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第24回 ─ CHICAGO HOUSE

第24回 ─ CHICAGO HOUSE(2)

連載
Discographic  
公開
2004/03/18   13:00
更新
2004/03/18   17:28
ソース
『bounce』 251号(2004/2/25)
テキスト
文/堀内 幸江、リョウ 原田、鷲尾 晃司

FRANKIE KNUCKLES
『The Godfather Of House Music : Trax Classics』
 クラウン
ハウスという言葉は彼がレジデントを務めた〈Warehouse〉から生まれた──そんなハウスの生みの親、フランキー・ナックルズ。初期シカゴ・シーンで活躍、NYに戻ってからはデフ・ミックスの一員として90年代の黄金期を迎え、現在に至るまで常にシーンの中枢に携わってきた要人。このアルバムはトラックス音源のコンピレーションで、“Baby Wants To Ride”“Your Love”“Move Your Body”など彼の作品や、関与した楽曲を収録。シカゴ・ハウス入門編。(堀内)

LARRY HEARD
『Where Life Begins』
 Track Mode/LIFELINE(2003)
80年代半ば以降、Mrフィンガーズ名義での“Can You Feel It”、ジ・イットでの“Donnie”、フィンガーズ・インクでの“Mystery Of Love”など膨大なクラシックを残してきた巨匠、ラリー・ハード。ミックスも含めてアルバムも多数残しているが、トラック・モードから送り出している近年の作品も刺激十分。よりディープな音世界を見せた『Love's Arrival』に続くこの最新アルバムではいっそう洗練された音空間を構築し、引退の噂を吹き飛ばしたばかり。(鷲尾)

MARSHALL JEFFERSON
『Move Your Body : The Evolution Of Chicago House』
 Wheel(2003)
トラックスやDJインターナショナルといった重要レーベルで活躍してきた、フランキー・ナックルズと並ぶ大御所プロデューサー、マーシャル・ジェファーソン。作品としては“Move Your Body”が特に有名。このミックスCDはフューチャー“Acid Trax”やテン・シティ“Devotion”、ジャングル・ワンズ“Time Marches On”などのシカゴ・アンセムとダンス・クラシックスがミックスされた内容。全収録曲に寄せられた本人のコメントなどブックレットも充実。(堀内)

LIL' LOUIS
『Journey With The Lonely』
 Epic(1992)
〈孤高の~〉、時には〈変態的な~〉などと表現されるシカゴのプロデューサー/クリエイター、リル・ルイス。いずれにせよ、彼の才能が類希であることは事実で、衝撃的な代表曲“French Kiss”はその才を象徴する一曲。来日時にはストーリー性溢れる構成と艶っぽい選曲が絶賛され、DJとしてのセンスの良さも見せつけた。このアルバムは彼のセカンド・アルバムで、“Club Lonely”“If U Luv Me”“Jazzmen”などの名曲を収録した音楽史上に残る名盤だ。(堀内)

TEN CITY
『The Best Of Ten City』
 Ibadan
ファルセット・ヴォイスでお馴染みのハウス・シンガー、バイロン・スティンギリーが在籍していたテン・シティ。マーシャル・ジェファーソンがプロデュースを手掛けた“Devotion”をはじめ、“That's The Way Love Is”“All Loved Out”など有名曲も多い。のちにジェローム・シデナム主宰のイバダンから、ニュー・リミックスを加えたシングルが次々とリイシューされたが、このベスト・アルバムもイバダンから。当時のリミックスと先述のニュー・リミックスも収録。(堀内)

VARIOUS ARTISTS
『Chicago Trax : The Original Sound Of House』
 Uni Sex
85年、ラリー・シャーマンによって設立されたシカゴの最重要レーベル=トラックス。その音源を用いたコンピは各国からリリースされており、2枚組の日本編集盤『The Anthology Of Trax Records』がヴォリューム/選曲的にも素晴らしいが、〈シカゴ・ハウスって何?〉というビギナーが取っ付きやすいのはこのユニ・セックス盤? アドニス“No Way Out”などチープなキックとシンプルなベースで織り成されるプリミティヴさはいつ浴びても麻薬的だ。(鷲尾)

DERRICK L. CARTER
『Choice : A Collection Of Classics』
 Azuli(2003)
80年代はじめ……ハウスが始まる前夜。シカゴのローカル・ラジオ局ではホットミックス・5ドリーム・チームなるDJ軍団がブイブイいわせていた。そこにいたのはスティーヴ“シルク”ハーリーら初期トラックスを支えた男たち。そのラジオを聴いて「このくらい俺でもできるぜ!」とDJを始めた9歳のガキがいた。それがいまもっともグルーヴィーなレーベル=クラシックの首領デリック。本盤ではヤズーやMrフィンガーズなど自身のルーツ盤をミックス。(原田)

BOO WILLIAMS
『Ultrasessions 1』
 Ultrasound(2003)
80年代のシカゴに寄生し変異したハウスは、その後NYやロンドンに渡ってある種のハイ・ファッションなダンス音楽になりました(パチパチ)。そんななかで92年頃から本家シカゴ周辺より、ポール・ジョンソン、DJスニーク、ラッシュ、そしてこのブー・ウィリアムスなど初期ハウスの持つバッド・テイストを体現する新世代が続々登場している。ブーは名前からお察しのとおりデブで、いまや名ディープ・ハウサー。本DJ盤では深遠トラックスを連発。(原田)

GENE FARRIS
『Textures Vol.1』
 Farris Wheel(2002)
歪んだディスコ・トラックを得意とするジーンも90年代のレリーフ・デビュー組。ロイ・エアーズやプリンスを聴いて育ったというガラージな背景がありながら、彼のディスコ・トラックは時に反転しネジれてしまう。このアルバムは自身のレーベルから放ったDJミックス盤で、グレン・アンダーグラウンドほかの歪んだディスコが大回転。イギリスのソーマやディフェクテッド、ドイツのフォース・インクからもリリースがあり、欧州での人気も高い。(原田)

VARIOUS ARTISTS
『Jack!』
 Pro-Jex(2003)
90年代中期にレリーフで頭角を現し、現在はハード・ミニマル・テクノ界で大活躍のDJラッシュ。崩れたシャッフルからグルーヴ感(文字どおりラッシュしてくる)を生み出す天才にして、そのビートは狂っている。〈ヘタッピDJ! ミックスがドタってるぞ!〉なんて言いたくなるほど。各DJのリスペクト表明なのかモニカ・クルーズやデイヴ・クラークの楽曲にはヴォーカル(というより、呻き声)で参加。このミックスCDも激ハード。(原田)

GREEN VELVET
『Whatever』
 Relief(2001)
緑のタテガミをおっ立てて〈I am losing my mind~〉と呻くオッサン、カーティス・ジョーンズことグリーン・ヴェルヴェットはフリークアウトの達人。バークリーの学生だったのに、ポルタメント・シンセとリズム・マシンの誘惑にやられてドロップアウト。93年にレリーフよりデビュー以来、“Preacher Man”“Flash”“La La La Land”と変態の戯れ言をダンス・フロアにまき散らしている。ある意味〈現代のジミヘン〉かも。(原田)

APHROHEAD
『Thee Underground Made Me Do It』
 Clashbackk(2003)
87年の事件、フューチャーが最初のアシッド・ハウス“Acid Trax”(プロデュースはDJピエール)をトラックスからリリースしたこと。その曲想〈ワイルド・ピッチ・スタイル〉を引き継いだひとりがアフロヘッドで、94年リリースの“In The Dark We Live”はデイヴ・クラークがリミックスし大ヒットしている。最近じゃフェリックス・ダ・ハウスキャット名義でエレクトロクラッシュ界のセレブ扱いだが、この名義ではイカれたハウス野郎だってことを忘れちゃいない。(原田)

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