アメリカ人?に贈られた英国人アーティストのための音楽賞(from LONDON)
その大胆なチョイスで時に音楽ファンの度肝を抜く〈マーキュリー音楽賞〉の授賞式が9月6日に行われ、アントニー・へガーティという男性シンガーの実質的なソロ・プロジェクト、アントニー&ザ・ジョンソンズの『I Am A Bird Now』が選ばれた。売り上げ無視、実力勝負の権威ある賞だが、今年は受賞資格をめぐって議論に発展。というのもこの賞、〈英国/アイルランド人アーティストのアルバム〉に贈られるのに、アントニーは過去20年間アメリカ住まいで、NYを拠点に活動しているから。本命視されていたカイザー・チーフスはノミネートの段階から「あいつはアメリカ人同然なのに」と文句をたれ、審査員長は授賞式後、「問題は居住地ではなく国籍」と決定を弁護する羽目になった。
そんなことがありつつも、ニーナ・シモンばりの彼の妖艶な歌声は多くの人の心を捉えたようで、同作は受賞後、135位→16位とチャートを急上昇。しかし実は〈マーキュリー〉と言えば、ロニ・サイズ・レプラゼントにゴメス、タルヴィン・シンなどの過去の例から、〈受賞したら落ち目になるマーキュリーの呪い〉なるジンクスが指摘されることもしばしば。アントニーが今の勢いを維持して成功するか、それとも〈アメリカ人〉に授賞したのは間違いだったと言われるようになるのか、それは今後のお楽しみ……? (レポート/森はるこ)







