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第11回 ─ 高橋幸宏

連載
SPOTLIGHT!
公開
2006/04/20   00:00
更新
2006/04/20   18:06
ソース
『bounce』 274号(2006/3/25)
テキスト
文/小野田 雄

実験精神を洗練性で包み込んだ極上のポップ・ワールド


 鈴木慶一とのTHE BEATNIKS、細野晴臣とのSKETCH SHOW、そして坂本龍一を加えたその発展形=HUMAN AUDIO SPONGE……と、ここ数年はそれらのユニットを通じて、活発な音楽活動を展開してきた高橋幸宏。活発なだけでなく、Corneliusや青木孝允、半野喜弘といった下の世代との交流を図りながら、その表現の矛先を先鋭的なエレクトロニカ・シーンに向けてきた彼が、およそ7年ぶりとなるソロ・アルバム『BLUE MOON BLUE』をリリースした。ハー・スペース・ホリデイや、フォークトロニカの代表的なレーベルであるカラオケ・カーク所属のマーズ、盟友であるスティーヴ・ジャンセン(元ジャパン)といった海外勢から、SKETCH SHOWでの相棒=細野晴臣とそのマニピュレーターであるanonymassの権藤知彦、カントリー・ギターの名手=徳武弘文といった日本勢を適材適所で配し、永遠の微熱少年たる彼の世界観を具現化。誤解を恐れずにあえて形容するなら、この作品は彼がYMO絶頂期の80年にリリースした名作『音楽殺人』の2006年版だ。フォークトロニカ~クリック・ハウスの実験と試行錯誤をポップスへと美しく昇華した、先鋭と洗練の先にある傑作である。