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第35回 ─ ベスト盤を機にR&B巨頭のスキャンダラスな半生を巻き戻し

第35回 ─ ベスト盤を機にR&B巨頭のスキャンダラスな半生を巻き戻し(2)

連載
360°
公開
2003/10/23   13:00
更新
2003/10/23   17:01
ソース
『bounce』 247号(2003/9/25)
テキスト
文/出嶌 孝次、久藪 志織

勢いに任せた2枚組の大作
R.KELLY
『R.』 Jive(1998) 全30曲、2枚組というヴォリュームで発表された大作。ゲストも豪華極まりなく、ナズやジェイ・Z、フォクシー・ブラウンから、セリーヌ・ディオンとまで共演。パフィやトラックマスターズなど外部プロデューサーも積極的に起用。このあまりのヴァラエティーに戸惑ったファンが続出したのも事実だが、それでも耳を奪われる曲多数。やはりケリー自身の手掛けた曲には間違いなくハマる。(久藪)

やっと毛が生えた!! よりスピリチュアルな領域へ
R.KELLY
『TP2.com』 Jive(2000) わが全盛期をふたたび!と『12 Play』の続編的な意味合いのタイトルが付けられた5作目。以前より哀愁味を増したヴォーカルが、楽曲をよりハイクォリティーに際立たせ、輝かせる!! 子供たちと共に熱唱する“I Wish”なんか少々狙いすぎ?と思っていてもやっぱり心奪われてしまう。彼の思惑どおり、“Fiesta”や“The Greatest Sex”など皆を惚れさせる名曲が大量に輩出!!(久藪)

盟友ジェイ・Zとのホットな合体!!
JAY-Z & R.KELLY
『The Best Of Both Worlds』 Jive/Roc-A-Fella/Def Jam(2002) お互いのヒット曲での共演をきっかけに、R&B界とヒップホップ界、双方のベスト・プレイヤーが凄まじい才能をぶつけ合った夢のコラボ・アルバム。しかし、この話題作と同時に超・超ドープなゴシップが浮上!! セールスにも影響したとかしないとか……。(久藪)

ヒット連発!! キャリアのピークはまだ来ていなかった!!
 セックス・ビデオ事件で苦境に立ち、逆に制作に没頭した彼は、2002年後半からヒット曲を連発。ニヴェアやシリーナ・ジョンソンのシングルがヒット!! ジニュワインの“Hell Yeah”も大ヒット!! B2Kの“Bump Bump Bump”は全米1位!! フル制作したアイズレーのアルバムは全米1位!! 打率高すぎ!! 2003年上半期最強のポップ・ヒットメイカーがネプチューンズでもマトリックスでもなく、ケリーだって御存知でした?(出嶌)

土壇場で生み出した最高傑作!!
R.KELLY
『Chocolate Factory』 Jive(2003) 私生活では強烈なセックス・スキャンダルに翻弄されている彼だが……それと反比例するかのように天才的才能が炸裂、歴史的名盤といっても過言ではない大傑作を生み落とした! 彼が近年得意とする70年代ソウル風の美バラードにもハンパなく磨きがかかっているのだが、今回からは新たにレゲエ・フレイヴァーが加わった。これが最高!! 本気でヤバいのだ!! もう一生ついていきます!!(久藪)

ついに初のベスト・アルバムが登場!!
 アリーヤの件をまだ許していないバリー・ハンカーソンに仕組まれたのだ……との噂もかまびすしいが、いずれにせよケリーが何らかの刑に服さざるを得ないのは間違いない。ただ、スキャンダルが結果的にR・ケリーというアーティストの底知れぬ才能を爆発的に発揮させる要因となったのは何とも皮肉だ。最新作『Chocolate Factory』は内容的にもセールス的にも過去最高の作品となったし、いまやケリーの楽曲はケリー個人を離れて、シンプルに作品としての素晴らしさのみで受け入れられる域にまで到達したのではないだろうか?
 そして、彼が綴ってきた12年間の濃厚なドラマがベスト・アルバムにまとめられることとなった。常に時代のサウンドに敏感でありつつ、それと相反するようなベタベタな普遍性をも忘れない彼の音楽はやはりズバ抜けている(その集大成が今年初頭に全米制覇した“Ignition(Remix)”だろう)と再認識させられる作りだ。また、すでにシングル・ヒット中の“Thoia Thoing”を含む新曲も3曲収録されていて、今後への期待も募る。では、行ってらっしゃい(どこへ?)。(出嶌)