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インタビュー

INTERVIEW(2)――瞬間的なドキュメンタリー

 

 

瞬間的なドキュメンタリー

 

オワリカラ_A
オワリカラ

――では改めて、今回、このTOKYO NEW WAVE 2010というプロジェクトを立ち上げるにあたって、タカハシさんがコンピを監修することになったっていうのは?

タカハシヒョウリ(オワリカラ)「この企画があって、まあバンドマンで、なおかつ新宿のライヴハウスで働いていて。バンドをフラットに見れる位置にいるということで、声かけさせてもらって。基本的には僕が個人的に仲が良かったバンドを集めたんですけど」

――でも、参加アーティストの基準は、仲が良いってことだけじゃないですよね?

タカハシ「そうですね、2つあって。1つは、ライヴにそのバンドにしか出せないパワーがあるっていうところ。ライヴがいいバンドはたくさんいると思うんですけど、そのバンドを観に行かないと観れないようなライヴをしてくれるバンド、っていうのが1つ目のテーマ。で、もう1つが、東京っていう街に、都市に暮らしてる若者の2010年式の言葉や音楽を発信してるっていう。その2つを兼ね備えてるバンドが身近に集まってきてたんで、それを瞬間的なドキュメンタリーとして作品にしました」

壊れかけのテープレコーダーズ_A
壊れかけのテープレコーダーズ

――それぞれのバンドの皆さんは、声をかけられたときにどうでしたか? まずはkomoriさんから。

komori(壊れかけのテープレコーダーズ)「驚きましたね。実は、Motionに1年前まで出たこともなくて、最初はフィールドがけっこう違ってたんで。でも、このイヴェントを通して、もはやそういうフィールドとかも関係ない、ボーダレスな感じになったかな、って。自分たちにとっては広がりがありましたね。この企画に参加したことは」

――彼らをコンピに誘った理由は?

タカハシ「壊れかけのテープレコーダーズは、高円寺周辺のライヴハウスによく出てるっていうイメージがあって。あの周辺のサイケデリック・ロックの流れ、っていうのがすごい懐古主義的なもの、ジャンルに縛られたものに見えるなかで、壊れかけのテープレコーダーズだけは、すごくその、現在進行形の音楽だっていうのを感じさせたんですよね。あとわれわれと違う界隈にいて広がりも出るっていうので誘いました」

――では、東京カランコロンは声を掛けられていかがでした?

東京カランコロン_A
東京カランコロン

いちろー(東京カランコロン)「嬉しかったですよ。(タカハシが)すごい〈いい、いい〉って言ってたんですよ、僕らのことを。絶対嘘だと思ってて。でも、コンピに誘ってくるということは、さすがに〈ちょっとは好きなのかもしれない〉って思いました(笑)」

――誘ったのはどういうところから?

タカハシ「とにかく似たバンドがいないから。全部が矛盾してるっていうか、整合性のなさがすごくおもしろくて、ずっと好きだった。音もそうだし、ルックスとか、人間性もそうだけど、支離滅裂な、パラノイアな感じがいいです」

――今回のコンピは、通して聴くといい意味で統一感がなくて、はみ出し者が集まったような印象がありますね。

タカハシ「そうですね。いまの新宿のライヴハウスって、すごいそういう感じがあって。下北沢とか高円寺っていう、いわゆるライヴハウスがたくさんある街って、外から見てる勝手なイメージかもしれないけど、すごく色がついている街っていう感じがして。そういうところってどんどん飽和していって、いろんなものが零れ落ちてるんですよね。その零れ落ちたはぐれ者みたいなバンドが、フラットに新宿のライヴハウスに流れ込んでる。そういう意味で、雑多な感じっていうか、どこにも属してない者が瞬間的に集まってるっていうのは、すごくあると思うんですよね。それもコンピの1つのテーマではあります」

 

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掲載: 2010年07月07日 17:59

インタヴュー・文/土田真弓