DOT ALLISON(2)
愛についてとことん追求したかった
またドットとデュエットするのは、UKロック・シーンを代表する2人の男、ポール・ウェラーとピート・ドハーティだ。ピートとドットの付き合いは長く、ドットはベイビー・シャンブルズの曲をピートと共作し、今年リリースされた彼のソロ・アルバム『Grace/Wastelands』ではデュエットを披露している。一方、ポール・ウェラーからは〈いっしょに曲を作らないか〉と直接電話がかかってきたとか。彼らにとってドットの存在は、イマジネーションを刺激する芸術の女神なのかもしれない。
「彼らのほうから、〈いっしょに仕事をしないか〉って声を掛けてくれたの。実際にレコーディングしてみて、すごく良い勉強になったわ。2人とも本当に素晴らしいミュージシャンだし、真のアーティストなのよ。まるで(彼らを取り巻く)空気自体がアートで、それを呼吸しているみたいな感じ」。
そうやって、錚々たるミュージシャンたちと作り上げた本作は、ダークさのなかに優美さを秘めたゴシック・ロマンな仕上がり。まるで月の光に照らされたユリのように、彼女の儚げな歌声が闇に美しく映えている。ちなみにアルバム・タイトルは「人と人との距離を意味している」らしいが、アルバムには彼女の愛についての考察が込められているようだ。
「このアルバムにコンセプトがあるとすれば、愛にまつわるさまざまな経験を物語った作品にしようと思ったことかしら。それは相互依存や、不倫、喪失、結束といったもの。リリックやソング・ライティングの面でもさらにテーマを発展させて、愛についてとことん追求したいと思ったの」。
「これからは、もっと映画の仕事もしてみたい」と語るドット。きっとその歌声は、映画ファンをも魅了するに違いない。
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