LATIN RAS KAZはラテン・ラスカルズが神の手を振るった85年NYのラジオ局〈WKTU〉、もしくは〈KISS-FM〉のスタジオから現代に向け駈けてくるビートの、現時点におけるもっとも正統な馭者である。また彼は、ブレイクダンスの勇者たちを武者震いさせるビートを現在、独り占めにしているようにも思える。彼のビートはメガ・ミックスされ、エディットされたものだ。それは、〈ビビビビ・ビートトットト・ットゥ!〉に切り刻まれる。それは、いまが2003年だということが信じ難くなるほどガシガシ、している。「カザール、カンゴール、アディダスっていうファッションももはやコンサバ。本来ラディカルなことは、その対極にある」とのたまいつつ、L.L. COOL J太郎との仕事を「漠然と、ザ・ハードコア・ボーイズの“おら東京さ行ぐだ”みたいな感じをやってみたかった」と語る。
「普段メガ・ミックスみたいなものをいろいろ作ってると、あれはマスター・ミックス・メドレーを本当に凝縮させた結果ですから、1曲にして1曲じゃないっていうところがあるんです。だからトラックを作るときも、普通の曲作りの概念でやってるとすごくもの足りない。エディットのおもしろさっていうのにも〈ドドドドッ!〉っていうガンショット・エディットだけじゃなく、〈オイシイとこ獲り〉っていう要素がありますから」。
彼のエディターとしてのスキル、そして最上のエクスプレッションはもちろん『プッチRADIO』、そしてABNORMAL YELLOW BANDの『BEAVAL SUMMIT』で、また、彼が目ざとい海外のメディアに見つけられたところは英「Grand Slam」誌上にてチェックのこと。
LATIN RAS KAZのエディットを収めたABNORMAL YELLOW BANDのEP『BEAVAL SUMMIT』(DELIC)