PAUL McCARTNEY
『Unplugged (Official Bootleg)』 Parlophone(1991)
〈Unplugged〉から生まれた初のライヴ盤。当時の愛妻リンダら馴染みの面々と共に、ソロでは初披露のビートルズ・ナンバーやオールディーズも交えて、力強いパフォーマンスを聴かせる。14歳の時に初めて書いたという“I Lost My Little Girl”も歌うなど、ポールの作品史的にも重要な一枚。ヘイミッシュ・ステュワートが歌うビル・ウィザーズのカヴァーもいい。(出嶌)
ERIC CLAPTON
『Unplugged』 Reprise(1992)
番組自体のコンセプトを如実に体現した初期〈Unplugged〉の最高傑作。説明不要の“Tears In Heaven”やダウン・ホームに生まれ変わった“Layla”などがいいのはもちろん、重要なのはロバート・ジョンソンなどのブルース・カヴァーが半分以上を占めること。ここでの〈ブルース再発見〉が後の『Me And Mr. Johnson』まで続く旅の端緒だったことは明白で、本人にとっても欠かせなかった分岐点に違いない。バカ売れしたからって軽んじてはダメですよ。(出嶌)
MARIAH CAREY
『MTV Unplugged EP』 Columbia(1992)
今じゃ立派なセレブの仲間入りを果たしているマライア姫による、デビューから2年を経ての〈Unplugged〉。自身のルーツのひとつであるゴスペルを呑み込み、地の底から吐き出すような重厚な歌唱はこの形態ならではの迫力。ジャクソン5のカヴァーとなる“I'll Be There”の名唱をはじめ、姫の若々しさとド根性な地力を存分に堪能できる圧巻の名盤。(加賀)
ROD STEWART
『Unplugged...And Seated』 Warner Bros.(1993)
〈MTV Unplugged〉から生まれた音源のなかでも傑作と名高い、92年収録の音源。テンポの良い滑り出し、バラード4連発は大人の雰囲気。どれもリラックスしていて素晴らしい演奏ばかりだが、必聴はゲストで参加しているロン・ウッドと聴かせるフェイセズ時代の代表曲“Stay With Me”。旧友との共演は大いにファンを歓喜させた。(まちだ)
ARRESTED DEVELOPMENT
『Unplugged』 EMI(1993)
ヒップホップ・グループ初の〈Unplugged〉出演となったのが、スピーチ率いるピースフルなヒップホップ革命集団。〈サザン・ヒップホップ・フォーク・エスニック・ファンク〉とも表現された彼らだが、その独特の雰囲気の本質により近いここでのパフォーマンスは、ハードコアなラップが流行っていた当時、革新的だったに違いない!!(まちだ)
NEIL YOUNG
『Unplugged』 Warner Bros.(1993)
エレキ・ギターを壊れそうなくらい弾き倒すヤングも好きだけど、繊細な歌声で綴られる切なくも温かいアコースティック・ライヴもまた格別だ。ここでは代表曲“Like A Hurricane”を小型パイプオルガンで演奏したり、未発表の“Stringman”、さらにはニコレット・ラーソンとの共演など、シンプルながらも聴きどころは満載!(まちだ)
NIRVANA
『Unplugged In New York』 DGC/Geffen(1994)
破壊衝動のスイッチをオフにしてニルヴァーナが挑んだ大名演。ラウドなサウンドを排し、デヴィッド・ボウイ“The Man Who Sold The World”をはじめとするカヴァーが収録曲の多くを占拠したパフォーマンスは、〈静寂〉がバンドの別側面であり本性でもあるというパラドックスをありありと剥き出しにした。収録より約半年後に命を絶つカート・コバーンの終盤における魂の絶叫は、断末魔と呼ぶにはあまりに悲しく心に響く。(加賀)
BOB DYLAN
『Unplugged』 Columbia(1995)
ディランはフォーク・シンガーだから、このようなライヴはあたりまえなのかもしれない。だが、崩しまくった歌唱法にどの曲を歌っているのかわからず、〈サビまで来てやっと聴き覚えのあるフレーズ〉なんてのがほとんど。でも、それがディランのスタイルであり、60年代の楽曲を色褪せさせない方法でもある。こうやって歌は蘇り、また彼に魅了させられるのだ。(まちだ)
ALICE IN CHAINS
『Unplugged』 Columbia(1996)
オルタナ~グランジ勢のなかでもニルヴァーナと並んで必携なのがこのアリチェンの一枚。ヘヴィーに彩られていた原曲を、独特の静けさでより重厚で暗いムードに仕立てたアレンジが素晴らしい。すでにボロボロだったレイン・ステイリー(2002年死去)の穏やかなヴォーカルはあまりにも悲痛で美しい。それをリラックスした雰囲気でサポートするバンドの一体感にも涙。(出嶌)
KISS
『Unplugged』 Mercury(1996)
地獄の軍団が仮面を脱ぎ捨て、派手なパフォーマンスとも離れた95年の録音。この特殊なステージのもと、後半では16年ぶりにオリジナル・メンバーが揃って、会場は熱狂の渦に! 名曲“Beth”、そして“Rock And Roll All Nite”で大合唱! 止むことのない歓声に応えたかのように彼らは再結成し、翌96年にはワールド・ツアーを行うこととなった。(まちだ)
BRUCE SPRINGSTEEN
『Plugged: In Concert』 Columbia(1997)
さすがはボス!? 〈アン〉プラグドがお約束のライヴなのに、2曲目からプラグ・インしてしまうという92年収録の問題作(?)。翌93年にヨーロッパで限定リリースされていたものだが、97年になって全世界で正式にリリース。新バンドとのスタートとなったライヴで賛否両論はあるものの、この時代に残した唯一の公式ライヴ音源として重要なのは事実だ。(まちだ)
BABYFACE
『MTV Unplugged NYC 1997』 Epic(1997)
自作『The Day』の大ヒット、エリック・クラプトン“Change The World”をはじめとするプロデュース仕事の大成功など、ポップ・マエストロとして脂の乗り切った時期に披露したスタイリッシュな名作。先述のクラプトン曲や他アーティストへの提供曲を贅沢にセルフ・カヴァーし、マイルストーンやスティーヴィー・ワンダーらのゲストも豪華。自作ではないマイケル・ジャクソン“Gone Too Soon”のカヴァーは謎だが……。(出嶌)
*Unplugged(アンプラグド)はMTV(ミュージック テレビジョン/バイアコム インターナショナル インターナショナル インコーポレイテッド)の登録商標です