お次は噂のラス・ケチャップの登場だ。そういや、 血糊の代わりによく使ってたなあ、ケチャップ…… 聞いたことあるかい?〈アセレヘ♪〉ってやつ。最高にロックしてるぜ!!!
Las Ketchup
フランメンコのギタリスト〈トマト〉の娘たちだから〈ラス・ケチャップ〉。まあ、なんともお気楽なネーミングではあるけれど、このケチャップ娘たち、ヨーロッパ、そして全米ではすでにスター扱い。先行シングル“Asereje ~The Ketchup Song~”のこれまたお気楽な、しかし不思議と忘れられない振り付け&歌いっぷりが全世界で大ヒット。そしてこのたび日本盤としてもリリースされたファースト・アルバム『Hijas Del Tomate』もこれまた大ヒット……と、本人たちも訳がわからないままにスター街道まっしぐら。そもそもスペインに住んでいる素人の女のコたちがいきなりスターになってしまったわけだから、まさにシンデレラ・ストーリー!!
「世界中を飛び回っているから、今までの生活のペースが変わってしまったことは事実だけど、その変化を自然に受け止めているわ。 決して背伸びをしたり、ムリをせずに自然にね。ただ、ツアーなどで家族や友達と離れてしまうのはやっぱり淋しいわ……」。
そう話してくれたのは、長女のローラ。例の“Asereje ~The Ketchup Song~”は〈アセレヘ・ハ・デヘ……〉という一度聴いたらしばらくは忘れられない意味不明なサビが印象的だけど、なんとこの歌詞、ヒップホップ・クラシックであるシュガーヒル・ギャングの“Rapper's Delight”を初めて聴いたときにそう聴こえたことからこんな歌詞になっちゃったそうで、いわば〈空耳〉なわけ。もちろん同じように印象的なのがOLの宴会芸みたいな(失礼!!)あの振り付けだけど……。
「特に振り付けにこだわったわけじゃなくて、なんとなくあのスタイルに仕上がっただけなの。そうしたらダンスがウケてしまって……。だから、踊るときのコツとかは特になくて、とにかく楽しみながら踊ってくれればOK。自分のスタイルで楽しんでね!!」。
彼女たちのファースト・アルバム『Hijas Del Tomate』は、アッパーなユーロ・ポップをベースにしながらも、そこにフラメンコやサルサ、ダンスホール・レゲエ、そのほか世界各地の音楽的要素を密かに散りばめた、ヴァラエティーに富んだ内容。しかも、サウンドメイキングそのものにも彼女たちはバッチリ関与してるっていうんだから、もう素人なんて言わせない!! でも、あなたたちのルーツっていったいなんなの!?
「フラメンコは小さい頃から家のなかでも自然に流れていた音楽だからいちばん親しみがあるし、私たちにとっては大切なベースなの。でも大きくなるにつれて、3人で楽しい実験をしてみようっていう気持ちからこのスタイルが生まれたの。人によっては私たちの音楽を〈フラメンコ・ポップ〉って呼んでいるけど、私たちは自分たちの音楽をなんて呼ぶべきか決めてないのよ」。
そんな彼女にこれからの目標を聴いてみました。
「私のモットーは、〈人生を思う存分楽しんで、いろいろ学ぶ〉なの。ツイてるときも、ツイてないときも人生を受け入れなくちゃね!!」。
うーん、ナイスな一言!! 彼女たちは〈お気楽〉なんじゃなくて〈ポジティヴ〉なんだね。これからは、イヤなことがあったら〈アセレヘ・ハ・デヘ……〉と歌いながら踊ってみることにしようかな!?(神代辰夫)