クリスマスが待ち遠しいあなたに、とっておきのクリスマス・アルバム大定番をご紹介!!
心躍る12月サウンド、クリスマス・ソング(以下クリソン)。なぜこうもサウンドのトーンが街角のイルミネーションや年末の夕暮れに似ているのか、と喫茶店のセピア色した窓ガラス越しに外を眺めつつぼんやり考えてしまう季節の到来だ。ぐつぐつ煮える鍋の中から湯気といっしょに立ちのぼるクリソンを発見したら、白いエコーが鳴り響く眩い街角へクリだそう!
そんなわけでここでは、クリスマスの名盤をいくつかご紹介。クリソンの達人が季節の幕開けにまず用意するのがフィル・スペクターの『A Christmas Gift For You From Phil Spector』。夏にも聴けるクリスマスものとして認知されているこの名作、クリソンを作るうえでの音響的配慮が完成されており、いまだこのスタイルを使ってオリジナルを作る人が後を絶たないほどの影響力を誇る。そして、オーディオの前よりも商店街やデパートで耳にした回数が確実に多いはずのビング・クロスビー“White Christmas”は、永遠のベストセラーとしてポピュラー史に名を刻む定番中の定番。クリソンはアウトドアな音楽である。また、ファンとしてはクリソンを歌う作り手の〈背伸び具合〉を見るのも楽しみのひとつ。当時のアイドル、ビーチ・ボーイズやエルヴィス・プレスリーのクリスマス・アルバムを聴くと、彼らの気取りがとても微笑ましい。クリソンはスターによって生みだされるものなのだ。
同時に作り手のポップな側面をあぶり出す効果もあるのがクリソン。アトランティック系ソウル・シンガーの名曲を集めた『Soul Christmas』は、普段はシブ系のあんちゃんらがご陽気に変貌してる姿が発見できて楽しさいっぱい。収録曲のダニ-・ハサウェイ“This Christmas”は〈超〉をいくつつけても足りないほどの名曲だ。また、クリスマスに〈ファミリー〉というテーマは切っても切れないもの。そこで紹介したいシナトラ一家による『Christmas With Rat Pack』。親分が舎弟にプレゼントを手渡している絵が浮かんでくるアットホーム作品。今年はこんなクラシックスに囲まれて、タイムレスなクリスマスを過ごしてみてはいかが?
コンピレーション『Soul Chritmas』(Atlantic)