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第10回 ─ ケツメイシ、MONGOL800ら出演の〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉を対談でプレイバック!

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 06
公開
2006/08/24   18:00
更新
2006/08/29   20:49
テキスト
文/ヤング係長

北海道・石狩で開催された、エゾロックこと〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉。見渡す限りの平野で、牧歌的ムードに包まれながら今年も進行したこちらのフェスについて、bounce編集部の鬼頭隆生とbounce.com編集部のヤング係長の2人が対談形式で振り返ります。


ヤング 鬼頭さんは99年の第一回目以来の参加ということですが、全体的な雰囲気はどうでしたか?

鬼頭 ものすごいピースフルでしたね。

ヤング 学園祭みたいですよね。たとえばビールの値段が店によって違うということだけでも、システマティックに過ぎないというか。

鬼頭 300円のところもあれば、400円のところもある。

ヤング 500円のところもありました(笑)。一番奥のステージなんですけれど、そこしかビールが売ってなかったので結局買ったんです。でも、すぐ隣の店では1.5倍くらいの量で同じ値段で売ったりしていて(笑)。全体的に統制がはかれていない雰囲気がいいんですよね。ゆったりしている。来ているお客さんもそんなにヘビーな音楽リスナーばかりではない。それが雰囲気のゆるさに加担しているんだと思います。「あれ観なきゃ」みたいな一生懸命さがないというか。


鬼頭 フジロックなんかは椅子を持ってきて必死に観ている人が多い印象ですが、そういう感じはないんですよね。土地が広いからか、人が多すぎるとは感じなかったし。

ヤング 雰囲気以外にインフラ面でよかったところはありましたか?

鬼頭 スタッフが良かったですね。リストバンド・チェックでみんな腕を上げさせるんですけれど、そこでハイタッチをしたり曲を流したりして。お客さんを盛り上げていました。ホワイトボードで駒大苫小牧の試合結果をリアルタイムで書いたりもしていた。サマソニとかフジロックに比べて、会場との親和性が高いというか。

ヤング バイト君たちがコンサート・スタッフを繰り返すとああいう雰囲気は生まれないと思うんです。北海道はスタッフ・バイトの数がある程度限られているから自由度が高いんだと思います。ライヴを観すぎて飽きるということがない。

鬼頭 その辺のバランスがいいんでしょうね。今年で8年目なんだけれど、スレていないのがすごいと思うんです。関東だとフジロックとかサマソニとかロックインジャパンとかTPCとかあるわけで。北海道はそういったイベントがそんなにないんでしょうね。あと、各アクトの持ち時間が長めなのも良かったですね。

ヤング じゃあ、なんか逆にネガティヴな印象は残りました? 自分が気になったのは、テントとステージが近すぎることだったんです。別に悪いことではないんでしょうけど、眠るときにうるさそうだなと(笑)。

鬼頭 〈BOHEMIAN GARDEN〉なんか、ステージから30mくらいのところにテントが建っていた(笑)。あとは、ライヴが終わると急に静かになっちゃうような感じが寂しかった。もっといろんな場面で音が鳴っていてもいいのかなぁ、という気もしました。うるさすぎるのも良くないですけど。


ヤング 〈BLACK HOLE〉でShing02がライヴをやっていたときに、時間通りに行ったのに速攻で入場規制がかかってしまったことは残念でした。ステージが小さすぎる。でもまあ、そんなもんですよね。他のフェスと大きく違う点っていうのはやっぱりテントだったんじゃないかなと。あれは楽しそうだった。みんなバーベキューをやっていて。出会いの場としても機能していたはず。テント宿泊の人とそれ以外だったら全然楽しさが違うんだろうなと思います。

鬼頭 ジンギスカンのにおいが漂ってましたね。あれだけでご飯3杯いけるみたいな(笑)。朝までなので休む場所が必要だからテントが普及しているんでしょうね。

ヤング キャンプをしに行くようなお客さんもたくさんいたと思うんです。そういう楽しみ方ができるのがいいですよね。チケットも安いし。地元の人にやさしいフェスっていうか。そういうもろもろの条件がお客さんがスレていないことと繋がっていたんでしょう。

鬼頭 最近はフェスが増えてきてお客さんの数やラインナップにも飽和状態という感じがするところが多い。そういう、いっぱいいっぱい感はライジングにはなかった。ずっとこういう感じでいくんでしょうね。そういう意味ではこのフェスは地に足が着いていますね。目先の動員にとらわれていない。調子に乗ってない感じがするんです(笑)。

ヤング アーティストの話もしましょうか。自分はDOPING PANDAにびっくりしました。朝の4時過ぎてもお客さんがびっしりで。彼らは3年連続で出場していて、今年は〈EARTH TENT〉のトリということがすごい嬉しかったみたいで。

鬼頭 〈SUN STAGE〉のKEMURIはいつもならもっと盛り上がるのかな?という感じがしましたね。ライヴの盛り上がりはお客さんの体力にも依存するから。でもアンコールをやったんですよ。“P.M.A”で終わったと思ったらまた出てきて“Ato-IchiNen”を最後にやった。ライジングでは初めてのことらしいですよ。


ヤング ベストアクトはなんでしたか?

鬼頭 米米CLUBですかね(笑)。あとはEGO-WRAPPIN'も良かった。

ヤング 自分はMONOも良かったんですけれど、ボーっと観ていた真心ブラザーズがベストだったかも。スカパラがゲストで参加していて、コーラスも加えて音に厚みがあった。セットリストはヒット・パレードという感じで。昔の曲を堂々と演奏している姿にじーんと来てしまいました。ベタなんだけれど、そのまま同じことをやっているわけでもない。ちゃんと更新されていた。

鬼頭 ムーンライダーズはちょっとしか見られなかったけど良かったですね。ジャム・バンドみたいなフィジカルなセッションを延々とやっていて。最初は人がいなかったんですけれど、だんだん集まってきて。(鈴木)慶一さんのアクションの一挙手一投足で盛り上がったりしていました。

ヤング でも、なんだかんだ言ってやっぱり疲れましたよね。歩きまわるし、朝までやってるしで。

鬼頭 体力の消耗度は一番ですよね。みんな楽しそうでしたけど。寝っ転がってる人の数がすごかった。降水確率が70%だったんだけれど、2日目は結局晴れてくれて本当に助かりました。天気に左右されるフェスだなという気がしましたね。朝まで雨だと悲惨だったと思います。日をよける場所もなかったので、晴れてもまたきつかったはず。


ヤング そういう意味では、ずっと曇りだった今年は過ごしやすかったですね。朝日が見られなかったのは残念でしたけど。では、今後期待することってなんかありますか?

鬼頭 このままでいいと思います(笑)。このピースフルな雰囲気をキープしたまま、スレずに変わらないで続いていってくれるのが一番いいんじゃないでしょうか。

※次回は各アーティストのライヴ・レポートをお送りいたします。お楽しみに!

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介