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第6回 ─ 不良社員=R・ケリー、理想の上司=ジェイ・Zのオレ流ビジネス

連載
ブラックミュージック ★ 肉 体 白 書
公開
2004/11/25   17:00
更新
2004/11/25   18:52
テキスト
文/一瀬 大志

ある時はストップ・ウォッチ片手に奔走するスーパー・プログラマー、ある時はTV Bros誌連載でもおなじみの理系男子コラムニスト、そしてある時はヒップホップ/R&Bのプロモクリップ映像の世界(肉体)にトコトン魅せられる一男子……一瀬大志がレペゼンする筋肉映像コラム。その名も〈ブラックミュージック★肉体白書〉。今回はR&B界とヒップホップ界の最強タッグ、R・ケリー & ジェイ・Zについて。

今年のプロ野球。肝心の日本シリーズの頃も新規参入問題などでいろいろと揉めていたが、やはり忘れていけないのは、今年、中日の監督に就任した落合が、〈オレ流〉でみごと初年度からチームをリーグ優勝に導いたことだろう。しかも、1年間選手補強しない現戦力のまま優勝するところが凄い。まさに監督力。選手を活かすも殺すもボス次第といったところか。

■ R. Kelly


スキャンダルの影響か、最近は着衣がちなR・ケリー

一方、R&B界の〈オレ流〉といえばこの人、R・ケリー。ただし、こちらの〈オレ流〉はまさにマイペース、ときに問題児だ。先月紹介したジャ・ルールの新譜では本人そっちのけで歌いまくり、シアラへの提供曲も誰もが一聴して彼の作品だと判るほどにケリー節が炸裂。もはやそれは ??、「ほら、これ作っといてやったから歌ってみろ」とシアラ・サイドが渡されたテープには、ケリーがひとり意気揚々と歌い上げている様子が記録されおり、「おい、これまんまヤツの曲じゃん」とスタッフ一同苦笑い。そんな中、けなげな新人シアラは「頑張ります!」(ソニン風)と一所懸命ケリー節にトライする ?? といった様子が軽く想像される勢いだ。

92年デビューのR・ケリー。10年以上におよぶ彼のキャリアにおいて特に印象的なビジュアルといえば『TP-2.COM』の内ジャケで見せた肉体美だ。コーンロウの頭並みに陰影が刻まれたそのカラダ。クワガタをヒックリ返したような黒光りする腹筋とアバラ。そのスリムな体にビッチリと肉が張りついている感じはまさにエロ生命体。全身に気合いを入れつつも「オレにどうして欲しいわけ?」といった余裕の表情を向ける彼に、世界中のBガールが夜のオカズとして妄想を掻き立ててしまったことは想像にかたくない。

しかし、ここ最近はどうだろう。肌の露出も減ってきてるし、ジャ・ルールのプロモ・クリップ”Wonderful”で、ずんぐりむっくりのガウン姿で女子にむかって靴投げるとことか、かなりヤバくね? ……と思っていたところに観てしまったのが“U Saved Me”のプロモ・クリップ。なんか、髪型から首周りの肉っぷりまで、いつのまにかデビュー当時のディアンジェロみたいになってるじゃん!!

孤高のエロ男爵も御年35歳。もしかしてこのままオレ流を極めて天然系大御所R&Bシンガー(太め)を目指すのだろうか? 「神さまお願いソング」で無実っぷりをアピールするのもいいが、ここ最近クリエイティヴィティが上がってきているだけに、ファンとしてはもう一度、黒汁べっちょりのエロい肉体で直情エロエロ・ソングを歌い上げる姿を拝ませてもらいたいものだ。

■ Jay-Z

2002年。海賊版の流出による予定より早い発売、R・ケリーのセックス・スキャンダルなどで中途半端な形で終ってしまったジェイ・Z と R・ケリーによる共同プロジェクト〈Best of Both Worlds〉。あれから2年。未完の仕事を終らせるべく再度2人は手を組み全米を巡る合同ツアーを開始。ジョイントアルバム『Unfinished Business』のリリースも決り、今度こそうまく行くかに見えた。しかし、度重なるケリーの遅刻や失踪、ドタキャンにより、2人の不仲説が表面化。その後、R・ケリーの突然のツアー降板により、アルバム発売のころには2人の仲は完全に破局してしまった。

そんな R・ケリーを才能はあるが問題ばかり起こす「不良社員」とするならば、ジェイ・Zはまさに「理想の上司」。ツアーを降りたR・ケリーの代わりに、P・ディディやメアリー・J・ブライジその他、ゆかいな仲間たちをゲストに招きビジネスを完遂すべくツアーを続けている。R・ケリーと同じ69年生まれながら、テビュー当時からある種のふてぶてしさを漂わせる生まれながらのボスキャラ、ジェイ・Z。彼の肉体白書的注目ポイントといえば、なんといっても決して脱がないことであろう(笑)。いや、単に筆者が見逃しているだけなのかもしれないが、今回のこの原稿を書くにあたり、過去の代表的プロモ・クリップ10数本プラス Google のイメージ検索の結果全29ページをすべてチェックしてみたのだが、残念ながらいずれも着衣! 脱いでもせいぜいタンクトップ止まりであった。

普段はざっくりとしたB-BOYスタイルでルーズなシルエットを見せる彼。恰幅がよく、つねに片手に携帯を握り、ヘタするとセカンドバッグとか持ち歩いていそうな雰囲気だが、実際のところはそんなに太くもなく、“I Just Wanna Love You”などで見せるタンクトップ姿は、スマートな〈裸の大将〉といった印象で、まったく脱げないカラダではない。では、なぜ彼は脱がないのだろうか?

このジェイ・Zが脱がない件については、〈ジャイアン系はでべそ〉というイメージのもと勝手に〈でべそ疑惑〉を抱いているのだが、そこのところどうなんだろう? ちなみに、ジェイ・Z のアンプラグドの映像を見たときは、素直に「ジャイアン・リサイタルってこんな感じなのかなぁ」と思ってしまいました。まさにボス声。一生ついて行きたい。