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第10回 ─ デジタルミュージックガイド 2007 その1 - YouTube

連載
bounce.com 5th Anniversary
公開
2007/01/09   17:00
更新
2007/01/09   19:28
テキスト
文/田口 和裕

bounce.comは2006年12月で5周年を迎えました! その記念企画として、年末年始の4週間、スペシャル・コンテンツを連日更新していきます。年が明けての第3週は〈デジタルミュージックガイド 2007〉をお届け。ますます切っても切り離せない関係になりつつある音楽とPCのあれこれについて、キーワードごとに検証&解説いたします。本日取り上げるトピックは、ネットユーザーならば誰もが活用するほどの巨大な存在となったYouTube。


YouTubeのトップ・ページ

 
  YouTubeはオンライン上に自由に動画をアップロードして共有、閲覧できるサービスです。2005年2月にサービスが開始されるとまたたく間に注目を集め、日本語化されていない英語のサービスであるのにもかかわらず2006年には日本でも多くの人にその存在を知られるようになりました。現在では1日に世界中で動画が1億回以上再生され、さらに6万5千もの新しい動画がアップロードされているそうです。また、2006年10月には検索サイトのGoogleがYouTubeを買収することで合意したと発表したことでも大きな話題になりました。

 もともとYouTubeは一般のユーザーがホームビデオなどで撮影した動画を気軽にアップロードし、それを世界中で共有して楽しむことを目的にはじまりました。現在もそのような動画は多く投稿されているのですが、最近はそれよりもプロモ・クリップやテレビ番組などを個人が録画してアップロードしたもののほうが目立つようになってきています。その傾向は特に日本で顕著なようにうかがえます。


YouTubeにアップされているオーケー・ゴー“A Million Ways”のプロモ・クリップ

  もちろんこういった映像は明らかに著作権法違反であり、レコード会社やテレビ局は著作権を侵害したコンテンツを見つけ次第YouTubeに削除依頼を出しています。

 しかし、多くの人が閲覧するYouTubeは広告媒体としての実力も巨大であるという側面もあります。例えばオーケー・ゴーの制作費たったの20ドルで撮影したシングル“A Million Ways”のプロモ・クリップは、そのダンスのおもしろさがYouTubeを通して一部で話題になり、さらに多くのYouTubeユーザー達がそのダンスを真似して自ら撮影したビデオをYouTubeにアップし、ダンスコンテストまで開催される騒ぎになったため、結局この曲は全米で大ヒットしました。

  このようにアメリカではYouTubeによる新しい形のプロモーションの試みが行われはじめており、レコード会社もYouTubeを好意的な目で見ていることが多いです。

 日本でもコロムビアミュージック(野本かりあ)のように、YouTubeを単に著作権法違反だからといって排除するのではなく、音楽ファンへ曲を伝えるための新たなチャンネルとして考えるアーティストやレコード会社も出てきました。

  もちろんメジャーなレコード会社だけではなく、予算の少ないインディーズミュージシャンがいきなりプロモ・クリップでデビューといったことも考えられるでしょう。今後ますますYouTubeは音楽と切っても切れない関係になりそうです。注目しておいて損はないでしょう。