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第12回 ─ ベイセルズ、キム・ウィルソン

連載
倉本美津留のイイタイ邦題!!
公開
2001/12/25   14:00
更新
2003/04/09   14:00
ソース
『bounce』 228号(2001/12/25)
テキスト
文/倉本 美津留

照れくさいけどちょっと楽し邦題。邦題ひとつで洋楽はさらに僕らに身近なものになってくれるハズ。そしてここにひとりの男が登場。独断と偏見によるイイタイ邦題の世界!

とにかくボーリングにこだわったジャケやな

イイタイ邦題『恋のキングピン』
-これが噂のアヴェレージロック。安心してお聴きっ!


とりあえず、グループ名の<ベイセル>を辞書で調べると……<基礎的な>って意味か。コツコツ練習やってるよ、っていうことかな。ジャケットの雰囲気とは違う、まじめな名前(笑)。で、タイトルの<キングピン>の意味は……<ボウリングの1番ピン>、なるほど。タイトルからジャケまでボウリング尽くし。ジャケの娘がヴォーカルやねんな。着てるもんから球までピンク色に統一してるけど、残りの男3人のメンバーがけなげにもひきたてようとして気を利かせてるんやろか。でも、裏ジャケを見たら、その3人がピンになって、ヴォーカルの娘が投げた球に倒されそうになってる、ってオチがまたベタ(笑)。音はくせのないロックンロールやな。ボーリングっぽくアヴェレージでいうと120くらいのカッコよさ(笑)。でもそれって安心して聴けるっていうこと。ベタ好き、オーソドックス好きにオススメやね。この音やったら十代から、オールディーズ・ファンの大人まで聴けると思うんよ。そやから<恋のキングピン>なんてどう?昔の邦題っぽくてええやん。まさにベタ邦題。背景のセットも安っぽいし、<ザ・ベイセルズ>っていうシンプルな字ヅラも、なんかそれっぽい。この混乱した世相の中で安心して聴けるロック、これは貴重やで。



50'Sなファッションに身を包んだベイセルズ『Kingpin』(Ripe)。ガレージな匂いをほんのり漂わせながら、ストレートに弾けるゴキゲンなロックンロールがたまらない。

またえらいムレとんなぁ~

イイタイ邦題『スモークいらず』
-脱ぎたてホヤホヤのライヴをお召し上がり下さい


この靴を履いとったヤツってめっちゃアブラ性なんやろな。確実にエライ水虫の持ち主で、もうムレムレ。音を聴くとブルース・ロックでしかもライブ録音やろ。きっとそのライヴから戻ってきたとこなんよ(笑)。まあ、もしかしたら、実際にライヴでキムさんが履いとった靴なんかもな。インナーの写真見たら、本人もめっちゃ汗かきな感じで移ってるやん。まさに脱ぎたてホヤホヤ。ライヴのほうも録りたてホヤホヤ。あえて<フレッシュ>って言葉を使ってみたりして(笑)。でも、こんなすごいムレ方、ステージで見せなソンちゃう。ステージでこんだけケムリが上がったら、もう演奏そっちのけでみんな拍手やで。1曲演ったら靴脱いで<もわ~>、また演奏しては脱いで……まあ、前のお客さんはたまったもんじゃないやろけどな(笑)。いってみりゃ<スモークいらず>。いいやん、これ邦題にしよか。ドライアイスいらずのアブラ性スモーク。舞台効果も自分でやるわい! ってなもんよ。靴から出てくるスモークやから、履いている者だけを演出する。<ピンスポ>ならぬ<ピンスモ>ってとこやね。これに照明が当たったらキレイやで~。靴履いてる者も映えるんちゃう。もちろん、臭いことには変わらへんのやけどな(笑)。音楽はもとより、ステージ演出の革命やな、これは!



ブルース・ロック界のイブシ銀的存在、キム・ウィルソンの最新ライブ盤『Smokin' Joint』(MC)。湯気が出るほど熱いブルースハーブが堪能できる、オトナの味わいたっぷり盤


【倉本美津留】
構成作家、シンガー・ソングライター。TV番組「ダウンタウンDX」「松本紳助」などの構成を手掛けるかたわらミュージシャンとしても活躍中。最近もライブをこなしたばかりの倉本さん、2002年も映画製作から音楽活動にと、さらにさらに忙しくなりそうです。ますます髭も伸びる、かな?