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インタビュー

Corinne Bailey Rae

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年07月20日 01:00

更新: 2006年07月20日 19:25

ソース: 『bounce』 277号(2006/6/25)

文/内本 順一

アコースティックな演奏に、天然の美を纏った歌声……全英チャートを制した新人シンガー・ソングライタ-の柔らかな魔法が、いよいよ日本へも届けられる!


 「朝、自分の家で目が覚めて、夜は自分のベッドで眠れるのが嬉しい。ずっとホテルでプロモーションするよりも、地元でリラックスしながらやるほうがいいわね」。

 イギリス中部ウェスト・ヨークシャー地方のリーズ。ここがコリーヌ・ベイリー・レイの言う〈地元〉であり、ロンドンのような大都市に比べてずいぶんゆっくりと時間が流れるこの場所を彼女は気に入っている。生まれてからこれまで〈ここ〉で暮らしてきて、その暮らしのなかから彼女の歌が生まれてきた。だから、デビュー・アルバム『Corinne Bailey Rae』が全英アルバム・チャートで初登場1位を記録し、各地を移動しながら数多くの取材を受ける身になったいまも、彼女はできるだけ地元リーズで過ごす時間を大切にしたいと考えている。コリーヌの歌は、そのように彼女の〈日常〉から生まれ、そして聴く者の〈日常〉に自然に溶け込むのだ。

 溶け込むメロディー、溶け込むサウンド、溶け込む歌声……それはしかし、初めからあったものではない。何しろローティーンの頃はレッド・ツェッペリンに夢中になり、15歳でロック・バンドを結成して歌っていたぐらいなのだから。

 「歌うことはずっと好きだったわ。けど〈本格派ヴォーカリスト〉といったふうには歌えなくて、それを悔しく思っていたの。私の声は〈ビッグでソウルフル〉というわけではないし、かといってマドンナやカイリー・ミノーグのようにラジオでかかりやすいポップ・シンガーたちの声とも違って、クリアじゃないし。低くて、ラウドに歌うこともできなくて、何だかこじんまりした感じだから。でも、ビョークやビリー・ホリデイ、エリカ・バドゥ、トリッキーのマルティナ・トップリー・バードの歌を聴いた時に、私のなかで何かが剥がれ落ちたの。アレサ・フランクリンやホイットニー・ヒューストンのように歌う必要も、その反対側に位置するマドンナやカイリーのように歌う必要もないんだと気付くことができた。その中間というか、もっとデリケートで、傷つきやすいようなニュアンスのサウンドと歌。まるで会話をしているような、そういう音楽の響かせ方が私には適しているんだとわかったの」。

 バンドは音楽性を変化させながらも10年近く続けたそうだ。が、自分らしい音楽の伝え方を見つけた彼女はソロに転向。いまではオーガニックなサウンドに乗って、パーソナルな歌を飾りなく歌っている。温もりのあるネオ・ソウル。しかしUSのそれよりも柔らかで、いい意味での〈曖昧さ〉があるぶん、むしろ日本人の耳には馴染みやすいものだろう。

「モダンで完璧なサウンドを求めている人もいるけど、私の音楽はその真逆。ヴォーカルにコンプレッサーをかけて、圧縮に圧縮を重ねたような……例えばブリトニー・スピアーズの歌なんかを聴くと、私は本当に息苦しくなってくる。そういうものの対極にあるサウンドにしたかったの」。

 彼女の父親はカリブ海のセント・クリストファー島出身で、母親はヨークシャーの出身。「私はふたつの文化に属していて、さながら黒人でもあるし白人でもあるといった感覚」と話すコリーヌだが、子供の頃は極端にシャイで、いつも人目を気にしてばかりいたそうだ。

「いつもどこかに隠れてしまいたいと思っていたわ。でも、そんな私にも親友ができて、その子といっしょにバンドを始めた。彼女は私が自分の殻に閉じこもらないようにしてくれたの。また、私の母も友人みたいな存在で、いつもくよくよしている私を元気づけてくれた。それで私は自信を持てるようになったのよ」。

 そのことを歌にしたのが、アルバム10曲目の“Butterfly”。蝶になったコリーヌはいま、肩の力を抜きながらも、みずからの歌を羽に変えて光のなかを自由に舞っている。
▼本文中に登場する、コリーヌに影響を与えたアーティストの作品を紹介。


ビリー・ホリデイのベスト盤『Lady Day : The Best Of Billie Holiday』(Columbia)

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