
80年にリリースされたRCサクセションのアルバム『ラプソディー』。日本のロックはこの一枚から始まり、いま現在においても日本のロック史上最高のアルバムであって、これを超える作品は作られていないとも言われている歴史的名盤だ。80年4月5日に久保講堂にてライヴ・レコーディングされた今作は、当時のさまざまな状況判断によって後からスタジオでオーヴァーダビングやエフェクトが施され、録音された全18曲中、9曲に絞られてリリースされた。
で、それから25年。ビートルズの『Let It Be... Naked』にヒントを得て、ライヴ・レコーディングされた音源そのままの完全実況録音盤『ラプソディー ネイキッド』として登場することとなった。のちのアルバムに収録される“ロックン・ロール・ショー”“たとえばこんなラヴ・ソング”“いい事ばかりはありゃしない”“指輪をはめたい”といった代表曲から、観客の歓声やMCまで、ライヴのすべてがCD2枚にたっぷりと収められている。これだけでも快挙なのだが、さらにこの〈ネイキッド〉のリリースが大事件だと言えるのは、そのライヴ映像が発掘されて6曲分収録されたDVDも付いてるってこと。そこで本作の魅力について、ZAZEN BOYSの向井秀徳に、新作のレコーディングでバリバリ忙しいなか、缶ビール片手にたっぷりと語ってもらいました。
「『ラプソディー』を初めて聴いたのは中学の頃ですかね。いまも聴きますよ、凄い好きなんすよ。好きなところばかりまず言わせてもらいますけど、オープニングSEっつうんですかね、MCの前の〈シュンシュンシュンシュン〉っての。あれがね、結構興奮しますよね。あと1曲目“よォーこそ”のケツでね、終わったかと思わせつつGee-2wooがシンセのコードを弾いてる。で、ひとり紹介を忘れとったって感じで清志郎が〈サンキューエヴリボデー。ボデー? Gee2woo!〉って紹介しはじめる。それからもう一回〈よォーこそ!〉ってテーマがガーッと戻ってくるわけ。あれが凄いカッコいいっすね。ZAZEN BOYSのライヴでも各メンバーの名前を連呼するんですけど、バンド全員を観客に向けてアピールするというのは同じだな、と思います。
で、中ジャケの写真とか当時見て、ライヴってこんななんか、終わったときボロボロになるんやって。かなり臨場感あるというか、生々しいんですよ。あと〈バンドマン〉って言葉が歌詞に凄く出てきてね。まさにバンドマンって感じがしますよね、この写真は。俺もバンドマンでありたいですね。
“雨あがりの夜空に”は高校のときに文化祭でやりました。Dコードをギターでズバーッと掻き鳴らす快感、これはどんな時代でも、何回やっても普遍的だなと思いますよ。ホント、ロックの根本的な気持ち良さって言うんですかね。
この〈ネイキッド〉には曲がいっぱい入っているわけですけど、オリジナルのほうも完成されていますよね。〈ネイキッド〉を聴いて、オリジナルはウソっぽかったなと思うかどうかというと、俺はそうは思わない。生まれてる空気をそのまま録音しているから、それだけでいいっちゅうかね。もちろん〈ネイキッド〉も最高だし、オリジナルも作品としてのクォリティーを作るためにいろいろと手を加えたかも知れないですけど、元にある空気は完全にパッケージされてるから。
RCサクセションはライヴ・バンド以外の何者でもない、その証明がここにある、と。この〈ネイキッド〉で初めてRCを聴いてサイコー!と思ったら、ぜひともいまの清志郎さんもサイコー!なんで、観てもらいたいという思いもありますよ」。
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