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インタビュー

The Ordinary Boys

昨年のUKロック・シーンを震撼させたルード・ボーイズが、またも世界を舞台に大暴れ? よりスカに接近したヤツらの新作が、この夏大地を弾ませる!! 


 先行シングル“Boys Will Be Boys”になぞるなら、まさしく〈オーディナリー・ボーイズはやっぱりオーディナリー・ボーイズ〉だったわけである。2004年のUKロック最大の発見だったデビュー作『Over The Counter Culture』から約1年という、あまりにも早い追撃となったオーディナリー・ボーイズのセカンド・アルバム『Brassbound』に感じたのは、急ピッチで仕上げられたことへの杞憂ではなく、素晴らしいロック・ミュージックと色褪せることのないぶっとい魂だった。この世界をタフに生き抜く現代のルード・ボーイズは、今作の仕上がりをどのように思っているのだろうか?

「ハッピーな出来映えだね。あまりアタマで考えすぎないように、自分たちで楽しんで作ったよ。結局、毎晩プレイするのは自分たちなんだから、まずは自分たちがハッピーでなくちゃね。とにかく、4人のガキが生きてるうえで思うこととか悩んでることとか、そういうことを素直に表現しているアルバムに仕上がったって感じだよ」(プレストン、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 確かに本人が熱っぽくなるほど、この『Brassbound』の完成度は高い。

「あまりいじりすぎると、音楽の持つ〈切羽詰まった感じ〉みたいなものが失われてしまうと思うんだ。特に僕らみたいな音楽は、その切迫感がとても大事だからさ。そりゃ、デフ・レパードみたく時間をかけたレコーディングもアリなんだろうけど(笑)」。

 今作のポイントとして、〈スカへの接近〉が挙げられる。前作でもスペシャルズの“Little Bitch”をカヴァーしていたが、今作でより顕著になったスカの要素を、プレストンは「自然の成り行き」と分析する。

「スカへの想いは昔からあったけど、いまなら失礼にならない程度にちゃんと演奏できると思ったんだ(笑)。僕らの音楽は、過去から大河のようにひとつの長い線で繋がっている。そこに数々の支流が加わって、どんどん混ざり合っている。僕らはソウルとレゲエとダンスを足して、より太い流れをめざしているんだ」。

 ジャムやスミス、スペシャルズといった〈支流〉からのスタイルを採り入れたオーディナリー・ボーイズは、実際にライヴでモリッシー(元スミス)やテリー・ホール(元スペシャルズ)と共演し、ポール・ウェラー(元ジャム)との対談も果たしている。彼ら生ける伝説たちが、ハタチそこそこの若きルーディーを気にしているのだ。そこでズバリ訊いてしまうけど、自分たちの若さは武器だと思う?

「たぶん……いや、そう思うよ。これから先やりたいことができても、若いぶん急ぐことなくゆっくり育てていけるのは大きな武器だ。僕らの音楽には若さゆえの力もあるし、カイザー・チーフスやフランツ・フェルディナンドみたく若いフリをしなくて済むしね(笑)」。

 かつてクラッシュは〈ルーディーは失敗できない〉と忠告したが、若い彼らにその心配は無用だろう。それはこの『Brassbound』と、昨年に続いての出場となる〈サマーソニック〉でのステージが証明してくれるはずだ。

  「日本はいつも僕らを歓迎してくれるよ。僕らなんか(日本語で)ヘンナガイジンなのにさ(笑)! 昨年の〈サマーソニック〉ではカサビアンと仲良くなって、いまでもたまにつるんでるんだ。今年も同じステージにカサビアンがいるし、オアシスっていう友達もいっしょだし、すげぇ~楽しみ!」。

 では最後に、そんな〈ヘンナガイジン〉のプレストンに、バンドをいくつかの言葉で表現するというお題で、だっふんだ!とシメてもらいましょう!

「うーん、これは一歩間違えば、自画自賛に聞こえてしまうなぁ。〈正直さ〉〈情熱的〉、オーディエンスに対しての〈誠実さ〉……それから〈驚くほど素晴らしい〉っていうのはどうだろう!? あ、絶対に語尾に(笑)って付けといてね。ただのうぬぼれ野郎だと思われたくないからさ(笑)」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年07月07日 16:00

更新: 2005年07月07日 18:32

ソース: 『bounce』 266号(2005/6/25)

文/加賀 龍一