しんさく館
きになるないようをしょうかいするよ!!

すっごく時間が経っちゃったね。bounceの6月号を持っている人は改めて見てほしいんだけど、ボクが案内する〈スティーヴィー万博〉の様子が紹介されてるんだ。手元にない人は〈bounce.com〉をチェックしてみてね!(過去の記事はこちらとこちら) で、その万博はワンダーさんの新作に合わせて開催したのに、待てど暮らせどワンダーさんはシカトを決め込んでるんだから……ヒドイよ! ボクもいろんな人たちから怒られたり泣かれたりしてるうちにひと夏がすぎてしまって……ワンダーさんのせいで夏を楽しむどころじゃなかったよ! もちろん、昔の奥様であるシリータさんやレイ・チャールズさんに続いて、フォー・トップスのオービーさん、そしてルーサー・ヴァンドロスさん、と親しい人たちが次々と亡くなってしまったり、心を痛める出来事も多かったから仕方ないんだけど……。でも、ステキなバラード“From The Bottom Of My Heart”のシングルを間に挿んで、やっと『A Time 2 Love』が届けられたんだ!!
オープニングを飾るのは力強いゴスペル・ナンバー“If Your Love Cannot Be Moved”だよ。キム・バレルさんとの掛け合いも、カーク・フランクリンさん指揮のクワイアもすごい! ワンダーさんのアルバムは毎回1曲目が重要だけど、今回はスピリチュアルな愛を歌い上げる曲が多いってことかな? 一方、2曲目の“Sweetest Somebody I Know”は、70年代のワンダーさんを思わせる日だまりのようなボッサ風だよ。最後に入ってる〈ダディ!〉っていう声は郷ひろみ君とは関係なくて(古!)、ケイランドちゃん、つまりワンダーさんの子供の声なんだよ。20年前に“Isn't She Lovely”に娘アイシャの声を挿入してたのを思い出す人も多いだろうけど、そのアイシャさんが大人になって“How Will I Know”と“Positivity”をパパとデュエットしてるんだから……時の流れを感じちゃうよ! え? ワンダーさんのロングランな子だくさんぶりにビックリだって? ボクは夢の世界の住人だからそんな連想はしないよ!
気を取り直して……他にも注目曲はいろいろなんだけど、全体のプロデュースはもちろんワンダーさん。今回は意識的に生音っぽい耳触りの曲が増えてて、シンセの響きにもヴィンテージ感があるね。演奏はほとんど本人なんだけど、ゲストが集まってきて賑やかに作られてる曲も多いよ。先行シングルの“So What The Fuss”ではプリンスさんがギターを弾いていたし、“Tell Your Heart I Love You”でスライド・ギターを披露しているのはボニー・レイットさんさ! “My Love Is On Fire”ではヒューバート・ロウズさんの夢心地なフルート演奏がムード満点だし、マイク・フィリップスさんのサックスが効いた“True Love”も上々、さらにはナラダ・マイケル・ウォルデンさんを単にドラマーとしてだけ呼んできた“Shelter In The Rain”もゼイタクだね。
しめくくりは、オープニングと同じくクワイアをフィーチャーしたインディア・アリーさんとの共作曲“A Time To Love”。ナイジェリア、インド、ウズベキスタンなど世界各地のパーカッション(タブラ、コンガ、トーキング・ドラムなど)奏者を迎えた人類愛の歌さ。万博のフィニッシュにふさわしいこの曲には、ポール・マッカートニー卿をいちギタリストとして招いてるんだ。さすがは音楽界の元祖・絶対君主ことワンダーさんだよね。あらためて見直しちゃったよ。
これで〈スティーヴィー万博〉は本当に閉会!! ただ、このナイア↓のようにワンダーさんの影響を受けた人たちは毎月現れてきているから、みんなもチェックして心の万博を開催してね! じゃあ、また10年後!!
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介