
Rhapsodyのクライアント・ソフト
先に断っておいた方がいいと思うので書くと、サービス開始直後である2001年12月5日現在、コンテンツはまだまだプアである。
しかし、このListen.comによる新しい音楽配信サービス「Rhapsody」がやろうとしているサービス形態には、大いに期待が持てる。これは、商用音楽配信サービスの、とくに米国におけるブレイクスルーとして注目されている「サブスクリプション・サービス」(有料会員制)という形態をどこよりも早くかたちにしたものだ。

RealOne。RealOne Musicの音楽は米国でしか楽しめない。
Rhapsodyのスタートから数日後の2001年12月4日、AOLタイムワーナー、ベルテルスマン、EMI、リアルネットワークスによる音楽配信インフラ企業であるMusicNetが、その最初の具体的なサービスとして、RealOne Musicを開始した。これは、リアルネットワークスが同社の最新のマルチメディア・プレイヤー「RealOne」用のコンテンツとして提供するサービスで、やはりサブスクリプション・サービスの形態をとっている。ただし、残念なことにこのサービスは現時点ではアメリカ国内のみを対象にしていて、日本からは聴くことが出来ない。ソニーミュージック、ユニバーサルミュージック、Yahoo!らのpressplayもMusicNetと並ぶサブスクリプション・サービスになる予定で、2001年内のサービス開始を予告していたが、果たしてどうなるか。
というわけで今回は、Rhapsodyのファーストインプレッションをお伝えしたい。
Rhapsodyは月極めの定額会員制サービスだ。月に決まった額を払えば、Rhapsodyが持っている音楽カタログを聴きたい時に聴きたい曲・聴きたいアルバムをいくらでも聴くことができる。つまり、ミュージック・オン・デマンドである。ストリーミングだけでダウンロードすることは出来ないが、聴き放題なんだから別に自分のマシンにデータがある必要はまったくない。
現時点では3つのコースがあり、クラシック音楽ばかりの「Naxos Classical」(5.95ドル/月)、ポップミュージックのあらゆるジャンルを網羅した「Sampler」(5.95ドル/月)、その2つを合体させた「Sampler Plus」(7.95ドル/月)という内容。今回は「Sampler」に登録してみた(3日間の無料サービスが受けられる)。
率直に言って、これはいけると思う。いや、Rhapsodyがいけるかどうかは、まだわからないが、少なくともサブスクリプション・サービスという形態は、デジタル音楽配信のメインストリームになるはずだ。それはカラダで実感することができた。いけますよ、これ。
Rhapsodyは独自のクライアントソフトを使う。このソフトの名前もRhapsody。Rhapsodyを起動して、「FIND MUSIC」というボタンをクリック、ジャンルでブラウズしながら好きなアーティストのアルバムを探す。聴きたいものが見つかったら、曲目の脇のプレイボタンを押す。それだけだ。そのアルバムを気に入れば(あるいは曲単位でも可)、「+」ボタンを押して自分のライブラリに登録しておけば、探す手間が省けていつでもすぐに聴ける。
冒頭にコンテンツがプアだと書いた。メジャーな音源に関しては確かに寂しいものがあるのだが、インディやダンスミュージック系、あるいは特定のレーベルのものに限定すれば、かなり楽しめる。
たとえば僕は、使い始めてすぐに、ベル・アンド・セバスチャン、ヨ・ラ・テンゴ、ペイブメント、アフリカ・バンバータ、キンクス、DJ Greyboyといった(かなりバラバラな)アーティストたちのアルバムを聴いた。アルバム全曲・フルレングス・高音質で聴くことができる。ヨ・ラ・テンゴなんて12枚もアルバムがリストアップされていた。ベルセバも最新アルバムまでちゃんとある。
他にもボサノヴァのコンピでアントニオ・カルロス・ジョビンを聴いたり、ハウスのコンピを聴いたりした。
この感覚は、自分のCDを片っ端からパソコンのハードディスクに取り込んで置いてある状態と同じものだ。好きなものが見つかればだが、その場合は、かつてナップスターで体験した感覚よりも快適と言っていいんじゃないだろうか。
こんなのは言うまでもないことだが、こうしたサブスクリプション・サービスが成功するかどうかは、あとはコンテンツ次第ということになる。RealOne Musicのカタログを見ると(悲しいことにカタログは見れるのに聴けない……)、既にメジャーな名前がずらりと並んでいる(ただ、1アーティストあたりの曲数は出し渋ってる感あり)。メジャー/インディー問わず、市場に出回っているほとんどのタイトルがフォローできるようになれば、こうしたサービスは音楽メディアとして、かなり大きな存在感を発揮するようになるだろう。
で、日本は?