ロンドンで人気のニッポンな!?テレビ番組
西洋人にとって東洋の文化は未知なるもの。日本発のファッション、アート、音楽、映画などはすでに一目を置かれているし、アニメーションやゲームに分野 においては敵なし。築100年が当たり前の町並みに慣れ親しんだ英国人にとっては、トーキョーは情報と欲望が加速するサイバー・シティーというイメージがあるらしいのです。

そんな(英国人にとって)神秘のベールに包まれたトーキョー・カルチャーを紹介するTV番組「Adam & Joe Go Tokyo」がBBC3にてスタート。英国人コメディアンのアダム&ジョーが東京のスタジオから毎週、日本のカルチャーを独自の切り口で紹介していくカッティング・エッジな内容です。これまでの放送で、POLYSICS、Doggystyleなどがライヴ出演を果たし、また「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN」に併せてRIP SLYME、スーパーカー、宇多田ヒカルなども日本の音楽の今、として紹介されました。そして番組のもうひとつの目的は、彼らが8週間の滞在の間に〈Big In Japan〉になること。日本のメディアに自分たちをアピールするためのチャレンジとは…。叶姉妹とデートしたり、「マトリックス・リローデッド」のプレミア会場に乗り込み、奇抜な衣装で赤絨毯を何食わぬ顔で歩く…など。日本の新聞や週刊誌にアダム&ジョーの写真が載っていたら、任務成功という意味。ファッションの切り口では街のイケてるユニフォーム・コレクションと題して、工事現場のおじさん、ガス・スタンドの青年、消防士などをフィーチャー。一方、カラオケの生みの親やフロッピー・ディスクの開発者などへのインタビューなど真面目な内容もあり、30分番組にしては見応えたっぷり。ホストクラブ、早食い競争、健康マシーンなど未知なる体験にチャレンジする彼らの姿は日本人から見ると微笑ましいかぎりなのです。
もうひとつ、現在はお休みですがチャンネル4の人気シリーズ「BANZAI」もジャパン・カルチャーをネタにしたインタラクティヴ・ベット・ゲームショー。ちょっと下品でおバカな内容と、視聴者が家で、パブで、仲間と勝手に賭けて楽しむという、いままでにない番組のスタイルで一気に話題に。強烈なメインキャラ、ミスター・フジモトもいまや国民的アイドル(!?)。また番組中に流れる音楽も「燃えよドラゴン」のテーマ曲、トッド・ラングレン、A-HA、ダスティー・スプリングフィールド、マンハッタン・トランスファーと、なんともカルトな選曲で楽しませてくれる。
なにかとカルトな領域に入ってしまう、ジャパニーズ・カルチャーですが、いまロンドンでは日本映画がウエストエンドの大型劇場で当たり前のように上映されているのも事実。北野武監督の「Dolls」や、中田秀夫監督の「仄暗い水の底から」は公開前から各プレスから絶賛され、固定ファンのいる三池崇、塚本晋也監督の作品も続々公開されています。これまで西洋カルチャーを吸収してきた日本ですが、そろそろ発信側に回ってもいい頃ではないでしょうか。(Tamami Yamaguchi / London)
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