7月30日~8月1日までの期間、苗場スキー場に102,000人(延べ人数)もの音楽好きを集めた〈夏の風物詩〉FUJI ROCK FESTIVAL。軽く100組を超えるアーティストが出演し、今年も大成功に終わった同フェスを、ロックなフォトグラファー久保憲司と、bounce.com編集部のロック担当ヤング係長が猛スピードで総括対談しました!

ヤング 久保さんは毎年行ってると思うんですけど、今年の感想はどうでした?
久保 去年が一番成功した感じで、今年は3日間通し券で観客がちょっと減ってたのかな? どこも全然混んでないし、スムーズに行き来ができた。快適でよかったけどな。3日間通し券は続けてほしいな。みんな高いって言うけど、グラストンベリーが180ポンドだから、同じくらいとってるよねぇ。高いっていうのが全然わからへん、安いやろ。ニール・ヤングが来日すると1万円くらいするでしょ。
ヤング お客さんもフェスに慣れている人が多かったという印象もありましたよね。

ところ天国脇の川原
久保 そうやね。途中で昼寝したりビール飲んでゆったりしてる人も沢山おったし、雰囲気はほんとええと思うな。でも、あいかわらず朝の11時に行って全部見ようとしている客はおるけどな(笑)。そんなんしてもつらいやんか、1日3バンドくらい見れればいいと思って行くのが理想だと思うけどな。
ヤング 雨が降るとみんなちゃんとしたレインコートをバッと一斉に羽織るじゃないですか。昔は雨が降るとゴミ袋を頭からかぶるような客が沢山いたと思うんですけど(笑)。そういう所を見ても「あ、慣れてるな」と思うんですよね。
久保 3日間通し券だったせいか、あんまり変な客もおらんかったもんね。いつもは「こいつなんやねん」っていう客がいるのに(笑)。フジロックが好きな客が多い感じがした。そういや、ザ・ミュージックのメンバーが客としておったな。あいつら、いつ見てもなんか食っとったで(笑)。
ヤング ミュージシャンが普通にそこらをうろうろしている光景っていうのもフジロックならではという感じですよね。 これまでと比べて特に今年は違うと感じたことってありました? さっきの行列の話とも関係あるんですけど、トイレが増えて男女別になっていたり、泥道を歩きやすくするために撒かれたウッドチップが徹底されていたりと、設備面での問題がかなり解消されていたように思ったのですが。

アヴァロン・フィールド
久保 うん。メシ屋の人も行列がないけど、去年よりも売上はええって言ってたよ。あとは、メシを座って食う場所がほしいよな。落ち着いて食える場所。アヴァロン・フィールドは丘になってて座れるやろ。あそこは気持ちええな。
ヤング アヴァロン・フィールドにあるステージ〈ジプシー・アヴァロン〉も今年は豪華でしたよ。原田郁子なんかは入場規制がかかっていたみたいですし。
久保 後悔しとんのが、ボードウォークを歩けなかったことやな。結局オレンジコート行ってないねん。でも、ボードウォークはええ感じやな。
ヤング 今年はボードウォークの途中に小さいステージが出来ていて、青柳拓次が出たりしていたみたいですよ。後、所々に逃げ場みたいなところがあって、そこで寝ている人たちは最高に気持ちよさそうでしたね。ほんとに今年はどこに行っても音楽が鳴っている状態でしたね。
久保 ええなぁ。そこでドゥルッティ・コラムとかやってくれたらええのにな。
ヤング いいですねぇ。シンガー・ソングライターがアコギ一本で立つのが似合うステージって感じもしました。食べ物に関してはどうでしたか?
久保 ちょっと食いもんは飽きてきた感じやなぁ。同じやんか。相変わらずクイーン・シーバは美味いけどな。タイラーメンは俺の中ではずっと1位やってんけど、今回はちょっと手抜いてたんじゃないかな(笑)。
ヤング なにか望んでいる新しい食べ物はありますか?
久保 1万円払ってもいいから、確実に座れて、いいものが食べてみたいな。予約制でさ。ちょっと場所ははずれててもいいから。

!!!出演前のホワイト・ステージ
ヤング それはフジロック的じゃない発想で面白いですね(笑)。そういえば、モリッシーのキャンセルで、代わりにスミスのトリビュート・バンドが出てたじゃないですか。あれは見ました? 僕見てなくて、話だけ聞いたら「客がすごい引いてた」って(笑)。
久保 あれで引くのはおかしいと思うんやけどな(笑)。モリッシーが“Girlfriends in a Coma”を今やってくれへんやろ。ビデオスクリーンで見るとちょっと顔も似てるし、声も似てる。でもジョニー・マーは顔が似てなかったけどね(笑)。一番突っ込みたかったのは、ステージで水飲んでたことやね。「モリッシーは水じゃなくて紅茶飲むやろ!」って(笑)。カラオケ大会みたいになって面白かったよ。でもな、メインバンドがキャンセルっていうのはちょっとなぁ。それも料金が安いことと関係してると思うねんけどな。
ヤング ほかにはどんなアーティストを見ました?
久保 ベルセバがベスト・アクトやったな。音がちっさいねんな、ベルセバって。それはハイハットとか、パーカッションを聴かせるためなんやなー、って初めてわかったわ。何回も見てるのに(笑)。出てきたときに、「俺たちにもできるよ」って言ってスミスの曲をちょっとやってたのもおもろかったな。あとはルー・リードも歌詞が良かって。あれやったで、ヴェルヴェッツの“Venus In Furs”。あと、!!!(チック・チック・チック)はヘビメタバンドみたいでビックリしたけどな。

ピクシーズ © F-8 Co.,Ltd. YASUYUKI KASAGI
ヤング !!!は正直そんなに期待してなかったんですけど、かなり良かったです。アホみたいなテンションで観客を煽りまくってて。それでビートもわかりやすいじゃないですか。ホワイト・ステージの後ろのほうまでガンガンに躍らせてましたよね。
久保 メシ食いにヘブンに行ったら早川義夫さんを見てしまったな。なんかどろどろした音楽が流れてるなー、と思ったら早川さんで(笑)。ジョン・ライドンとかもそうなんだけど、自分にとってスターな人はあまり見たくないんだよね。東京事変も見たで。やっぱり林檎さんは可愛いしかっこよかった。あと良かったのはピクシーズ。相変わらずコード進行といい見た目といい変なバンドやったわ(笑)。
ヤング ケミカルは見ました?
久保 いや、ケミカルは見てへん。もうええか、と思って(笑)。でも、すごい盛り上がりやったんやろ?
ヤング そうですね。グリーン・ステージの通路半分くらいまでお客さんがびっしりでした。じゃあ、期待してなかったけど、印象に残ったものはありました?

東京事変 © F-8 Co.,Ltd. YASUYUKI KASAGI
久保 そういや、すげー気になることがあって。ホテルの隣の部屋で、〈ヒカルさん〉と呼ばれているギタリストが泊まってんねん。そのヒカルさんは朝の10時くらいからずっとギターを練習してはってな。次の日の朝3時くらいまでやってはって。結構でかい音出してるからうるさいなぁと思ってたんだけど(笑)。俺がいろいろ言っとったからなのか、3日目はヒカルさん練習してなかったみたいでちょっと寂しかった(笑)。ヒカルさん真面目だなー、でも誰だったのかなー、と思って。その人が一番気になってるわ(笑)。
ヤング わははは。それ凄い個人的な話じゃないですか(笑)。
久保 まあ、それくらい自由だってことだよ(笑)。普段の、7時から5時っていうシステマティックな生活が健康にはいいんだろうけど、その循環を破るお祭りみたいなものがあったほうがいいと思うんだよね。日ごろのストレス解消というか、溜まった気を取るっていうかさ。そういうことができる場所があるっていうのが大事なんじゃないかな。
ヤング 抱えているものを発散しにきてる人は他のフェスと比べてもきっと多いですよね。
久保 そやなぁ。フジロックは日常生活に対して「なんでもええかー」って思えるのがいい所なんじゃないのかな(笑)。
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