『Leon Ware』 UA/東芝EMI(1972)
ダグ・ギルモアとの共同プロデュースによるリオンのファースト・アルバム。ボニー・ブラムレットに提供した“Able, Qualified, And Ready”の彼女本人を迎えた自演ヴァージョンなど、若干のサザン風味とリオン固有のアーバニストぶりがソウル・グルーヴのなかに息づく。
『Inside Is Love』 Fabulous/TK(1979)
“What's Your Name”や“Try It Out”など爽やかで流麗なリズム・ナンバーが光る3作目。なぜか自信たっぷりなヴォーカルもヘタウマ(失礼)的味わい満点。ミニー・リパートンへの提供曲の自演“Inside Your Love”や、マルコス・ヴァーリとの初コラボ“Love Is A Simple Thing”も腰がうねる名曲。
『Rockin' You Eternally』 Elektra/ワーナー(1981)
エレクトラ移籍作。ジャケまんまの開放感に溢れ、ロマンティックなアップ“A Little Boogie”が痛快。ヴァーリとの共作も3曲に増え、うちシングル・ヒットした“Baby Don't Stop Me”にはピーター・セテラとラウジール・ジ・オリヴェイラも参加。人種国籍問わず、ビーチの散歩が好きそうな人たち勢揃い(?)。
『Leon Ware』 Elektra/ワーナー(1982)
ブラコンの街に吹き込んできたAOR色の潮風……とでも形容したい“Slippin' Away”で幕を開ける究極のアーバン・クラシック。TOTOのメンバーやビル・チャンプリンによるタイトなグルーヴも最高。アイアートとフローラ・プリムを迎え、ブラジル趣味がピークに達した一枚でもある。
『Musical Massage』 Motown(1976)
このたびようやくモータウンからリイシューされた(2年前のエクスパンジョン盤とは微妙に中身が異なる)、マーヴィン・ゲイ『I Want You』の副産物(下コラム参照)……には終わらない驚愕のメロウ・マッサージ、あるいはセクシャル・ヒーリング。ここにあるタイムレスなライト・グルーヴを浴びたら、未来永劫フニャフニャの骨抜きにされる。
OMAR
90年代のリオン再評価はUKのほうが早かった。トーキング・ラウドを去ったばかりのオマーは、94年作『For Pleasure』(RCA)にリオンを招き、凛としたファンクネスが漂う“Can't Get Nowhere”を共作、共同プロデュースしている。
MAXWELL
マーヴィンのセクシャル面を継承するマクスウェルのデビュー作『Maxwell's Urban Hung Suite』(Columbia)にもリオンは参加。ひときわスムースな“Sumthin' Sumthin'”を物憂げに共作。
SYREETA
スティーヴィー・ワンダーの元夫人で、彼の手になる傑作群でも知られるシリータ。でも、イチバンの傑作はリオンが手掛けた77年作『One To One』(Motown/ポリドール)。もっと言えば“I Don't Know”だけでも聴くべし!
QUINCY JONES
クインシーもリオン宇宙に浮かぶひとり。74年作『Body Heat』(A&M)をひときわ輝かせる表題曲をリオンと共作、さらにリオン一世一代の名曲“If I Ever Lose This Heaven”の提供も受けている。翌年の『Mellow Madness』にもリオンは再登板。
MINNIE RIPPERTON
何度となく共演した故ミニー・リパートンはリオンにとってもパーフェクト・エンジェル。ベスト盤『The Best Of Minnie Ripperton』(Capitol)にも収録の代表曲“Inside My Love”はリオンからの甘い贈り物。ちなみにミニーの元夫リチャード・ルドルフも、リオン宇宙の重要な住人だ。
DWELE
リオン、マーヴィンと同じデトロイト出身のクロスオーヴァー・ソウルマン、ドゥウェレ。今年リリースした『Subject』(Virgin)における宇宙的なコーラス・ワークのミルフィーユぶりは、まさに『I Want You』……マーヴィン&リオン・マナーの賜物だ。