町田 康「真実真正日記」
ミュージシャン・俳優・作家・詩人と、マルチな才能が溢れまくりの町田康。物語=嘘を書き続けることに疲れた作家の〈僕〉が、本当のことだけを書く〈真実真正日記〉をつけはじめるという本作。脱力感と滑稽さ、特異な文体と型破りな構成。そんな彼の持ち味は、自らのパロディ? ……などをはじめとした、読者のあらゆる〈読み〉をするりと抜ける。
アーシュラ・K・ル=グヴィン「ゲド戦記1巻」「ゲド戦記2巻」
スタジオジブリ制作、宮崎駿の長男・宮崎吾朗が監督・脚本で映画化されたことも記憶に新しい本作は、「指輪物語」や「ナルニア国物語」と並ぶ、人気ファンタジー小説。太古の言葉が魔法の力を発揮する世界を舞台とした、魔法使い・ゲドの物語で、現在19か国で翻訳出版されている。今回、田島氏が挙げたのはシリーズ中の1巻と2巻。
中沢新一「対称性人類学」
宗教学者、哲学者、評論家、文化人類学者として活動する著者による、中央大学などで行われた講義=カイエ・ソバージュを記録したシリーズの「人類最古の哲学」「熊から王へ」「愛と経済のロゴス」「神の発明」に続く最終回。圧倒的な〈非対称〉に支配された世界の根源を問う……という思考の冒険が、わかりやすい語り口で綴られている。
ミシェル・フーコー「言葉と物」
現代のニーチェやカントとも形容されるフランスの哲学者、ミシェル・フーコー。1984年にエイズで死去。発行当初は「バゲットのように売れた」と言われる本作は、文化人類学、言語学、精神分析学などを基盤として西洋における〈知〉の変容を語り、最終的には人類の消滅へと帰着する、歴史的大著。
アーサー・M. アーベル「我、汝に為すべきことを教えん 作曲家が霊感を得るとき」
優れた音楽が内包している、いわゆる〈聴き手をアゲるチカラ〉はどこからくるのか。作曲のインスピレーションはどのように現れるのか。本作は、創造をテーマにアメリカの音楽ジャーナリストがまとめあげた、貴重な対話集。ブラームス、R.シュトラウス、プッチーニ、グリーグ、ブルッフなど、6人の大作曲家が登場する。