「彼を〈ゴッド〉と呼ぶ奴がいるが、俺なら彼を〈世界中でもっともバッドなプロデューサー〉と呼ぶね。もちろん〈バッド〉は〈グッド〉を意味しているけど!!」(DJスニークのコメントより)──その〈ゴッド〉と呼ばれたプロデューサーこそトッド・テリー。初期ディスコ~ハウスのリイシュー盤ラッシュに続いて、今度は3枚組ベスト・アルバム『The Todd Terry Trilogy : Past, Present & Future』がお目見えです!! 67年にブルックリンで生まれ、思春期にラテン・ヒップホップ~フリースタイルの洗礼を受けたトッドは、88年頃からハウス・プロデューサーとして台頭。ディスコのリズム・マシン移植版(の奇形版)としてシカゴより逆輸入されてきたハウスに、ヒップホップ譲りのビート感とディスコ・サンプル連打を注入し、その音楽を〈ケツを突きあげるようなバッデスト・ダンス・トラックス〉として発展させた罪作りな方であります。彼が生み出した音楽の影響下にある面々を挙げるなら、ロジャー・サンチェス、アーマンド・ヴァン・ヘルデン、ベースメント・ジャックス、ベン・シムズなどなど……またヒップ・ハウスからテック・ハウスに至るまで(もちろん、すべてではないけれど)、さまざまな音楽のビートには〈トッドイズム〉が流れていると言ってもいいのかもしれません。
15年以上に渡り、膨大な名義やリミックス仕事(エヴリシング・バット・ザ・ガールからマイケル・ジャクソンまで!)を残している彼ですが、今回のベスト盤の選曲はディスコ&ヒップホップ育ちならではのルーツ感が全開な初期音源、そして近作のなかでもオールド・スクール色の強い音源が中心となっています。例えばアーサー・ラッセルをサンプルした“Bango”、80's感覚に溢れたヴォーカル・トラック“Weekend”、ジャングル・ブラザーズのヒップ・ハウス古典“I'll House You”、さらにはハード・ハウス界隈で大ヒットを飛ばした“Jumpin'”の新録リミックス……。しかもDisc-1はDJミックス仕様で、弾けるスネアに吠えるヴォイス・サンプルの連続! 能書きはこのぐらいにして、あとはコイツでケツを突き上げたって!!!
▼トッド・テリーのリミックス・ワークが聴ける作品を一部紹介。