4人の好みはバラバラ。『くるり』ばっかり5回連続でかかったりする。

リドル・デザイン・バンクは愉快だ。彼らがつくるコンセント形の携帯ストラップやキーホルダー、「牛」という文字が書かれた電球などのプロダクツを身の回りに置くだけで、自分の部屋やオフィス、見慣れたはずの日常が、「クスッ」っと笑えるものに変わる。デザインとは単なる自己表現じゃなくて、使う人や見る人とのコミニュケーション。そんな事を気づかせてくれる彼らの作品は、この部屋でこんな音楽を聴いてつくられる。
──皆さんにとって、「デザインする」ことや「リドルで活動する」ということにはどういう意味や役割があるのでしょうか?
「普通だったら会話にならないようなことを表現したいなぁと思っています。例えば、電球1個で他の人と話をするってことはないと思うんですよ。それが電球じゃなくてもいいんですけど、電球に対して会話は成り立たない。でも、そこに何か文字を書いたら楽しめるかな、と。で、それを「キレイ!」って感じに仕上げるのはちょっと嫌らしいんで、ずらしてみたり、下手すると「いらないよ~」って言われちゃうぐらいの感じが面白いかな、と思ってやっています」(三輪)
「自分が着たい服をつくって、人がどう感じてくれるかなぁ、どうやって着てくれるかなぁ、って考えるのが楽しい」(池田)
「やっぱり、「美味しい」って言ってもらえるのが嬉しいから。「美味しい」の一言は料理をつくっている人間にとっては一番大きいんじゃないでしょうか」(豊田)
──作品のイメージはいつ、どんな時に浮かびますか?
「お風呂入っているときに出てきます」(池田)
──(笑)音楽を聴いてイメージが浮かんだりすることは?
「家でDJをしているときに、壁に向かってレコードをこすりながら浮かぶことはありますよ。その時は『ああっ!』とか言いながら即座にメモを広げて、デザインを描きつける。具体的にはビョークだったらフリフリ、テクノだったら、ピタピタのミニマルな服やスキンヘッドに被せる帽子を作ってみようかな、とか」(池田)
「音楽を聴いてなにか、っていうのは特にないですねぇ。自分のα派をうまくとるために聴くものだから。聴きながら寝るっていうのが多い」(塚本)
「仕事と普段の区切りにするためのものかな」(三輪)
──作業をするときのエンジンとして聴くということはありますか?
「それはあります」(三輪)
──そのときはどんな曲を?
「FMかけっぱなしが多いかなぁ。あとはビデオで映画を流しながら、画面は見ないで音だけ聴いていたり、テープを作っていってそれを聴いたり」(池田)
「調理するときはテンポのいい曲が嬉しいですよね。カフェで働いていた時は店長が音楽に詳しい方だったので、彼がお店で流しているラテンや民族音楽を口ずさみながら、とか」(豊田)
──4人で「これいいよ!」って教えあったりはしますか?
「いや、もう全然(笑)。みんな、好みがバラバラなんで。『2STEP』ばっかりかかると「ロックじゃないのかよ~」って露骨につまんない顔されたり。そのくせ、『くるり』ばっかり5回連続かかったり(笑)。でも、太鼓が効いているもの、一定のリズムを刻んでいるものが多いかな」(三輪)

WestBam 『wizards of the sonic』 高2の時に出会って人生を変えた曲。ぶっちぎれて生きてもいいんだ、と励まされた。(池田)

RIDDLE DESIGN BANK
(リドル・デザイン・バンク)
池田東太郎、塚本太朗、豊田基、三輪成吾(左から)の4人から成るユニット。98年活動開始。99年高円寺にアトリエを構える。それぞれの専門分野─プロダクツ・デザイン(塚本、三輪)、ファッション・デザイン(池田)、シェフ(豊田)─のほか、ショップの内装を手がけるなど精力的に活動中。font>