Brits賞、現地レポ
今年もやってきましたイギリス最大の音楽アウォード、ブリッツ2003! 英国版グラミーともいうべきイギリス人アーティストにとっては権威ある賞。このところ商業ポップに汚染されつつありと囁かれていますが…まだまだ捨てたもんじゃない!? 2月20日、ロンドンのアールズ・コートにて行われた授賞式には約5千人以上のゲストが参加。今週はロンドン・コレクションと重なっていることもあり、各ジャンルのセレブが大集結といった感じ。また今年から限られた一般客も入場可能になり、会場も各テーブルに座るパーティー形式から、ステージ前方に一般客用のアリーナ、表彰台をはさんで、後ろに一段高くなった劇場スタイルのドレスサークル席にアーティストたちが横並びになる形に。お酒が入って問題がおこらないようにとの配慮? 功を奏してか皆さんおとなしいこと…。ジャーヴィス・コッカーVSマイケル・ジャクソン、流血騒ぎのジャミロクワイ、ロン・ウッドの水掛け事件など、裏ブリット史にはさまざまなハプニングがつきものだったのでちょっと残念。まあ、TVで生放送だから仕方ないか。

とはいえ、ステージでのハプニングは数多く起こりました。4部門ノミネートのミス・ダイナマイトが最優秀女性ソロ、最優秀アーバンアクトの2部門を授賞。現在妊娠5ヶ月の彼女はお腹をかばいながら、表彰台へ。各関係者へのお礼に加え、最後に「私の夫にもお礼を…」と一言。結婚は未公表だったので会場はざわざわ…今度はミセス・ダイナマイトに? クレイグ・デヴィッドとのデュエット拒否でステージ無しといわれていたけど、ジョージ・マイケルとのインタラクティヴ・デュエットが実現。“Faith”の歌詞の一部を“I don't want blood my hand”と替え、反戦ソングとして観客にメッセージを送った。「政治的な意味というよりも、ただ何が間違っているか正しいかを伝えたかっただけ」と彼女らしい言葉。続いて、最優秀グループ、最優秀アルバムの2部門に輝いたコールドプレイ。プレゼンターのジャッキー・チェンからトロフィーを受け取るとクリス・マーティンは授賞スピーチで「ブッシュ大統領がこのまま暴走すれば、僕らはみんな死んでしまう…この授賞だってナンセンス」と同じく反戦の姿勢をみせた。クリスの噂の彼女、女優のグウィネス・パルトロウもバックステージで目撃。一方、最優秀男性ソロに最多授賞14回目を記録したロビー・ウィリアムス。ロスからのVTRでレイチェル・ハンターと破局したてからか〈ロンリーハート〉を強調、恋人募集のコメントも。最優秀海外男性ソロ、最優秀海外アルバムの2部門を授賞したエミネムもVTRで控えめなコメント、2年前はチェンソー振り回してたのに。他の授賞者は次のとおり…
最優秀シングル:リバティーX“Just A Little”
最優秀ダンスアクト:シュガベイブス
最優秀ポップアクト:ブルー
最優秀新人:ウィル・ヤング
最優秀海外女性ソロ:ピンク
最優秀海外グループ:レッド・ホッド・チリ・ペッパーズ
最優秀海外新人:ノーラ・ジョーンズ
心残りは4部門にノミネートされていたストリーツことマイク・ スキナーがひとつも授賞できなかったこと…来年はガンバレ。

またブリッツ2003の裏主役はジャスティン・ティンバーレイクとカイリー・ミノーグによる魅惑のデュエット。前夜、ジャスティンはヨージ・ヤマモトのコレクション・パーティーでミニ・ライヴを行っており、カイリーも前チェックのため訪れていたそう。当日は“Cry Me A River”、“Like I Love You”、ブロンディーの“Rapture”で観客を悩殺、カイリーの初ラップとセクシーな二人の絡みは見応えありました。翌日の新聞一面は二人の写真で埋め尽くされ、受賞者はどこへ?って感じ。スーパースターは扱いも違う。もうひとりは若き堕天使、アヴリル・ラヴィーン。16+1のドラマーを従えたパンキッシュなパフォーマンスはロックを感じられたひととき。フィナーレを飾ったのは特別功労賞に輝いたセックスボム、トム・ジョーンズ! “What's New Pussycat” “Sexbomb”などの往年のヒット・ソング9連発で、紙吹雪吹き荒れるなか観客は狂喜乱舞。今夜ってトム・ジョーンズのコンサートだったっけ?と錯覚を起こすほどの濃厚ステージで今年のブリッツは幕を下ろしました。なんだかとても平和的だったけれど、物足りなさを感じてしまったのは確か。今年は才能あるUKアーティストの登場を願うばかりです。(Tamami Yamaguchi / London)

