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第13回 ─ ヒップホップ界で輝く二対の銀牙、スヌープ・ドッグとバウ・ワウ

連載
ブラックミュージック ★ 肉 体 白 書
公開
2005/08/18   11:00
更新
2005/08/18   18:01
テキスト
文/一瀬 大志

ある時はサイト・リニューアルの裏側で活躍するスーパー・プログラマー、ある時ははてなダイアリーに〈男のひとり飯〉生活を記録する独身貴族、そしてある時はヒップホップ/R&Bのプロモクリップ映像の世界(肉体)にトコトン魅せられる一男子……一瀬大志がレペゼンする筋肉映像コラム。その名も〈ブラックミュージック★肉体白書〉。今回は西海岸で吠え続けるヴェテラン=スヌープ・ドッグと、大人の階段を登りつつあるティーンMC=バウ・ワウについて。

えーっ、ベタ過ぎてアレなんですが言わせてください。「夏はビールがうまい!」ですよね。ホントに。私の暮らすここ渋谷区恵比寿には最近やたらと〈立ち飲み屋〉が出来てまして、この夏は例年にも増して平日からビールを飲む量が増えているんですが、そこで実感するのが人間のカラダの素直さ。口から入れたものに応じてちゃんと体が構成されていきます。8月に入ってからは猛暑による夏バテも重なり、すっかりトレーニングをさぼっていたところ、いつのまにやらお腹の上にいい感じの肉が熟成されつつありました。

そんな中、知り合いからスポーツクラブの無料招待券を貰ったので、有効期限が切れる前に覗いて来たんですが、行ってみて驚いた。圧倒的に女子が多い!!

〈平日の夜の早い時間の渋谷〉という条件下だからかもしれませんが、なんと、ジムでカダラを動かしている人間の8割が女子! しかもみんな〈年頃の娘〉といった感じで、「こんなところにこんな場所が!」と、ひとり金脈を発見したような興奮につつまれてしまいました。ただ、ああいった場所って、みんなそれぞれに〈目標に向かって黙々と頑張ってる風〉を装ってたりするんで、声かけづらいオーラがビンビンに出てるんですよね。ヘッドホンつけて夕方のニュース観ながらバイク漕いでたり。でも、カラダ動かして汗かいたあとは絶対ビールとか飲みに行きたくなるハズなので、タイミングをみてうまく誘ったりできれば……と、マジメにトレーニングに励んでいるように見せかけて、頭の中ではそんなことばかり考えてしまいました。実は周りのみんなも同じようなことを考えてたりしてるんで、それを悟られまいと無駄に頑張っているのかもしれません(希望的観測)。

そんなわけで、夜のスポーツクラブ。いろんな妄想が出来る楽しい場所であるということと、よりおいしくビールを飲むための準備運動ができる場所であるということが確認できました。あと、なにげにアッシャーとか肉体派な映像が流れてたりするんで、いろんな意味でヤル気満々にさせてくれるのもいいですね。まったりした日常を送っている人は、とりあえず無料体験とか申し込んでみることをオススメします。

■ Snoop Dogg

またも導入が長くなってしまいましたが、アーティスト紹介いきます。そのすっとぼけた感じとゆるいラップ具合から、ビール同様、この盛夏時に摂取量が増えがちなのが〈西海岸の稲川淳二〉こと、スヌープ・ドッグ。特に近年は、ファレルとのゆるゆるリゾート・チューン“Beautiful”が最高だったり、“Drop It Like It's Hot”の前衛的スカスカ感がヒップホップ・ファン以外にもアピールしてみたりと、ヴェテランとは思えぬ第一線の活躍を我々に見せつけてくれているわけですが、私の場合、やはり最初の印象が強烈だったためか、デビュー・アルバムからのシングル“What's My Name”のプロモ・クリップにおける〈スヌープ→犬〉のモーフィング処理以降、いまだにドーベルマンの仮の姿にしか見えません。もはや芸名を〈ドッグ〉にした段階でイメージ戦略的に勝ちが決まっていたのです。

そんな彼の肉体。その長身っぷりから細いと思いきや、意外と筋肉がついてたりして、おそらくバスケ好きがこうじて発達したであろうその肩は、タンクトップが似合いすぎるばかりか、ダボダボ・スタイルのときは肩パット入ってんじゃねえの? くらいの勢いでピンプ的威圧感を醸しだしており、普通に小顔なのがさらに小顔に見えるなど、まるで彼だけ別の星から来たようなスペシャル感を漂わせております。

また椅子に座るといつもカラダが余ってたりするところも、世間の枠におさまらない天然の不良っぽさが演出されていたりして、ドーベルマン同様、この宇宙には〈ワルなデザイン〉というものが存在するのだな、ということを改めて感じさせてくれます。もし〈形態は機能に従う〉が自然の真理であるならば、スヌープはかなりワルな機能が満載なんだろうなぁ、と見るものを本能的にビビらせたりして、もはやその造形の〈ワルカッコよさ〉はグッド・デザイン賞に輝きそうな勢いです。

なにげに私と同世代の彼は、この10月で33歳。顔つきの方も歳とともに渋みを増し、なかなか味のある表情を見せ始めています。ただ、シワが増えるとともに稲川淳二に似てきているのも確かなのですが……、まあそれはともかく、怪談話も含め、今後は役者としての活躍にも期待したいところです。

■ Bow Wow

そして犬つながりで紹介するのが、この夏、デビュー4作目となる『Wanted』を発表、その大人の階段の登りっぷりで、世間のお姉さま方の口元からだらしないヨダレを垂らさせることに成功したバウ・ワウ君(18歳)です。

英語で犬の鳴き声を表す〈バウ・ワウ〉。御存じの方も多いと思うのですが、このステージ・ネームをつけたのが、先ほど紹介したスヌープ・ドッグでして、ジャーメイン・デュプリが〈第2のクリス・クロス〉としてシーンに送りこみ、2000年当時は〈リル・バウ・ワウ〉と、お子様を表す〈リル〉がつけられてました。

その後、大人になったということで、名前から〈リル〉を取って〈バウ・ワウ〉になるんですが、どちらにしても訳すと〈ワンワン〉なわけですから、やるかやられるかのこのヒップホップ業界においてライバルたちにナメられやしないかと、極東暮らしの私などから無駄に心配されたりするわけですが、そんな懸念はよそにどうやら海の向こうではよろしくやってたみたいで、いつの間にかシアラと付き合ってたりと、こちらがギャフンと言わされる展開に。

そんなわけで、ディズニーな世界から男と女の世界へとステージを移したバウ・ワウ君。全米のお茶の間的には「えなり君がついに濡れ場を演じるようになった」といった感じなのでしょうか。オマリオン君をゲストに迎えた“Let Me Hold You”のプロモ・クリップを見ているあいだ中、お兄さんニヤニヤしっぱなしでしたよ。

結局このクリップでは、女の子をちゃんと家まで送って、なにごともなく終るのですが、兄貴分のスヌープ同様、なにげに鍛えられつつあるその上半身は、タンクトップ姿も様になってきてますし、いつの間にやら腕のタトゥーも増えていたりと、親戚のお兄さん的視点から今後の展開が楽しみな感じです。ただせっかくステージ・ネームが〈バウ・ワウ〉なんだから、個人的にはもうちょっと盛りのついた若者感をアピールしてくれてもいいんじゃないのかなーと思ってたりします。早くデビューしちゃった分、その冷めてる感じがちょっともったいないですね。

ちなみに〈bow wow ciara〉でイメージ検索して見つけた、ふたりの2ショット写真、シアラの方が長身ということもあって、どう見てもお姉ちゃんと弟にしか見えませんでした……。まだまだ18歳。頑張れ、バウ・ワウ君!