセとか、もやっとした空間とか。えっ、楽しそう? そうだね。夢って、自分の中ではこういう楽しそうなイメージしかないし、こういう夢を見たいんだけど、なかなかね(笑)。

  この曲は……ギター・ポップとして、ホントにいい曲だから紹介したいっていうのもあったんだけど(笑)、俺が一般の人に期待するいい夢のイメージというか、こういう夢を見て欲しいっていうイメージの曲。こういう夢を見て、仕事に行って欲しいし、こういう夢を見て、ブログにコメントを書いて欲しい(笑)。この曲に近い夢を見てる人って、いい人生送ってそう(笑)。このアルバムって、中古CDショップの250円コーナーの常連だったりするんだけど、それ見るたびに可哀想って思うんだよね(笑)。いいアルバムなのにね。

  これは曲なんだけど、無音状態が4分33秒間続くっていうコンセプトで有名だよね。いままで紹介した4曲っていうのは、夢のイメージだけど、実際の夢って、音が乗ってなかったりするじゃない? で、それにもっとも近い曲は何だろうって考えた時、ジョン・ケージがいいかなと思って(笑)。俺、たまにね、夢の中で曲作ってることもあるけど、漠然としたイメージは残ってても、具体的なメロディのラインとかリズムは覚えてない。いつも、「ああ、いい曲だったな」って感じで終わっちゃう。覚えてたらいいんだけどね(笑)。

iLLなプレイリスト~初夢編~

1. CICCONE YOUTH“Children Of Satan/Third Fig”(『Whitey Album』収録)
2. LAND OF THE LOOPS“Welcome”(『Bundle Of Joy』収録)
3. Marumari“Way In The Middle Of The Air”(『Supermogadon』収録)
4. THE LIGHTNING SEEDS“The Life Of Riley”(『Sense』収録)
5. JOHN CAGE“4分33秒”(『A Chance Operation - The John Cage Tribute』収録)

▼iLLの近作品