ある時はサイト・リニューアルの裏側で活躍するスーパー・プログラマー、ある時はTV Bros誌連載でもおなじみの理系男子コラムニスト、そしてある時はヒップホップ/R&Bのプロモクリップ映像の世界(肉体)にトコトン魅せられる一男子……一瀬大志がレペゼンする筋肉映像コラム。その名も〈ブラックミュージック★肉体白書〉。今回はジャスティン・ティンバーレイク、アッシャーと並ぶヤングホープ=オマリオン、アルバム『The Cookbook』の発売を控えたミッシー・エリオットについて。
肉体派のみなさん! 見ました? ネリーの“ERRTIME”のプロモクリップ。いまファースト・アルバムのインナースリーヴを広げてデビュー時の肉体とモニターに映る現在の映像とを絶賛比較中なんですが、おそらく1.5倍くらいにはなってますよ。上半身が。いやまあ、昨年あたりからなんとなく太まった首もとが気になってたんですが、久し振りの脱ぎっぷりにその肉体の膨脹具合を再確認。もはや服着てるときなんか〈アレ? ネリー最近太った?〉って勘違いしてしまいそうな程のズングリむっくり感でして、もし筆者が“Ride Wit Me”あたりでファンになった女子だとするならば、クリップ見てる間中悩んだ挙げ句、最終的に「ゴメンナサイ!」と謝りつつイエローカードを出してしまいそうな、そんな一線を越えたなにかがそこにあるような気がしました。
一方、男子目線で見るならば、貴乃花親方の激やせな稽古姿とは対照的にそのヘヴィー級ボクサーを彷彿とさせるほどに太まった首周りと肉厚でジューシーな腰周りから「なるほど、男の〈貫禄〉とは腹と首から醸しだされるものなのだな」と理解したりしなかったりして、この夏の筋トレプランを考えたり考えなかったりするわけです。ただ〈貫禄〉という属性がそのまま〈モテ〉につながるか否かは、ナウなヤングにとって微妙なところですが……。
■ Omarion
そんななか、〈こりゃモテ度アップだな!〉と素直に思わせる肉体改造っぷりを見せ付けてくれたのが、元B2Kのリードボーカルで今年ソロデビュー作『O』を発表したオマリオン君(20歳)。実はつい最近までB2K時代のティーン向けアイドル・グループなイメージから〈歌とダンスが上手なリュダクリス似の笑顔がステキなオモロ顔の少年〉としか認識していなかった筆者。肉体という意味ではすっかりノーマークだったところにファースト・シングル“0”のプロモクリップを見てしまったから驚いた──いや、いい背中してるじゃないですか!!
まだ見てない人は、速攻オマリオンの公式サイトで同プロモクリップをチェックして欲しい。ソロになりこれまで以上に男臭さを増したオマリオン君がベッドシーンに挑戦するんですが、そこで見せる肉体がもう素晴しいの一言! 女子好きのする鍛えっぷりとはまさにこのことを指すのでしょう。共演の女子が無駄にオマリオン君の体を撫でまわしているんですが、その気持ち、よくわかります。また随所にはさまれる口元のカットのセクシーさ! ディアンジェロの名クリップ“Untitled”を思わせるほどにつやつやなその口唇は、高級焼肉店で限定品として皿に載って出てきそうなほどのデリシャス感を漂わせており、見てるうちにすっかり肉モードになりましたよ。そんなジューシーな男汁をしたたらせ始めたオマリオン君には、オモロ顔なんだけど歌もダンスも異様に上手い肉体派R&Bシンガー>アッシャー系、として今後とも頑張って欲しいです(もちろん、ダンスは常にマジ顔で)。あと、個人的にはリュダクリスとの共演なんかも見てみたいので、そこんとこもひとつ検討してみてください > オマリオン君
■ Missy Elliott
新譜を出すたびに、ビートからビジュアルまで、全盛期のマイケルなみに俺から期待されているアーティストと言えば、〈体育会系の黒いビョーク〉ことミッシー・エリオットですが、なんだか書きたいことが山ほどありすぎてどこから書けばいいのかわかんなくなってきたので、とりあえずはデビュー時から順を追って見ていくことにしましょう。
97年、デビューアルバム『Supa Dupa Fly』リリース。太って小さくなった和田アキ子が黒いゴミ袋コスチュームをまとってカクカク動く“The Rain”、ロボット風着ぐるみで謎の宇宙戦争を繰り広げる“Sock It 2 Me”、この2本のクリップで当時ギャングスタ気分にひたっていたB男子チームをすっかり困惑させたかと思えば、森久美子のピンク色の部屋に招かれてしまいました的な“Beep Me 911”で、彼らのムスコを一気に縮み上がらせ、そのタマを掴み上げることにまんまと成功。続くセカンド『Da Real World』では、世の中が世紀末気分なのをいいことに、そのどさくさにまぎれてさらに進化したチキチキ・ビートとともに、濃密な変態ワールドを構築。ハイプ・ウィリアムスの“She's A Bitch”における黒塗りの女帝スタイルで一連のSF悪夢シリーズが頂点を極めた。
新世紀に突入後もそのフリークス路線は止まらず、2001年に発表されたサード・アルバム『Miss E...So Addictive』の先行シングル“Get Ur Freak On”ではろくろ首、続く“One Minutes Man”ではさらに首を取ってみせるなど、ビート素材同様、自分の身体をギッタンギッタンのボッコボコに切り刻み、異形のものとして再構築しまくるその姿に、近い将来、日本のアニメに影響されたとかいったありがちな文脈で無駄に合体ロボ風に変形したりするのでは? と一部のファン(俺)を心配させたりもした。しかし、2002年のアルバム『Under Construction』で転機が訪れる。先行シングル“Work It”、そこでは地面を引きずられて出てきたり、顔にハチがたかったりとあいかわらず変態模様が描かれていたのだが、なにより世間の注目を集めたのは、ミッシー本人の激ヤセっぷりだった。そして、2003年。5作目のアルバム『This Is Not A Test!』からのシングル“Pass That Dutch”で、ついにその御御足を披露。女子にとってウィークポイントとなりがちなそのファットなボディを大胆に加工し、強力な武器へと変換することでこれまで対男子的な無敵感を発揮してきた彼女であったが、ブルンブルンと大胆にバイブする未加工の太ももから醸しだされるその新たな暴力性の発露に、野生のカンから思わず股間を手でガードする男子が続出した。
そんな〈生の肉体〉という新たな武器を手にした彼女が、6枚目のアルバムとなる『The Cookbook』のリリースを発表。その先行シングルとして今回“Lose Control”のクリップが公開されたわけだが、これがまた凄い。ナイスバディ風に砂の中に埋められ、首だけ出しているミッシー。〈また首ネタかよ!〉とツッコミつつも、その光景にイヤーな予感がよぎった瞬間、地上に這い出して〈ダダーン ボヨヨン ボヨヨン〉(流行語大賞91年大衆部門銀賞)と勢いよくノーブラボイン打ち。なんだかその異様な迫力に、あらしの母ちゃんを経由してなぜか奈良の騒音オバサンを思い出してしまうR30世代の筆者。世間のボディチェックな視線を完全に先読みしたこの攻撃にネクスト・レベルの強靭なタマ取りの意志を感じとった男子チームはまたもや股間を慌てて隠すことになり、終盤のマリオの土管から地上に出たときのような非連続な展開に頭はクラクラ、まるで催眠術にかかったかのごとく 〈アルバムを発売日に買わねば〉 という強迫観念にとらわれるのでした。
……結局なにを書いてるのかわけがわからなくなりましたが、歳を重ねるごとに露出度が高まってるミッシーも、実はこの7月で34歳。“Triumph of a Heart”のプロモクリップでマジゴケして頭から血を流しているビョークに至っては今年40歳を迎えるわけで、そんな2人の体を張った仕事を見ながら、俺ももっと頑張んなきゃなー、と思ったり思わなかったりする2005年の初夏なのでした。