DETERMINATIONS(2)
イントロ鳴ったところからニヤッとする
そんな彼らが、2年ぶりのアルバム『Chat Chat Determination』を完成させた。ISLANDよりリリースとなる本作だが、どアタマの“BAYON”から、あのデタミの〈音〉は健在だ。街を歩いても耳に入ってくるのは、雑踏に負けないため必要以上にヴィヴィッドでハイエッジに加工された音ばかりのこの時代に、モコッとした触感のやさしくてあたたかいバンド・サウンドは、かえって新鮮に響く。しかしまたこれも、彼らが結成当初から変わらず鳴らし続けている〈音〉なのだ。
「もちろん表現方法の部分では変わってると思うんですけど、根本的なところは全然変わってない。こんなんでエエんかなぁ?って逆に思うたりするぐらい(笑)」(松井)。
「実際に作り始めたのは、今年の3月とか4月ぐらいから……だから言うても、最近ですよね。たまたま9人が9人曲を持ってきたんで、曲数もボッと湧いて出た感じで。それを週末に録音して、平日に一回練習して。実質、録りだけで5日間ぐらいですかね。俺らにしたらバタバタしたペースではあったと思いますけど……柄にもなく頑張ってるんですよ(笑)。この音源作ってるときは、みんなヤイヤイ言いながら作ってましたね」(足達)。
『Chat Chat Determination』に収録された楽曲のヴァラエティーは、メンバー9人の濃すぎるぐらいの個性をそのまま表わしているよう。「そのフレーズ、めちゃエエな!」とか「お前がそうくるなら、俺はこうじゃ!」とか、実際の言葉はなくともそこには楽しげな会話が成立している。お互いのプレイを通じて共感しあい、リスペクトを送りあうバンドの姿がサウンドから容易に想起できるのだ。
「たぶんそれは全員が全員思ってるんちゃいますかね。みんな最高のプレイヤーやと思うてるし……そんなん口では言いませんけどね(笑)。どの曲聴いても、イントロ鳴ったところからニヤッとしてしまう」(足達)。
「最後に入ってる大ちゃん(大野大輔、ドラムス)の曲なんか、レコーディングの最後の最後で〈俺も曲あんねん〉って言い出して(笑)。〈何でいまさら言うねん?〉って思うたけど、みんなで一発で録って……そしたら、大ちゃんの顔がものすごい笑顔になってて。それ見て許せたっていうか、これでエエやん!って思えましたね。そういうレコーディングの仕方や雰囲気はめちゃめちゃ楽しかったし〈真髄〉って感じがして……やっぱりやってよかった(笑)」(松井)。
どうだろう、この結成したばかりのバンドのようにフレッシュな音楽の満喫ぶり! 売れようとか人気者になろうとかいう思いよりも、もっとプリミティヴな、生活レベルでの音楽との付き合い方を保っているのがDETERMINATIONSなのかもしれない。
「もちろんバンドは楽しい部分だけじゃないけど、生活と直結してますよね。イヤなことがあったらバンドで憂さ晴らしするっていうやり方もあるかもしれないけど、たとえばイヤなことがあってバンドの練習に行っても、余計落ち込むことも多いじゃないですか? そんなんやったら休んだほうがエエですからね。〈仕事も楽しく、バンドも楽しく〉がエエし……だから続けることが目標じゃないんですよ。もちろん続きゃエエなって漠然とは思うてるし、音楽を通して言うことがなくなったらきっとやめると思うんですけど。でも、まだ表現したいことがあるからやってるだけで……自分らの思ってることを自分らの歩幅でそのまま出したい。ただそれだけです」(松井)。
▼ DETERMIATIONSのメンバーが参加した作品を紹介。