7月29日に出演するアーティストの作品を紹介
RED HOT CHILI PEPPERS
『Stadium Arcadium』Warner Bros.(2006)
世界最強バンドが通算9枚目となる新作をリリース! 力強くも温かい、現在の彼らの姿を象徴するかのような先行シングル“Dani Carifornia”に始まり、メロウな歌モノやバキバキのファンク・チューン、ジョン・フルシャンテの鬼気迫るギター・ソロを大々的にフィーチャーした楽曲まで、キャリアの集大成とも言えるヴァラエティーに富んだ内容。〈充実の〉なんて言葉では到底及ばない、宇宙的スケール感を持った2枚組だ。(粟野 竜二 bounce 2006年06月号掲載)
JUNIOR SENIOR
『Hey Hey My My Yo Yo』Crunchy Frog (2005)
デビュー作『D-D-Don't Don't Stop The Beat』で世界中を狂喜乱舞させたダンス・ユニット、ジュニア・シニアのセカンド・アルバム! 今作では北欧ポップ・シーンの重鎮=トーレ・ヨハンソンを巻き込んでさらなる進化を遂げており、ウルトラ・ハッピー・チューンの数々を披露! デコボコ・コンビがまたしても極上ポップ・アルバムを世界に送り出します! この勢いは誰にも止められない? 合言葉は〈Hey Hey My My Yo Yo〉!(則武 秀保 bounce 2005年9月号掲載)
SONIC YOUTH
『Rather Ripped』Geffen(2006)
ジム・オルークが日本映画の勉強に専念するため、オリジナル・メンバーの4人に戻ったソニック・ユース。結成25年目にして20枚目というキリの良い新作は、清々しい歪みに貫かれている。もはやソニック・ユースでしかない音を奏でながら、ギリギリで完成を拒むようなスリル。淡々としつつも、気がつけばギター・ノイズが喉元に斬りつけてくる。まるでパンクを自然現象にまで高めたような無念無想の構えは、剣の達人の如し。(村尾 泰郎 bounce 2006年6月号掲載)
KEN YOKOYAMA
『Nothin’ But Sausage』 ピザ・オブ・デス(2005)
『The Cost of My Freedom』から1年9か月ぶりとなるセカンド・アルバム。前作の顔ぶれとは一変して、昨年3月に初ライヴを行った〈KEN BAND〉のメンバーと共に作り上げられた今作は、バンドとして動き出した彼らの記録であり、KEN BANDとしての初アルバムともいえるだろう。ほとんどの曲は2分前後だが、ライヴを通じて作り込まれていったであろう耳に残るメロディーは、観客もいっしょに歌っている様が浮かぶ、いかにもライヴ映えしそうなもので、思慮深さを増した歌詞、そしてなにより疾走感溢れるビートが、それらの短い曲のなかに凝縮して詰め込まれている。一辺倒に陥らないソングライティング力は懐の深さを感じさせ、それらの曲に絶妙に挟み込まれたアコースティック・ナンバーはアルバムに幅をもたらしている。勢いだけではなく成熟度の高さをも感じさせてくれる、完全無欠のパンク・ロック・アルバムだ。 (池田 義昭 bounce 2005年11月号掲載)
SCISSOR SISTERS
『Scissor Sisters』Polydor(2004)
エレクトリック・シックスにジュニア・シニア……おバカな院内感染が絶賛蔓延中の昨今、またまた来ました超新星の患者さん! オカマ・ルックスのメンバーを含むNY出身の5人組ってだけでキナ臭さムンムンなんだが、ピンク・フロイドのカヴァー“Comfortably Numb”やビー・ジーズ風ディスコ・ハウスなど、確信犯的にスキ間を突くそのセンスは見事。変態エレクトロクラッシュ病棟に、アナタも入院してみます?(加賀 龍一 bounce 2004年04月号掲載)
locofrank
『The First Chapter』773 Four RECORDS(2006年)
前作『ripple』から約2年。この日をどれだけ待ちわびていたことか! locofrankの2作目がついにリリースです! 男前な歌声、耳に気持ち良いザクザク・ギター、ツブツブ感がたまらんベース、弾むように奏でられるドラム、涙が出るくらい美しいメロディー……これらが一体となり出現するいわゆる〈ロコ節〉全開のまま、アタマから全力疾走で駆け抜ける、捨て曲なしの12曲! 期待をまったく裏切らない内容!(たけい まき bounce 2006年07月号掲載)
MYSTERY JETS
『Making Dens』 WM Int'l(2006)
ロンドンはテムズ川の中域に浮かぶ小さな島から現れた話題の個性派5人組がデビュー・アルバムをリリース。驚くなかれ、ギターのヘンリー・ハリスンさんはキーボードのブライニー・ハリスン君のお父さんであり、つまり〈保護者付きバンド〉なんです。しかも、このお父さんがNME誌の〈クール・リスト2005〉の上位にランクインしてしまうという〈ちょいワル〉では済まされない切れ者! フランツ・フェルナンド級のポップなメロディーセンスがとにかく素晴らしく、コーラルやズートンズにも似たストレンジな空気と、暗い森の向こうからやって来た〈不思議の国のバンド〉的なミステリアスな雰囲気はジャケのセンスそのままにアルバム全体を包み込んでいて、メンバー全員がシド・バレットを崇拝しているのにも頷ける。そんな彼らは〈フジロック〉での来日も決定! 苗場の森を抜けて彼らの最高のプレイと出会う前に、今作をチェックしない手はない!(白神 篤史 bounce 2006年05月号掲載)
eastern youth
『365歩のブルース』 キング/裸足の音楽社(2006)
古巣の坂本商店を離れた彼らの約1年半ぶりとなる新作が登場。〈心をうたうことがブルース〉というコピーがあまりにも相応しい今作は、365日移ろい、葛藤を繰り返す彼らの心奥そのものである。一音入魂、何気なく鳴らされている音や言葉などひとつとしてない。音と化した感情と風景は匂い立つほどに繊細で生々しく、ゆえに聴く者への容赦もない。聴け、泣け、叫べ。人間力溢れるブルース・パンクの大傑作だ。(山崎 聡美 bounce 2006年03月号掲載)
TRISTAN PRETTYMAN
『Twentythree』 Virgin(2005)
サンディエゴからオーガニック・ロック界の女神現る!? その女神とは、ギターとサーフィンをこよなく愛する23歳の才女=トリスタン・プリティマンのこと。メロウでソウルフルな歌声には抜群の安定感があり、デビュー作とは思えないほど聴き手に安らぎを与えてくれる。女性にしか出せないこの柔らかさは、絶好調のサーフ・ロック・シーンに欠けていたものなのかも。新鮮さというよりは、〈ただいま〉と言いたくなる一枚だ。(山西 絵美 bounce 2005年08月号掲載)