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第4回 ─ 2003年03月前半

連載
ワールド・シティー・レポート : ロ ン ド ン
公開
2003/03/03   19:00
更新
2003/03/03   20:05
テキスト
文/山口 珠美

ロンドン最新アート事情

 ロンドンの冬は長い。曇り空が当たり前、だからこそ気まぐれに顔をみせる太陽がなんとも愛おしいこと。そんな日におすすめの散歩コース、サウスバンクはアート散策にうってつけ。都市再開発が進むテムズ河南岸(通称サウスバンク)はテート・モダンとセントポール寺院を結ぶミレニアムブリッジ、ロンドン・アイ、近未来的に変身を遂げた新市庁舎などの新しいロンドンの顔と、シェイクスピア・グローブ座、ロイヤル・フェスティバル・ホールなど歴史的建造物が調和するいってみれば、野外アーチテクト・ギャラリー。だから寒空のなか歩いていても飽きることなし、なのです。

 今回紹介するのはクールなレストランやバーが集まるバトラーズワーフにあるデザイン・ミュージアム。これまでにイサム・ノグチ、ジオ・ポンティ、ジョン・ガリアーノ、ナイキ・デザイン展、ヴォーグ誌の未公開写真展などが開催され、建築・ファッション・工業・デジタル・アートといった多岐に渡るエキシビジョンで毎回楽しませてくれるコンテンポラリー・デザイン専門の美術館。


マノロ・ブラニク

 
 現在開催中のスペインのシューズ・デザイナー、マノロ・ブラニクの特別展はプレビューの段階から彼のエレガントでセクシーなデザインと曲線美に魅せられたセレブが大集合。世界中の女性たちの憧れの靴として、USのTVシリーズ「Sex and The City」でも登場人物たちがこぞって彼の靴を買っているし、カイリー・ミノーグの自伝を版権を得るため、出版社が彼女に彼の靴をプレゼントしたって話も有名。今回のエキシビジョンでは彼の30年のキャリアを振り返り、入手困難な過去の作品も一挙に展示。ガラス越しに眺めるだけでも目の保養… クローゼットに並べるなんて夢のまた夢なんだし。この機会を逃すと一生拝めないかも。(2003年5月11日まで開催)

 また3月1日からスタートしているのは「Desiner of The Year」展。今年、卓越した才能を発揮したデザイナーに送られる賞で、ノミネート4アーティスト、ジュエリー・デザイナーのSoian Azagury-Partrige、商業デザイナーのTord Boontje、アップル社の副社長でi-macやi-podのデザインを手がけたJonathan Ive、プレステ2の「Grand Theft Auto: Vice City」を手がけたRockstar Gamesの作品が展示されている。授賞者は一般投票と審査員によって6月に決定され、優勝者には2万5千ポンドの賞金が贈られる。ギャラリーのホームページから投票できるので興味のある方は参加してみては。(2003年6月29日まで開催)
 
 エキシビジョンを堪能した後は、一階にあるカフェで一息、ちょっと人に自慢できるセレクトされた雑貨やアート本が揃うショップでおみやげを買うのも楽しい。またギャラリー最上階にあるブルー・プリント・カフェはモダン・ブリティシュ料理とワインが楽しめるロンドナーにも人気のデートスポット。ライトアップされたタワーブリッジとテムズ河を眺めながらのディナーは特別な人とどうぞ。まだまだサウスバンクの魅力は語りつくせないので、また次の機会にお届けします。(Tamami Yamaguchi /London)