8月2日、3日に行われた都市型ロック・フェスティバル〈SUMMER SONIC〉。今年で4年目を迎えたこのフェスに今回、bounce.com編集部員のヤング係長(ロック野郎)と原田(ダンス馬鹿)という、微妙に噛み合わない2人が潜入。長かった梅雨が明け、ドピーカンとなった2日間で音楽漬けになった2人の対談をお届けします。お熱いうちにどうぞ!
ヤング係長(以下、ヤ):いやー、暑かったね、2日とも。この1週前に行った〈FUJI ROCK FESTIVAL '03〉は、最初の2日間雨が降ったんで、このフェスで夏が遅れてやって来たっていう感じがして。この暑さでオーディエンスもずいぶん煽られた感じがしたよね。
原田(以下、原):そうそう。僕が見た中ではマンドゥ・ディアオ、マーズ・ヴォルタ、ラプチャーあたりのお客さんはかなりヒート・アップしてましたよ。ラプチャーは無秩序な演奏だったけど、それに合わせてお客さんがガンガンに踊ってた。マンドゥのときは会場の〈INDOOR STAGE〉が超満員で、床が震度4くらいでガタガタ揺れてた(笑)。マンドゥは演奏もルックスも王道ロックって感じでキメてて、〈INDOOR STAGE〉出演組の中で一番盛り上がってましたね。
ヤ:ゼブラヘッドの盛り上がりも凄かった。女の子たちが拳を突き上げて「ファーック!」って(笑)。コール&レスポンスが上手いライヴはそれだけでも楽しいよなー。新人ではルーニーが良かったな。優等生っぽくはあるんだけど、テクニックがあってなによりグッド・メロディー。俺が好きなスローンに近い印象。カリフォルニア出身で、きちんとバンド文化がある場所で育ったのかな、自分たちの完成形が見えているようなライヴだった。
原:テクニックと言えばマーズ・ヴォルタ! 15分くらいのフランク・ザッパばりの黒魔術みたいな即興をすごいテンションで演奏してた。裏ベスト・アクトっていうか、〈なんだかよくわからないけど、スゴイもんを見せつけられたぞ〉大賞。見てない人は悔しがって欲しい(笑)。
ヤ:若いバンドの話ばっかりしてるけど、ベテラン連中も盛り上がってたね。
原:ディーヴォ、ドアーズ、ブロンディーが出てましたね。ディーヴォはパフォーマンスの面白さと上手さが一級だった。前説でPOLYSICSのハヤシが出てきて「ついにこの日が来た!」って大興奮してて。観客も気合いの入った人が多かったな。メンバーは相変わらず衣裳統一してたんだけど、みんな腹が出てた(笑)。エナジー・ドーム(ディーヴォのメンバーが『Freedom of Choice』で被ってる未来っぽい帽子)を観客に投げたりして盛り上げ方も上手かったなあ。
ヤ:いいなぁ、ディーヴォ見たかった…。で、ドアーズはどうだったの?
原:ヴォーカルのイアン・アストベリー(元カルト)が〈A BATHING APE〉の革ジャンを着てて(笑)、さらにロン毛にグラサンという服装でちょっと引いたんだけど、演奏自体はオルガンがグルーヴィーでかなり踊らされました。とりあえず、“Light My Fire”が終わったら〈OUTDOOR STAGE〉のレディオヘッドに駆け込もうと思っていたら、バンド側もそれを予測してたのかアンコールの最後まで引っ張られちゃって…。

blur
ヤ:ハハハ、切ないなー。大トリはブラーとレディオヘッド。(東京会場)初日のブラーはサービス精神旺盛で、過去のヒット曲も結構やってくれた。デーモン(・アルバーン)のパフォーマンスもお客さんを異様に煽ったりしてね。バンド・メンバーは黒人コーラス3人と、パーカッションを加えていて、音の幅が広がっていたんだけど、彼らが半分くらいしか参加してなかったのが残念だったな。あとは、デーモンと他のメンバーとの温度差を感じたような気がした。
原:ふーん。レディオヘッドは最後の何曲かを見ることができたんだけど、メランコリックな展開にはグッっときましたね。最後は“Creep”の大合唱。一番良かったかも。

radiohead
ヤ:実は俺、〈ロック野郎〉って肩書きなのにレディオヘッドに全く思い入れがない人間なんだよね。それでもやっぱりレディへが一番良かった。それぞれのメンバーが、マルチ・プレイヤー的な役割を果たしながらもバンドの整合性がカチッと取れてた。ブラーとレディオヘッドは、2バンドとも10年以上のキャリアがあるわけなんだけど、それぞれのヴィジョンというか、意識の違いがはっきり見えたような気がしたね。
原:いやー、しかしあの『Kid A』の打ち込みナンバーで何万人もの人が踊っている光景には感激しましたね。胸に迫るものがありましたよ。アンダーワールドの初来日公演を思い出しちゃったな。
ヤ:そりゃ違うだろ。思い出すべきは69(ロック)年ウッドストックのジミヘン(『Live At Woodstock』)。“Purple Haze”で叫び狂う観客の姿だよ!
原:いやいや、それと比べたらスティング『Bring On The Night』の熱狂ぶりのほうがイメージしやすいんじゃないすか。
ヤ:違う違う、大体ロックていうのはさー(以下、深夜まで延々と続く…)
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