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第2回 ─ WIM WENDERS

第2回 ─ WIM WENDERS(2)

連載
DIRECTORs CHAIR
公開
2006/05/11   14:00
更新
2006/05/11   15:24
ソース
『bounce』 275号(2006/4/25)
テキスト
文/長屋美保

緋文字 東北新社  
「スカーレット・レター」の原作である、日本未公開の72年作。17世紀、米西海岸の清教徒の町を舞台に、姦通罪を着せられた女が娘と慎ましく生きる姿と、若き牧師の苦悩を描く。何度も映画化された題材を扱った、ヴェンダースのわかりやすい文芸映画というのがかなり新鮮だ。

ベルリン・天使の詩 東北新社 
壁が崩壊する前のダークなベルリンを舞台にしながらも、天使と人間が恋に落ちる姿を描いた、ヴェンダースにしては稀な希望的で心温まる87年作。 「刑事コロンボ」でお馴染みのピーター・フォンダが元天使役で出演していて、いい味を出している。

まわり道 東北新社  
執筆活動に行き詰まった若き小説家が、自分探しの旅の途中で出会う奇妙な人々や出来事……。まるで鬱屈した夢のような世界を皮肉っぽい独特な視点で描いた、ロード・ムーヴィー3部作の作品。まさに人生は〈まわり道〉の連続なのだ、と痛感させられる74年のリアルな青春映画だ。

ミリオンダラー・ホテル エムスリー  
LAのダウンタウンにある、社会からドロップアウトした人々が集まるホテルを舞台にした、あまりにピュアで悲しい愛の物語。U2のボノが企画、製作、音楽を手掛けた2000年の作品。疾走感溢れるロック・サウンドが詩的な映像を際立たせている。

東京画 東北新社  
ヴェンダースが崇拝する日本の奇才、小津安二郎監督。その映画の舞台となった東京を多角的に捉えた85年のドキュメンタリー。小津映画の撮影監督や、常連俳優であった笠智衆などの話も印象的であるが、昭和の東京の姿が収められているのがどこか懐かしくておもしろい。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ バップ  
ライ・クーダーがキューバのヴェテラン音楽家たちを復活させたプロジェクトを追った99年のドキュメンタリー。キューバでのアルバム制作過程や日常風景、そして彼らが夢にまで見たNYのカーネギー・ホール公演までを瑞々しく捉えた感動作。

Paris, Texas Warner Bros.  
ヴェンダースの代表作「パリ、テキサス」(84年)のライ・クーダーによるサントラ。記憶を失い、荒野を彷徨う中年男と、記憶から逃げて生きるその妻。そして彼らに置き去りにされた息子。複雑な胸中の3人の再会を描いた映像の背後に響く、乾いたギターの音は果てしなく切ない。

ソウル・オブ・マン 日活
〈ザ・ブルース・ムーヴィー・プロジェクト〉の一環として2003年に制作されたドキュメンタリー。ブルース界の伝説とされる3人の異才たちの生き様を貴重なライヴ映像などで綴る。彼らの曲をルー・リードやベックなどが自己流にカヴァーする場面が興味深い。 

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