ある時はサイト設計のデッドラインに追われるスーパー・プログラマー、ある時はTV Bros誌連載でもおなじみの理系男子コラムニスト、そしてある時はヒップホップ/R&Bのプロモクリップ映像の世界(肉体)にトコトン魅せられる一男子……一瀬大志がレペゼンする筋肉映像コラム。その名も〈ブラックミュージック★肉体白書〉。今回は、USヒップホップ界の話題をさらう新星=ゲームと、セレブ・クイーンの称号をほしいままにするジェニファー・ロペスについて。
いま最もホットな男、ホリエモン。昨年から今年にかけて銀行、球界、放送と、メディアを舞台に各方面と激しくビーフを繰り返しているわけだが、とりあえず、なにかと退屈しがちなヤング層の支持をより強固なものにするために、ここで一発ヒップホップ・スタイルを取り入れてみるのはどうだろうか?
あれだけ堂々と拝金主義を標榜した成り上がりキャラは、この日本において、極めて貴重な存在であり、しかも夜な夜なメディアで好き勝手ぶちまけさせてもらえるんだから、そこでラップしないなんてもったいない!
スタイルとしては、ワルな過去なんて無くてもいいから、とりあえずギャングスタ路線。そして、できればデフジャムに所属してもらって、デフジャムの格闘ゲームのキャラとして登場してもらいたい。もし、デフジャム入りが無理ならレーベルごと買収して、ついでにデフジャム・ジャパン所属の岡村ちゃんもゲームのキャラとして採用。それぞれを激しく操作したいと思っているファンを狂喜させるといった寸法だ。
もしスキル的に即単独デビューが無理なら、まずは日本のヒップホップ・アーティストが彼をフィーチャリングして、何か無駄にデカそうなことを語らせて、ゆとり教育でちょっとモンヤリしちゃったニート予備軍を焚き付けてみよう。
そして、金で女は芋づる式風に札束が舞い降る中、ネエちゃん達をはべらしたプロモクリップを撮影し、ネットでストリーミング配信。ITとラップのシナジー効果で、野村沙知代の“SUCH A BEAUTIFUL LADY“につづき、ワイドショーの芸能情報枠を独占すること間違いなしだ。
そんなわけで、肉体白書的には、なにげにワークアウトしてるらしい彼の肉体のゆくえも含め、今後の成り行きに注目していきたい。
■ The Game

一方、いま海の向こうで最もホットな男といえば、ザ・ゲーム。
ドレーと50セントの後押しというだけで、もはや成功は約束されたようなものなのだが、ファースト・アルバム『The Documentary』のビルボード総合アルバムチャート初登場1位など、50セントのデビュー当時を彷彿とさせるこの盛り上がりっぷりは、やはり凄い。
重くもなく軽くもないその絶妙なしゃがれ声は最初から耳馴染みがよく、なにげにスキルフルなライムも、ドレー、50セント、エミネムの他、ティンバランド、カニエ、メアリーJにバスタと濃いサポート陣の提供する贅沢な素材をマイルドに包み、胃もたれさせることなく聴かせてくれる。
今作では様々なプロデューサーがついたことにより、まだあまり色がついていない新人としての可能性が楽しめる一方、リリック中にやたらとリスペクトするアーティストの名前が出てくるところなど、ニューカマーとしての自分の背景設定を行っているようで、なかなか可愛げがある奴といった印象だ。
また体の方も、クラスに1人は居たバスケ部のがたいがいい奴(無口だけど、なにげにサボるのがうまい)といった感じで、50と比べてかなりマイルド。特にお腹あたりの肉のノリっぷりがいい味出しており、ボディビルでガチガチに鍛えた体よりもストリート寄りな感じで喧嘩とか強そうなイメージだ。さらに大胸筋と右腕に「N.W.A」のロゴと故イージーE (N.W.Aのリーダー)のタトゥーが刻まれているところにも注目。彼等の世代感覚としては同じコンプトン出身の N.W.A はもはや完全な伝説なのだ。
ただ、ファースト・シングル“How We Do”のプロモクリップではまだ彼の動く肉体を確認することができていないので、次回作以降、上半身裸で Gユニットのメンバーたちと和気合い合いとバスケットボールに興じる映像などを期待したい。
■ Jennifer Lopez

もともと女優だった彼女。98年に女優業を停止して音楽業界に足を踏み入れるや否や、デビュー・アルバムからいきなりグラミーにノミネート。そして、セカンド・アルバムではサクっと初登場1位を獲得。さらには自身のクロージング・ラインを展開するなど、世界的セレブ・ブームと共に、音楽からファッションまで、もはや21世紀初頭の強まった女子スタイルは彼女が定義したといっても過言ではないほどの勢いだ。
そんな J.Lo の肉体の魅力といえば、なんといってもその巨大な〈ヒップ〉に尽きるだろう。ラテン系のボリュームある彼女のお尻(97cm)は「ジェニファーロペス・ケツ」をキーワードにグーグルで検索すると1万5000件もヒットしてしまう程の破壊力を秘めており、トレーニングで引き締まったウエスト(62cm)と相まって、あまりにもバギーパンツが似合い過ぎるといった状況を産み出している(ちなみにバストは89cm)。
もし君が J.Lo 初心者で、さっそく彼女の肉体の魅力を堪能したいと思っているのなら、セカンド・アルバム発売時の先行シングル“Love Don't Cost A Thing”のプロモクリップをお奨めしたい。金で何でも手に入ると思っている成金な彼氏に対し、「私の愛は無償よ」「お金で買えないものをちょうだい」と歌ったこの曲。彼から貰ったアクセサリーを次々と投げ捨て、最後には着ていたシャツを投げつけ、手ブラ状態になる J.Lo。そんな彼女のカラダを張ったメッセージに、「お金で買えない価値」があることを世界中の男子が思い知らされた1本だ。
彼女のプロモクリップについては、2月4日に発売された『The Reel Me』に、ファースト・アルバムから サード・アルバムまでのクリップ(全16曲)が収録されているので、そこでチェックするといいだろう。各曲の間に彼女のインタビューが挟まれる構成なのだが、素直に当時を振り返っている彼女がまたキュートで、まさに庶民派セレブの魅力全開。この映像だけでもファンにとっては「買い」と言える内容だ。
また、コントラストが強くシャープでグリッターな画が大好物な筆者にとって、J.Lo のクリップ群は、そういった映像の進化史を辿る際の絶好の資料となっている。特にセカンド・アルバムの頃のクリップが業界に与えた影響は計り知れないものと言えるだろう。
ちなみに、2月23日に発売された2年3ヶ月ぶりの新作『Rebirth』は、すでに J.Lo ブランドを確立した彼女の自然な余裕が感じられる1枚に仕上がっており、先行シングル“Get Right”をはじめ、ファンキーな作品が多め。特に、5曲目“Cherry Pie”の青春テイストには、この原稿を書いてる間ヤラレっぱなしであった。ここから何枚のヒット・シングルが生まれ、またプロモクリップが作成されるのかいまから楽しみだ。