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第1回 ─ 糸井重里×大貫妙子×スチャダラパー対談 第1回は〈ごあいさつ編〉

連載
NO MOTHER NO LIFE
公開
2006/11/20   17:00
更新
2006/11/20   21:04
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文/田口 寛之(構成/bounce.com編集部)

数あるRPGの中でも熱狂的ファンが多い「MOTHER」シリーズ。その最新作が、前作から8年の時を経て、今年春に発表されたことは記憶に新しいところ。そして今秋――。いよいよそのサウンドトラック盤『MOTHER3+』が登場!! ゲーム自体はもちろんのこと、「MOTHER」の中に広がる世界観のファンなど、さまざまな視点から期待が寄せられた本作には、そんな多くの声への回答と、いい意味での裏切りが内包されている。そこでbounce.comでは、プロデューサーの糸井重里、テーマ曲を歌った大貫妙子、そしてゲーマーを代表してスチャダラパーのBOSEとANIを迎えて緊急対談を決行! ……のはずが、話題はあちらこちらと思いがけない方向へ……。そんな寄り道しまくりのトークを、11月20日より〈ほぼ日刊〉で5日間連続更新いたします(23日の祝日はお休みです)!! 

糸井重里(以下、糸井) ANIは最初に会った時はこんな小さくてね(子どもの背丈のジェスチャー)。

BOSE(スチャダラパー) それはないです(笑)。でも15、6年前ですからね。

糸井 そんな頃にゲームしに来てたんだよね。

ANI(スチャダラパー) お久しぶりです。

大貫妙子(以下、大貫) 私はじめましてですよね。

糸井 (スチャダラパーの2人に向かって)大丈夫。思ったより怖くないから(笑)。

BOSE 最初にお会いした時に、いい意味でイメージが全部崩れましたね! 共通の話題がないんじゃないかと思っていたけど、全然そんなことなかった。

大貫 曲だけ聴いてる人は、すごくアンニュイな性格を予想してるみたいなので、会うとびっくりするみたい。

糸井 いや、強気な部分ももうみんなに知られてるでしょう。アンニュイで怖い人ってイメージだと思いますよ(笑)。

大貫 ひどーい(笑)!

BOSE 言いにくいけど、僕もそう思ってました(笑)。

糸井 だけど、嘘はつかないから。隙間に入っていくことができたら、仲良くできる。だから、僕はけっこう仲いいんですよ。

大貫 はい。


糸井重里 photo by MANABU HAGIRI

糸井 ……セーフ(笑)。

BOSE やっぱり、CDを聴いて勝手に思ってることっていうのは、現実とは違うんだなと。僕はいつでも元気いっぱいだと思われてるのと一緒だから(笑)。

大貫 アンニュイでいたらこの業界に何十年もいられませんよ。

糸井 だからちゃんと、アンニュイだけど怖いと思われてるって(笑)。

――ラジオではこうおっしゃってましたよね。「優しいけれど、同時に強さもあるからこそ、今回の主題歌を歌って欲しいと思った」と。

糸井 本当にそうですね。でもね、この子たち(スチャダラ)だって、強いよ~? ずっと聴いてきている人はわかると思うけれど。

BOSE どういう強さですか?

糸井 ゴボウのような……。

BOSE ずっと地中で力を溜めているような?

糸井 とにかく、大貫さんもスチャダラも、嘘をついてない。

大貫 今日、スチャダラのCDを聴いてたんですよ。共通するものを感じました。世代は本当に離れているんですけどね。はっきり言うってなかなかできないこと。それだけでも素晴らしいと思う。

糸井 世が世であれば、違うデビューの仕方をしてたと思いますね。詩人かもしれないし、踊り子かもしれないし、火消しだったかもしれないけど(笑)。

――この時代ですから、ラッパーを詩人だと言うこともできるんじゃないでしょうか?

糸井 いや、ラッパーは詩人じゃない。ラッパーは、モテたい人(笑)。

BOSE その通りですね。最初に〈モテたい〉がないラッパーはいない。

糸井 直接口説けないんで、一回音源にして、「あの娘に届けおれの気持ち!」みたいなね。松井がホームランに乗せて愛を語る、みたいなことですよね。

一堂 (笑)。

大貫 スチャダラは歌詞の量がすごく多いでしょう。ライヴの時、全部覚えてるんですか?


BOSE & ANI photo by MANABU HAGIRI

BOSE そうですね。ANIはよく飛ぶけど(笑)。

ANI 年齢と共に(笑)。

BOSE 30代に入って、だんだん反射神経が落ちてくるんですよ。口がまわらなかったりして、ノリでごまかしたりするんだけど。逆にそれがよかったということもあって。

大貫 出てこなくて、その場で反射的に作っちゃうことってあるんですか?

BOSE ありますね。全然別のことをラップし出しちゃうことがあります(笑)。

糸井 ANIが歌詞を飛ばしやすいっていうのは、なんかわかるよね(笑)。

BOSE ANIの場合は、飛ぶのもアリみたいなところはありますよね。飛んで、モゴモゴしているのもアリ。一回止めてやり直したりとか(笑)。

糸井 楽しそうだな、そういう話(笑)。こういう時、グループってうらやましいよね。

BOSE でも、飛んだときはキレますけどね。「何年やってるんだ!」って(笑)。お客さんは喜ぶんだけど。

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