音楽ファンも必見!ロンドンで今、話題のアート・イヴェント情報
TOMATOも影響を受けたデザイナー、ピーター・サヴィルの回顧展開催

英国のグラフィック・デザインを語るとき、真っ先に名前が挙げられる人物、異才ピーター・サヴィル。彼の名前を聞いたことのない人も、ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダーなどのレコード・カヴァーを手がけた、と言えば一度は目にしたことがあるでしょう。現在、ロンドンのデザイン・ミュージアムで25年に渡る活動の軌跡を辿った大規模なエキシヴジョン、〈The Peter Saville Show〉(9月14日まで)が開催中だ。

70年代後半、ファクトリー・レーベルの専属デザイナーとなり、時代の寵児として彼の名前を世界に知らしめた、レーベル・ポスター、伝説のクラブ〈ハシェンダ〉のフライヤーなどのプレミア作品、ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー、ロキシー・ミュージック、スエード、パルプなど、一連のカヴァー・アート、ラフ・スケッチなども展示されています。また、ヨージ・ヤマモトやディオール、ジバンシー(ブランド・ロゴは彼の仕事!)などのデザイナーとのコラボレーション作品、広告デザインは一見の価値あり。そして今回彼が新たに制作した「Unknown Pleasure」の2003年バージョンはここでしか拝めない! エントランスにはサヴィルの横顔をあしらったミラー、カフェには『Technique』のポスト・カード、ショップでは、この特別展のためにニュー・オーダーが制作したサウンドトラック(デザイン・ミュージアムのみで限定発売)、作品集「Designed by Peter Saville」が並べられ、サヴィル一色。それもそのはず、彼はデザイン・ミュージアムのプロダクションにも関わっており、パンフレット、ウェブサイトなどは、ピーター・サヴィル・スタジオの手によるもの。デザイナーズ・リパブリック、TOMATO、ミー・カンパニーなどに多大な影響を与えた英国グラフィック・デザイン界のパイオニアはいまだ現役。計算し尽くされた構図、ときに繊細に、大胆に、操る色彩的センス、グラフィックというデジタルツールを使いながらも、構成主義、新古典主義、モダニズムなどのアート手法を咀嚼し、独自の世界観を形成してしまう才能は、ただスゴイとしか言いようがありません。
▼ピーター・サヴィルが手がけた主な作品

Factory Poster/ Fac 1
Design: Peter Saville

Yohji Yamamoto/Game Over
Art Direction - Peter Saville; Design - Brett Wickens at Pentagram

Waste Painting #2
Credit: Peter Saville, Howard Wakefield, Paul Hetherington

Suede/ Coming Up album cover
Art Direction by Peter Saville; Photography by Nick Knight; Design by Howard Wakefield at the Apartment