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第69回 ─ PRINCE, DON'T WANNA BE KING!!

連載
NEW OPUSコラム
公開
2006/03/30   19:00
更新
2006/03/30   23:11
ソース
『bounce』 274号(2006/3/25)
テキスト
文/出嶌孝次

王国の復権を告げる待望の新作『3121』がついに降臨!! 関連作品も続々登場してるぞ!!

エル・プレジデンテが“Raspberry Beret”をカヴァーしていたり、ファレル・ウィリアムズの“Angel”がそのまんまだったり、アーシュラ1000のような人がいたり(P27参照)、何だかんだ言って、〈プリンス的なるもの〉はいよいよスタンダードなものとして、広く音楽シーンに定着しているようだ。そもそも、コロムビアと契約して2004年にリリースした『Musicology』が内容/セールス共に良好な作品だったのは、アリシア・キーズやアウトキャストらによる再評価熱の高まりに上手く応えた結果だったはずだ。つまり、音楽シーンで〈プリンス的なるもの〉が普遍化した現在、彼が好調の波に乗らないはずはないだろう。そして2005年末に飛び込んできたのは、彼がユニバーサルとアルバム1枚の契約を新たに交わしたというニュースだった。

 そうやって登場したニュー・アルバム『3121』は、結果として彼が何かを取り戻した恐るべき傑作となっている。常に水準以上の作品を送り出しているのに〈取り戻した〉とか言うのもおかしな話だが、今回の彼は、先行カット“Black Sweat”に代表されるような、かつて〈密室的〉と呼ばれた独特のファンク・サウンド──つまり多くのフォロワーたちが挑んだ領域へとふたたび確信的に足を踏み入れているのだ。当然、エロいスロウも充実しているし、ボッサ調の“Te Amo Corazon”のような新味もある。変態的にキレキレなヴォーカルも最強で、近年の最高傑作に推す人も多いだろう。いずれにせよ、永遠に即位せず、王位に胡座をかくこともない彼は、どうやってもプリンスだってことだ。最高!!

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