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第11回 ─ ビリー&ライザ、レイミー・ゼロ

連載
倉本美津留のイイタイ邦題!!
公開
2001/11/25   13:00
更新
2003/04/09   14:00
ソース
『bounce』 227号(2001/11/25)
テキスト
文/倉本 美津留

照れくさいけどちょっと楽し邦題。邦題ひとつで洋楽はさらに僕らに身近なものになってくれるハズ。そしてここにひとりの男が登場。独断と偏見によるイイタイ邦題の世界!

とりあえず何時やねん

イイタイ邦題『ビリ時ライザ分』
-これが噂のカントリー〈オク〉ロックだ!


2人とも微妙なとこ射してるよな。どっちが長針でどっちが短針やねん。でも、この何時かわからへんとこが原題〈だいたいの時間〉と関係してるんかも。音もゆったりしたカントリー・ロックやし。また、このおっさん、えらい歳くってるんとちゃう? そやからいまさらあくせく活動して売れよなんて思ってへんのよ。そもそも二人はどういう関係なんやろな。歳の差あるみたいやけど。う~ん、この時計の二人は重なることはないんやろか……〈ビリーとイライザ、重なるまであと何分?〉とかな(笑)。でも、そうやな、音楽って聴く時間と関係あったりするやん。朝はこんな音楽聴きたいとか、夜はこれ、みたいな。だから、そういうことを考えて、放題は〈ビリ時ライザ分〉でどう? 〈ビリー〉じゃなくて〈ビリ時〉(笑)。とにかく、このアルバムを聴きたい時、それが〈ビリ時ライザ分〉。いま決められてる時間の区切りなんて勝手に昔の人が決めたことやん。それやったら自分たちの時間を作っていこうっていう提案やな。だからおいしいラーメンと餃子食ってる時は、〈ラーメン時餃子分〉。まずかったら言わんほうがええかもしれへんけどな(笑)。とりあえず、自分の時間を持て、このアルバムはそう言っとるんよ。ま、ジャケ見たままやけどな(笑)。


ストリング・チーズ・インシデントのヴァーカリストによるソロ・ユニット、ビリー&ライザ『It's About Time』(SCI Fiderity)。まさに時を忘れるレイドバック感がたまらない。

大人になってからよ

イイタイ邦題『いないいないピカー』
-ロックの〈バア〉時代に終止符を打つ問題作!!


なんて言ってるんかな、このジャケットのお母さんは。なにが大人になってからなんかは、ようわからへんけど(笑)。でも「いないいないバア」ってやってるような雰囲気でもある。というか、これはまさに「いないいないピカー」やな。お母さんとしては〈いないいないバア〉で驚かせようと思ってんねんけど、近ごろの子供はそんなことぐらいでは驚かへん。〈チェッ、またバアかよ〉みたいなもんで(笑)。そやからゴールデンに光らせた。これは絶対ビックリするで。要するにこれは〈なにかアッと言わせる音楽をやってやる!〉っていうバンドの意志表示なんやな。ロックは驚かせてナンボっていうところってあるやん。で、これまでのロックは、所詮〈いないいないバア〉どまりやったけど、われわれは〈ピカー〉やと。そやから邦題はそのまま〈いないいないピカー〉でいいんちゃう。相手が赤ん坊っていうんも象徴的やで。これからの世代を驚かせてる。あるいは、光を当てて、〈これで育つんやぞ〉って言ってる。〈ピカー〉は新しい世代へのメッセージなんよ。あるいはまだレミー・ゼロを聴いてない音楽ファンへのな。彼らにとったらビートルズもビーチ・ボーイズも〈バア世代〉ってわけよ。これからは〈ピカー世代〉。やるな、レミー・ゼロ。



アメリカはアラバマ出身のレイミー・ゼロ『The Golden Hum』(Elektra)。そのメロディアスなギター・サウンドと実験性の美しき融合は、まさに新世紀のロックンロール!


【倉本美津留】
構成作家、シンガー・ソングライター。TV番組「ダウンタウンDX」「松本紳助」などの構成を手掛けるかたわらミュージシャンとしても活躍中。年末は恒例のイヴェント〈ミツルシオン5〉をはじめ、イヴェント/ライヴの予定が目白押し。詳しくは公式サイトまで! アクセスお待ちしてま~す!!